放課後の向うがわⅡ-15


「すっかりイキが悪くなっちゃったわね。
 これじゃ、市場でも売れ残りだわ。
 最初におしっこ入れれば良かった」
「せ、先生」

 わたしは、思わず声をあげてた。
 このままだと、ほんとに理事長は死んでしまう。
 そう思ったの。

「ふふ。
 人間って怖いわね。
 ぜんぜんそんな気は無かったのに……。
 走り出したら、自分を止められなくなる。
 ありがと。
 止めてくれて」

 先生は、大きくハンドルを回した。
 カチカチと響くブレーキ音が、頼もしく聞こえた。
 理事長の頭が、水中から抜き上げられた。

「がふっ」

 理事長は大きく口を開き、空気を貪った。
 水を孕んだままの髪が、火炎みたいに逆立ってる。
 黒い滝のようにも見えた。
 滝を流れ落ちる水が、水槽に飛沫を散らす。

「そろそろ、限界みたいね」

 理事長は、腹部を痙攣させながら呼吸をしてる。

「理事長、よく頑張りましたわね。
 今、下ろしてあげますよ。
 美里、理事長を引っ張って。
 身体の位置を水槽から外すのよ。
 カメラ、置いていいから」

 引っ張ってと言われても、どこに手をかけていいかわからない。
 まさか、頭を掴むわけにもいかないし……。

「縄があるでしょ。
 クビの後ろに回ってるとこ。
 そう。
 そこに指、引っ掛けて。
 綱引きみたいに、後ろ体重。
 よしよし。
 じゃ、下ろすわよ。
 手を緩めたら、また水の中だからね」

 わたしは踵で踏ん張りながら、全身の体重を後ろにかけた。
 理事長の身体が降りるたびに、一歩ずつ下がる。

「そうそう。
 その調子」

 こうして理事長は、ようやく逆さ吊りから解放された。
 長い苦痛から解き放たれた理事長は、床に仰のきながら、微笑んでるようにさえ見えた。
 束ねられた両腕が、背中の下になってたけど……。
 それまでの苦しみに比べれば、どうってことないみたいだった。
 全身の力が緩み、お腹だけが起伏してる。
 下腹部を回る縄に乗りあげた肉が、影を孕んで息づいてる。

 弛緩した理事長の両腿は、僅かに開いてた。
 あんまり見ては悪いような気がしたけど……。
 どうしても視線が切れなかった。
 わたしの視線は、理事長の股間に縫いつけられた。

「気がついた?
 でも、わたしが剃ったんじゃないのよ。
 最初から無かったの。
 つるつる。
 そういう変態趣味でもあるのかと思ったけど……。
 どうやらこれも、ヨーロッパかぶれみたいね。
 向こうの女性って、下の毛、剃っちゃってる場合が多いのよ。
 日本でも、先端的な子の間では流行ってきてるみたい。
 ハイジニーナ脱毛って、聞いたことない?
 ハイジって云っても、アルプスの少女のことじゃないわよ。
 『hygien(ハイジーン)=衛生的』ってのが語源。
 エステとかに、あそこの毛を永久脱毛しちゃうコースがあるみたい。
 でも日本だと、温泉とかがあるしね。
 まだまだ普及は難しいんじゃない」

 先生は、理事長の脇にしゃがみこんだ。
 股間を覗きこむ。
 気配を感じたらしい理事長が、両腿を閉じようとした。

「隠すことないじゃありませんか。
 こんなに綺麗なのに。
 欧米人は色素が薄いから……。
 剃りあげた大陰唇も、周りの肌と同色の場合が多いみたいだけどね。
 でも、アジア人が成人すると、どうしても色素が沈着しちゃうのよね。
 永久脱毛が、イマイチ流行らないのは、そういう体質も影響してるのかしら。
 剃っても、けっして少女のようには見えないのよ。
 大陰唇が、薄茶色に着色しちゃってるから」。

「でも、稀にいるみたいね。
 大陰唇の色が、ほかの肌の部分と変わらない人。
 まさに理事長が、そのおひとりってわけですね。
 こんなおまんこしてたら、見せたくてしょうがないわよね。
 だから剃ったんでしょ?
 つるつるに。
 あちらのヌーディストビーチで、見せまくってるんじゃありません?
 日本には、どうしてそういうパブリックスペースが無いんだろうって、ムカツイてるとか?
 あ、そんなことないか。
 むしろ、日本にはあったんだわ。
 昔から。
 お風呂文化。
 幕末に来航した外国人は、混浴風呂に仰天したらしいですもの。
 明治以降、欧米化を進める中で、混浴文化も圧殺されていったけど……。
 まだ、細々とは残ってる。
 そう、山の温泉宿とか。
 理事長も、ひょっとして隠れ温泉ファンだとか?
 こんな体が、突然湯煙の中に現れたら……。
 男性客は、びっくり仰天だわ。
 たちまち、ちんぽがおっ起っちゃって……。
 お湯から出れなくなる。
 お湯に入った理事長は、その様子を見下ろしながら……。
 しゃなりしゃなりと、歩きまわる。
 ひとりひとりの前で立ち止まり……。
 腰を突きつける。
 見上げる男性からは、無毛のまんこが丸見え。
 ひととおり岩場を巡ると……。
 理事長はお湯を上がる。
 男性客の視線が、背中から尻に纏わりつくのがわかる。
 理事長は振り向くと……。
 流し目を巡らせ、視線の束を絡め取る。
 そして、根こそぎ抜きあげる。
 釣りあげられた男性客は、もう股間を隠そうともしない。
 露天の空を突きあげるちんぽを揺らしながら……。
 亡者の群のように、お湯から上がってくる。
 男性客に囲まれた理事長は、石張りの真ん中に身を横たえる。
 ほら、今みたいな格好。
 もちろん、縄は打ってないでしょけど。
 滴るお湯を、ピチピチの肌が弾く。
 取り囲む男性客が、間合いを詰める。
 男性客の脚の柱が、隣と接するほどに狭まる。
 そう。
 無数の白い柱。
 建築物?
 いえ。
 それは、檻よ。
 まだ発見されてない、古代の遺跡。
 白いエンタシスの檻。
 不思議な意匠。
 そう、檻を成す柱の付け根からは……。
 ことごとく突起が突きあがってる」

