放課後の向うがわⅡ-36


 川上先生は、生徒たちに遠巻きにされながら、机に座らされてる。
 椅子じゃなくて、机よ。
 田の字形にくっつけられた4つの机が、先生の舞台。
 もちろん、衣装は縄だけ。
 飴色の縄目が、白い肌を、お餅みたいに括ってる。




 お臍の下の肉が、羽二重のような膨らみを見せてる。
 本人が何と思おうと、このぷっくりしたお腹が、川上先生の最大のチャームポイントよ。

「さ、先生。
 そのまま、机の上に寝てください。
 ゆっくりでいいのよ。
 そうそう。
 よく出来ました。
 それじゃみなさん、授業を続けますよ。
 ほら、遠巻きにしてないで、こっち来て。
 あ、日本史の先生、踏まないようにね。
 はい。
 みなさん、集まりましたか。
 どう?
 川上先生。
 素敵よね。
 みんなの憧れの先生だもんね。
 その先生が、素っ裸で、みなさんのためにモデルを務めてくださってるの。
 男子生徒だったら、感激のあまり、きっともう射精しちゃってるわね。

 さてと。
 それじゃ、川上先生に注目。
 って、すでにガン見してますね。
 いいですか。
 これが、成人女性の身体です。
 自分や友達の裸とは、ちょーっと違うでしょ。
 お母さんの裸は……。
 最近見ないか?
 もう、お風呂別々よね。
 小さいころの記憶を思い出してみて。
 やっぱり、どこか違うでしょ。
 お母さんだから、当然、経産婦だもんね。
 子供を産んでない成人女性の裸を見るのは、初めて?
 最近は、銭湯とか行かないものね。
 どう?
 綺麗なものでしょ。
 これが、精子が入るのを待ってる身体よ。
 川上先生?
 そんな切なそうな顔されたら……。
 男は、入れる前に出しちゃいますよ。




 あら、山下さん。
 どうしたの?
 もう、自分の弄ってるの?
 困った人ね。
 若い子は、一旦タガが外れると怖いわ。
 それじゃ、そのままでもいいから……。
 とにかく、川上先生に注目。
 どう、この顔?
 自己犠牲に殉じる、敬虔な信者みたいよね。
 でも、ほんとは悦んでやってるのよ。
 ほら、その証拠に……。
 ごらんなさい、この乳首。
 ビンビン。




 こんなのに吸いついたら……。
 赤ちゃんでも、射精しちゃいそう。
 はい。
 誰か、吸いたい人?」
「はいはいはい」
「まぁ、誰かと思ったら、日本史の先生。
 もう生き返りましたの?」
「ゾンビみたいに言わないでください。
 心身ともに復活しました。
 見てください、この暴れん棒。
 背筋運動のように反り返ってます。
 準備、オッケーです」
「何の準備ですか?
 呆れた先生ですわ」
「ここからは、わたしが授業させてもらっていいですか?
 さて、諸君。
 さっきから君たちの注目を浴びてる、この生殖器官。
 男根と云います。
 この棒の部分は、陰茎。
 先っちょの剥き出しのところが、亀頭。
 わかるね?
 男女の交合って云うのは……。
 早い話、この男根を女性器に挿しこんで、男性が射精することです。
 よく見てごらん。
 亀頭の更に先端に、黒い穴が開いてます。
 ここから精液が出るんです。
 精液を生産するのは、ここ。
 わかるね?
 これを、金玉と云います。
 ゴールデンボール。
 非常に重要な器官です。
 2つあります。
 片方が損傷しても、もう一方で役目が果たせるようにという、神の配慮です。
 両方元気なときは……。
 一ヶ月交代で勤務します。
 町奉行所みたいですね。
 もし金玉が3つあったら、どうなるでしょう?
 三ヶ月ごとにお勤めが回ってくるわけだ。
 これを、三金交代と云います。
 って、君たち、冗談だよ。
 真面目にメモ取ってどうするの。
 普段の授業じゃ、ノートも取らないくせに」
「先生、巻いてください」
「すみません。
 それじゃ、突っこませていただきます」
「誰がそんなことしていいって言いました?
 そもそも先生は、前戯もなさいませんの?」

「前戯は……。
 よほど余裕のあるときに限られます」
「どういうときですか?」
「結婚してから、余裕があったことは一度もありません」
「まぁ。
 じゃぁ、奥様には一度も前戯無しに?」
「はい」
「はい、って……。
 それじゃ奥様、痛いでしょうに」
「とんでもない。
 いつも濡れ濡れです。
 家に帰るときは……。
 数分前にメールするんです。
 アパートのドアを開けると……。
 上がり框で、妻が四つん這いで待ってます。
 もちろん、全裸です。
 あそこは、波間の海藻みたいに濡れてますよ。
 もちろん、そのまま突っこみます。
 玄関に入る前から、ちんちんは出してありますから」
「夫婦揃って変態と云うことですね」
「否定できません。
 最近は、野外での行為に目覚めてしまい……。
 自分でも恐ろしくなります。
 聞きたいですか?」
「結構です」
「少しだけ聞いてくださいよ。
 駅のトイレなんです」
「またトイレですか?
 たしか、国語の先生とも……」
「トイレというのは、排泄行為を行う場所です。
 そこで精液を排出したくなるのは、自然な反応なんじゃないでしょうか?
 むしろ、おしっこだけして出てくるのが、もったいなくてしょうがありません。
 駅のトイレなんか、ときどき掃除のおばちゃんが入ってることがありますが……。
 あの人のでもいいから、ちょいの間、貸してほしいと思いますよ。
 あ、これはもちろん妄想だけです。
 教師がそんなことしたら、大変な不祥事ですからね」
「今の先生も、十分に不祥事の対象だと思いますが」
「かたじけない。
 話を続けます。
 駅のトイレです。
 わたしの使う駅は、そこそこ大きい駅ですが……。
 もっと山の方に行くと、夜間、無人になる駅があるんですよ。
 と言っても、入口が閉じられるわけじゃない。
 改札も抜けられます。
 妻と2人で、夜中、その駅に行くわけです。

