食虫花 ~美少女・内山遙~11

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第十一話【灑掃】

「引っ張るのは‥や、止めて下さい・いぃ・うぐぅ…うっ、ううっ」
すでに二〇分が経過しようとしていた。蒼白となった遥の顔面に脂汗が滲む。不自然に身体を折り曲げられ、ググゥ、ギュルルゥと、下腹からは猛烈な便意が突き上げて来る。

バレーボール部の地区大会が、明日に迫っていた。普段はのんびり土曜部活に励む部員達も、さすがに今日に限っては、熱心に練習に励んでいる。
遙は身長も高く、弱小バレー部にあって重要な戦力だった。それにも拘わらず、このところの気乗りしない練習ぶり。加えて、何かと理由を付けては午後の練習を抜ける。そんな彼女に対し、部員たちの不満が燻ぶっていた。部活をサボって、きっと大学生の彼氏とデートに違いない。そんな陰口を叩く者もいる。「今日はちゃんと、夕方まで出れるんでしょ?」試合は明日なのだから、絶対に参加してもらわないと。部長からは強い調子で言われている。遙は、「今日も昼から用事が」とは言い出せないでいた。
彼女とて、そのような事はもちろん本意では無い。どれほど、皆と一緒の時を過ごしたかったろう。午後の練習を抜け、遙を待ち受けているのは、目を覆い、耳を塞ぎたくなるような被虐の時間なのだから。

「今日だけは練習に出させて下さい」
お願い致します。練習が終わったら、気の済むまでご奉仕致します。一生懸命尽くさせて頂きます。だから数時間だけ自由を下さい。
昼休み、一足先に空き教室で待っていた林田に、遙は必死で懇願した。
「バレー部の練習か…楽しそうだな」
それならここでも出来るではないか。俺が教えてやるぞ。担任教師はそう言って、教え子の後頭で肘を伸ばした状態に、素早く縛り上げた。そしてそれを、「どうだ、ブロックの姿勢と同じだろ?」と笑った。
普段の、後手縛りに慣れてしまったせいか、変則的な緊縛は、少女に新たな羞恥をもたらす。男は、彼女の無防備になった脇の下を、ツンツンと突付き始めた。「ほら、跳んでみろよ!ほれ!」擽ったさに思わず身を捩る。そんな彼女の反応を楽しみ、そして未発掘の性感帯を、探っているようでもあった。
なおも、「お願いです!練習に行かせて下さい」と、奇妙な格好のまま頭を下げる教え子。もう、お前は俺の性奴隷なのだ。奴隷に自由があるものか。普通の高校生活など必要無いだろ。「これが、教師を愚弄した罰なのだ」と諭し、さらに、「この恥ずかしい格好のまま、廊下に放置してやろうか?」部活に戻るのは邪魔しないぞ。と恫喝した。

「良い事を思いついたぞ!」
次には声色を変える。俺も生徒思いの先生だからな。部活の大切さも分かっているつもりだ。と空々しい台詞を吐いた。そして、破廉恥な提案。
「ゲームをしよう」
昼休みが終わるまでの、残り時間四〇分間、浣腸を我慢出来たら練習を許す。但し。
出来なかった場合はあきらめろ。
「ウンチを付けた、臭いブルマで良いのなら、練習に出ても構わんがね!ふふふ」
残酷にも、下着とブルマを着用したまま我慢させるという。林田は遙の返事を待たず、浣腸の準備を始めた。本人の意向等どうでも良い。元々、今日はアナルを責めるつもりであった。思い掛けず面白い余興になるぞ、と内心、己の機転を自賛していた。

遙は、これまでの短い間にも、何度と無く浣腸されている。しかしそれは、アナル挿入の為にする、腸内洗浄の意味でしかなかった。早ければ二、三分で便意を催し、我慢できても精々一〇分が限度であった。今から三〇分近くも、あの苦痛と恥辱に耐えるなど、出来ようはずがない。だから林田も、よもや遙が、この下劣なゲームに勝つなどと言う事は、全く考えていなかった。

しかし、彼女は予想外に健闘する。練習に出たい一心だった。硬く肛門を閉じ、懸命に漏れ出そうとするものを押し留めている。昼休みは残り五分を切っていた。
ひょっとして、こいつは耐え切るのではないか。林田は、遙の精神力に感心すると同時に、焦りを抱いている。万一には、約束など反故にすれば良い。だがそれでは、こちらが面白くないのだ。そうはさせない。
グイと教え子の腕に掛かった縄を引き、無理矢理腹部を圧迫するような姿勢を取らせる。そして、下腹を靴の先でゆっくりと突き押した。
このアンフェアな加勢によって、限界ギリギリのところで持ちこたえていた、彼女の忍耐は一気に瓦解する。