「湯気を上げる柱に囲まれた理事長は、ゆっくりと両脚を持ち上げる。
 膝裏を掬い取り、長い両脚を自らの上に畳みこむ。
 もちろん、股間は剥き出し。
 股間どころじゃない。
 綺麗に剃りあげた肛門まで、湯気の中に晒してる。
 突然、檻が崩れた。
 股間の延長線上にいた男性客が、理事長にのしかかるように腰を落とした。
 理事長の真上から、しゃがみこむ。
 片手で自らの陰茎を掴み、切っ先を押し下げる。
 その延長線上に開くのは……。
 もちろん、理事長のおまんこ。
 そう。
 泥を噴きあげる温泉のように、無数の泡が生まれてる。
 男性は一気に尻を落とし、陰茎を突き刺す。

『わひぃ』

 理事長の口から、はしたない嬌声が噴きあがる。
 男性は、激しく尻を振り立て始める。
 陰毛に覆われた男性の恥骨が、理事長の陰核を容赦なく叩く。

『はひ。
 はひぃっ』

 理事長は顔を持ちあげ、居並ぶ男性を見回しながら、歓びの声を振り撒く。
 湯気が、ピンク色に染まる。
 男性の檻が、一気に崩れた。
 理事長にのしかかり腰を使う男性の後ろに、もうひとりが重なる。
 その男性の陰茎は、目印のように赤く縁取られた肛門に突き立った。
 ズブズブと埋もれていく。
 渾身の嬌声を噴き上げようとしたけど……。
 出来なかった。
 すでに、声の出口を塞がれてたから。
 そう。
 もう、ほかの男性の陰茎が、口の中に突っこまれてたの。

『ふが。
 ふががががが』

 太い陰茎が、口中を犯す。
 男性の陰毛が、鼻に入るほど突きこまれる。

『げふ』

 吐き出せない。
 一気に涙が滲み、視界が霞む。
 男性は、容赦なく挿出を進める。

『ぶふ』

 鼻汁が噴き出る。
 上下する陰茎に、カエルの卵のように貼り付く」

「『ごぼ。
 ごぼぼ』

 理事長の腹筋が浮き上がり……。
 口の端から、吐瀉物が噴き零れる。
 苦痛と悦楽に翻弄され、脳漿が沸騰する。
 握りしめた両拳の中にも、陰茎は一本ずつあった。
 汗を噴き出す脇の下にも挟まってた。
 もちろん、お腹の上に乗りあげた男性の陰茎は、乳房の谷間で擦られてる。
 突き上げた足裏にも感じる。
 熱い肉棒が、足裏の襞を研ぎ下ろしてる。

 全身を犯される歓びと苦痛。
 声に出せない絶叫が、黒々と穿たれた尿道口から噴きだした。
 奔流が、挿出される男根を直撃し……。
 扇形に開いた飛沫に、孔雀の羽のような虹が掛かる。

『イ、イク!』

 まんこに突っこんでる男性が、声を裏返す。
 挿出がさらに速まり、腰の輪郭が消える。

『あぁ、あっ。
 あっ。
 あっ』

 男性は、塑像のように凝固した。
 尻たぶだけが、激しく収縮してる。
 弾丸みたいな激しい射精が、理事長の子宮に撃ちこまれる。
 何発も。

『うぉぉ』

 肛門に突っこんでた男性も、うめき声を上げた。
 石張りを滑りながら前後してた腰が、理事長の尻に密着して止まる。
 甲板みたいに浮きあがった腹筋が、プルプルと震えてる。
 もちろん理事長は、腸内に激しい射精を感じてる。
 暗黒の洞穴の中で、白い精液が、腸壁を埋め尽くしてく。

『あぉっ』
『あぎゃ』

 足裏に、ちんぽを擦りつけてた2人の男性が、奇声とともに暴発した。
 両足、同時に。
 中空にほとばしる精液が、歌舞伎の蜘蛛の糸のように散華する」


本作品のモデルの掲載原稿は以下にて公開中です。
「結」 「岩城あけみ」

《説明》
杉浦則夫の作品からインスピレーションされ作られた文章作品で、長編連載小説のご投稿がありました。(投稿者 Mikiko様)
本作品は毎週金曜日に公開される予定となっておりますので、どうぞお楽しみに。
前作を凌ぐ淫靡と過酷な百合緊縛!「川上ゆう」さん、「YUI」さん登場予定作品です。
時を越え、再び出会った美里とあけみ。現在に戻った美里は、さらなる花虐へと誘われていく…。


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