 もちろん、電車は終わってますから、車を使います。
 2人とも、コートを羽織ってますが……。
 下は全裸です。
 あ、妻は普通のトレンチコートですが、わたしは違いますよ。
 トレンチコートに裸の脛じゃ、まごうかたなき変質者ですからね。
 わたしは、くるぶしまで丈のあるベンチコートです。

 もう、興奮しっぱなしで、そこらに車止めてヤリたいくらいなんですが……。
 必死で我慢します。
 で、駅に着くと……。
 入場券を買って、自動改札を通ります。
 トイレは、改札の中にあるんですよ。
 改札は、ゲートが閉じるタイプではないので……。
 素通りも可能ですが、もちろん、真面目な教師がそんなことはしません。

 そこまで来ると、もう我慢の限界です。
 2人して手を取って、トイレに駆けこみます。
 バリアフリーのトイレなんで、中は広々としてます。
 もう、コートのボタンを引きちぎりながら脱ぎますね。
 駅のトイレで、2人して全裸になってることで、脳漿が沸騰するほど興奮します。
 便器のフタに手をついた妻を、思い切り後ろから犯します。
 尻を叩いてやると、狂ったように悦ぶんです。
 打楽器みたいに乱打します。
 わたしの腰と手の平、そして妻の尻肉。
 互いの肉体によるジャズセッションです。
 それに、妻の嬌声とわたしの咆哮が加わる。
 誕生したころの人類に戻るんです。
 アフリカの大地が見えますよ。

 家で、一発ヤッて来てますけど……。
 シチュエーションに興奮してるから、すぐに追い詰められます。
 本日、最高のフィナーレが近づいてる。
 このまま出してしまうのでは、もったいない。
 便器を抱えてへたりこんでる妻を、後ろから抱え……。
 持ち上げます。
 もちろん、繋がったままです。
 で、トイレの鍵を開けるんです。
 重たいラッチ音が響くと、妻の性器が陰茎を締めあげてきます。
 このまま外に出ることを察し、悦びを抑えきれないんです。
 もちろん、口ではそんなことは言いませんがね。

 扉は、ラッチを外すと自動的に開きます。
 出来た隙間は、異界への通路です。
 ここを通ったとき、わたしたち夫婦は、人とは別の生き物に変わる。
 そう。
 変態という、哀しい生き物に。
 でも、もう止められません。
 2人は、繋がったまま、結界を踏み越え、扉を抜けます。
 2匹の変態の誕生です。
 その姿を映したい。
 この目で見たい。
 繋がったまま、二人羽織のように妻を操り、通路を抜けて構内に出ます。
 昼間は、大勢の利用客が足早に交錯するパブリックスペースです。
 そこに、全裸で……。
 しかも、妻と性器を結合させて立ってる。
 もう限界です。
 肛門を引き絞り、歯を食いしばって耐えます。

 妻を抱えたまま、待合室に向かいます。
 待合室は、夜間、施錠されてて入れません。
 なぜそこに向かったかと云うと……。
 構内と待合室の間仕切りが、ガラスなんですよ。
 つまり、わたしたちの姿を、すべて映してくれるんです。
 妻が、ガラスに両手を付くと同時に、わたしは腰を振り立てます。
 もう、堪えるつもりはありません。
 妻の突っ張った腕はすぐに崩れ、顔面がガラスに貼りつきます。
 整った容貌の妻が、ガラスでひしゃげた顔を無防備に見せてる。
 愛しさ一杯です。
 わたしは、喉も裂けよとばかりに咆哮しながら……。
 思い切り精を放ちます。
 妻も、大口を開けて絶頂を歌いあげます。
 のどちんこまで見せながら、並んで口を開ける姿は……。
 まるで、産卵する鮭のつがいのようです。
 生命の務めを果たす悦び。
 あの絶頂は、まさに神の寿ぎです。
 そう、思いませんか?
 あの感覚を思い出したら、もう我慢できません。
 川上先生、入れてもいいですか?」
「呆れた先生ですわ。
 長々と夫婦の変態話を語った挙句、そんなことが許されると思ってますの?」
「妄想では、すべてが許されるのです」
「あら、そうでしたわね。
 それなら、これはわたしの妄想ですから……。
 わたしの思い通りなんだわ。
 ちちんぷいぷい」
「先生、ずいぶん古典的な呪文ですな。
 歳がバレますよ。
 せめて、テクマクマヤコンにしてください。
 あ、あなたいったい何をなさったんですか!
 足が、足が動かない。
 ていうか、足の指が、床に潜りこんでる!」



本作品のモデルの掲載原稿は以下にて公開中です。
「川上ゆう」 「結」 「岩城あけみ」

《説明》
杉浦則夫の作品からインスピレーションされ作られた文章作品で、長編連載小説のご投稿がありました。(投稿者 Mikiko様)
本作品は毎週日曜日に公開される予定となっておりますので、どうぞお楽しみに。
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