「わあぁぁぁっ!!!」
遙、号泣。声を上げて、幼児のように泣き喚く。担任教師と“不適切な関係”となって、初めての慟哭だった。
どれほどおぞましい辱めを受けようと、彼女の心を強く支えてきた大切なモノ。クラブでの楽しい思い出。部員らと語り合った将来の夢や希望。かけがえのない友情、そして信頼。
それら大切な宝物の数々が、濁音と悪臭にまみれ、ブルマから染み出す汚物と共に、体外へと流れ落ちて行った。

第十二話へ続く

文章 やみげん
写真 杉浦則夫
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食虫花 ~美少女・内山遙~10

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第十話【無間地獄】

週明け。遙は学校を休んだ。
風邪を引いたようなので休ませる、と朝一番に母親から電話があった。これは林田にとっては朗報だ。
口止め用に彼女の痴態を撮ってはいた。しかし遙は、これまでの女生徒らとは違うのだ。親なり、友人なり、学校関係者、あるいは警察が乗り込んでくるのではないかと、眠れぬ夜が二晩続いていた。興奮から醒めてみれば、現実はそういうものだ。なかなか計画通りに、うまくは物事が進まないと覚悟していた。だが、どうやら土曜日の出来事は誰にも話せていないらしい。

(それはそうだろう…)
あれだけの辱めを受ければ。小心者が、今度はそう安心する。
そして、誰にも言えない恥ずかしい秘密を握る、優位な立場を得たと気を大きくした。ここからは、いつも通りに進めて行けば良い。

ただ、遥の心中は過去の犠牲者らとは少し異なっていた。少女達は、どうしよう、どうしようと、ただオロオロするばかりで、その場から逃げようともしない。危機に際し小動物が取る行動に似ている。林田もそれをリサーチした上で毒牙に掛けて来た。
この時の遙は、自身の置かれた状況を、比較的冷静に捉えている。その上で、自分の事よりも愛すべき周囲の人々に、心配を掛けたく無い、悲しませたく無い、一心だった。彼女なら、いくらでも外部に助けを求め、その場から逃げられそうなものだ。だが、そうは成っていない。自力でこの災厄をどうにか克服できまいか、考えを巡らせている。
思春期独特の犠牲的ヒロイズムだろう。同時にそれは、やがて開花する被虐性を予感させた。

3日続けて遥が休んだところで、心配を装い電話を掛ける。最初母親が出たが、対応に変化は無い。上手く言って本人に代わらせた。
「早く治して学校に出てこないと、いろいろと大変な事になるからね」
“大変な事”それがどういう意味か、彼女には伝わったはずである。

次の日、彼女は登校して来た。
周囲は、顔色が優れないのを病み上がりのせいと思ったが、担任教師だけは本当の理由を知っている。さっそく放課後、あの空き教室へ呼び出し、従わなければ写真をネット上にばら撒くぞ、と念を押した。
「彼氏に見られたくないだろ?」
もちろん、本当にそんな事をすれば、林田自身もただでは済まぬ。こけおどしであったが、この教え子にはそれで充分だ。瞬時に表情がこわばった。他の生徒よりしっかりは見えても、所詮少女である。
その後、少し麻縄で遊んだが、遙は素直に従った。

それから毎週土曜日午後は、空き教室が調教部屋と化す。
周囲に怪しまれないように、バレー部の練習には一旦顔を出させる。適当な理由を作り、午後の練習を抜けさせては数時間、体操着姿の教え子を堪能した。制服姿も悪くは無かったが、着替えさせる時間も惜しまれたのだ。どうせ最後は脱がすのだから。
処女膜は残してある。毎回、丹念に膜を拡げながら、ネチネチと辱めの言葉を聞かせた。心の貞操は奪っていたが、肉体は以前のまま、繰り返し処女破りの瞬間を楽しんだ。遙にとっては無間地獄に思われただろう。林田は、そのアンバランスに苦しむ、少女の心の内を想像し、益々悦に入るのだった。

やがて、処女膜がすっかり緩くなり、その楽しみがなくなると、男の興味はアナル向かった。恥辱の浣腸プレイの後、彼は膣のそれと同様に、充分に肛門をほぐしながら、ますます彼女を貶める言葉を叩き付ける。それは以前よりも、さらに辛らつで下劣なものだった。

第十一話へ続く

文章 やみげん
写真 杉浦則夫
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食虫花 ~美少女・内山遙~9

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第九話【侵食】

遙は懸命に、初めての異物感と戦っている。汚らわしい中年教師の指の侵入を拒もうと、股間に力を込めるのだが、無駄な抵抗であった。膣の内側を、クイクイと刺激されるたび、下腹部から脳髄に掛けて、鈍く電流が走る。未体験の刺激に、「あぁっ」と思わず声が出てしまう。林田は、その反応に満足しニタリと笑うと、さらに指と舌で遙の秘奥を弄り続けた。彼女はこれが悪夢であってくれる事を願い、早く覚める事を祈るのだった。両親や恋人、そして友達の顔が過ぎる。(助けて、助けて!)と何度も心の中で繰り返した。

内実はそうであっても、固く目を閉じ恥辱に耐える姿は、これまでのどの教え子よりも気丈に見える。だが、それもまた変態教師を欲情させた。
ここに赴任して以来、自分を悪とし、糾弾して来た遙を、出来るだけ惨めに辱めてやろう。わざと大げさに舌なめずりをし、ジュルジュルゥゥと遙に聞こえるように音を鳴らしながら、指を咥え濡らすと、少女の深部へ塗りたくるのだった。

ふぅーっと、意識が遠のく瞬間があった。
幾度目か。遙は、不潔極まりない中年男の唾液の中に、目に見えぬ微細な蛆虫の如き生き物を幻視する。何千何万もの無数の蟲が、膣の中を這い回り、彼女の中の神聖な場所を侵食していく。
「いやぁぁぁぁ!」
か細い悲鳴が、糸を引くように長く発せられた。
気が付くと、その蟲が巨大化し目の前にある。林田は、ズボンを脱ぎ、己の肉棒を遙の目の前に晒していた。風呂上りに見せた、父親のソレすら良くは覚えていない。だが、威きり立ちドクドクドクと脈打つ怒張が、何を意味するかは、初めての彼女にも理解できた。

「お願いです…先生、もう…ゆ、許してください…入れるのだけは…」
「今頃、頭を下げても遅いんだよ!」
安心しろ、処女膜は残してやるからな。彼氏には内緒にしておけば良い。
哀願する教え子の縄を一旦解き、椅子から降ろす。その身を、カビ臭い体育マットに放り投げた。そして体操着を毟り取ると、再び後ろ手に縛って抵抗を奪う。

全裸に剥かれた艶麗な体。林田は満足げに、美肌の感触を確かめながら、じっくりと愛撫した。乳首が勃っている。なんだ、感じてるじゃないか。こうやって縛られて犯されるのが良いのか。そう言ってからかってやった。少女は、死にたくなるほどの下賎な嘲笑から逃れようと、モソモソと体をくねらせる。男はその姿にますます興奮した。
彼女の股間を弄る。すでに、処女を疑うほどに濡れており、男を誘っていた。
「入れるぞ!」
膣は、やはり少し硬かったが、ズップリと標準サイズのオトコを飲み込んでいく。
「やだ、やだ、やだ…うぅ…やだぁ…うぅぅ」
少女は、しくしくと泣き始めたが、丹念に処女開発を行った御蔭で、流血や痛がる事はなかった。

途中、遙は「くっ、ぬぅぅぅ」と声を発し、一瞬、全身を硬直させた後、白目を剥きながらビクリ、ビクリと数度、痙攣した。
驚くべきことに、彼女は処女喪失と同時に初めてのアクメに酔っていたのだった。なんという淫らな身体。

「どうだ、遙、気持ち良かっただろ?え?」
林田は凌辱したばかりの教え子を下の名前で呼んだ。
今日はこのくらいにして置いてやる。だが、終わったと思うなよ。これからじっくり調教して、立派なM女に育ててやるよ。お前には素質がある。教え込まなきゃならない事が、まだまだあるのだ。
「そのうち、こっちの味も教えてやるからな」
不意にアナルに指を突っ込まれ、慌てて菊座をすぼめる。喉奥で、「ンンクッ」と上げた微かな声は、音にならなかった。今の遙には、その程度の反応をすることしか出来ない。緊縛されていなければ、肉体の形を留めていられないほど、脱力していた。

林田は容赦なく、彼女の、そのだらしない姿も携帯電話で撮影した。もちろん口封じ目的である。この教え子は絶頂を知ったのだ。ならば数日の時間を掛け、ハメ殺しにして色呆けさせるのが何より安心できるのだが、それは適わぬ事だろう。学校は、監禁調教には不向きな場所であった。

練習を終えたバレーボール部員達が、この階へと戻って来るのは、それから間もなくの事である。

第十話へ続く

文章 やみげん
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食虫花 ~美少女・内山遙~8

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第八話【処女開発】

さて、筆者としては、内山遙さんの物語を書くにあたり、本作執筆中ずっと、パソコンの壁紙として彼女を飾らせて頂いた。彼女の性格や、家族・交友関係などを設定し、なるべく感情移入を心がけたつもりである。
もともと、見るからに愛らしいく、透明感のある方だったので、程なく彼女の魅力に取り込まれてしまった。だから処女喪失の場面は、出来れば美しい描写にしたいと願ったが、鬼畜教師・林田の邪悪な願望に、強く押される形で物語は進行していく。

教室の空気は淀み始めていた。
締め切った教室。少しずつ、温度が上昇している。高まる興奮に比例する中年男の発汗。そして、あの嫌な体臭が空気を汚染し始めていた。遙の呼吸に乱れがある。
死ぬほど恥ずかしいM字開脚の格好で、椅子に縛り付けられた少女は、その姿勢以上に息苦しさを味わっていただろう。
無防備に開けられた股間を、林田は目を細めて覗き込んでいた。

「どうせ男とハメまくりなんだろ」
「し、知りません!そんな事!」
「とぼけてもダメだぞ、今からココを調べてやるからな」
遙の相手は大学生だ。どれほどの期間付き合っているかは知らないが、こんな美少女の体に手を出さなどという事は、エロ教師には考えられない。純愛であるはずが無かった。だから、彼女が処女か非処女かに関しては、“ハズレ”であると諦めている。花弁を割り、子房の口を眼前に晒すまでは。

(ひょっとして、本当に処女なのか?)
綺麗なピンク色をした肉襞である。ごくりと唾を飲み込む。
指を差し込むと、遙は全身を緊張させた。硬い。膣の浅い部分で処女膜が、彼女の貞操を守っているのが分かった。紛れも無く処女である。「今時」と言えばそれまでだが、これまで対象とした“目立たず、交友関係も狭い”はずの少女達でも、処女でない者が多く含まれていた。(何にも知らないような顔をして、やる事はやってやがる!)自分の事は棚に置き、怒りに似た感情を覚えた。これほど“環境”に恵まれた強姦魔であっても、処女に当たる事は至難の時代になっている。

「おまえ、彼氏に大事にされていたんだな」
くくくっ。自然と笑いが込み上げてきた。恋人よりも先に、お前が馬鹿にし、蔑んでいる中年男に、これから処女を奪われる気分はどうだ。
悔しい…こんな奴に。そんな遙の表情に、林田は益々加虐心を煽られる。

彼には、一度やってみたい事があった。
保管されていた棚の中に医療用の綿棒を見つける。教え子の陰部をネットリと嘗め回し、自身の唾液で浸す。まだ誰にも見られた事の無い大切な場所を暴く。そして唾液で滑った綿棒を差し込むと、処女膜を少しずつ広げていった。襞状の器官が、ヒクヒクと開閉する。遙の貞操はその向こうにあった。

頃合を見て指を一本差し入れる。ヌルリと入った。肉壷の奥で徐々に愛液が染み出してきたのが分かった。唾液と愛液が交じり合う。さらに丹念に、磨き上げるように扉をなぞり、徐々にこじ開けていく。少女は細い声で、「い、いや…やめて…いやぁ」と虚空にSOSを打ち続けた。
遙は、自身の股間に、これまでにない熱を感じている。指の数が二本になり、三本になる頃には、臀部へ垂れ出した愛液が四筋五筋と濡れ光っていた。

第九話へ続く

文章 やみげん
写真 杉浦則夫
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食虫花 ~美少女・内山遙~7

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第七話【尋問】

麻縄を手にしてからの林田の行動は、素早かった。何度もシミュレートしたのだ、抜かりは無い。遙の腕を取り、後手にしたかと思うと、見る間に縄を掛けていく。想像を超えた、担任の異様な行動。彼女は混乱し、どう反応してよいものか戸惑っている。
やや小振りの乳房を挟んで、きつく掛けられる縄が少女の胸を圧迫していった。

「変態教師…最低」
乱れた髪の奥から、キッと刺す目は怒りに満ちていたが、内心は、牙を剥いた担任教師に恐れおののいている。泣き出しそうな自分が居た。遙はそれを悟られまいと、目一杯の虚勢を張る。
「早く!縄、解いて!大声出すわよ!人を呼ぶわよ!破滅させてやる!」
ふん。出せるものなら出してみろ。男には余裕があった。
初動で暴れるなり、悲鳴を上げるなりしなかったのを見て、(助けを呼ぶタイミングを逸したな)と、ほくそ笑んだに違いない。教育者としては甚だ不適格であったが、思春期から青年期へ移行途中の、少女達の複雑な心理を熟知している。どれほど毛嫌いしようと、対峙しているのは、顔見知りの教師なのだ。遙が、校舎の外に届くほどの大声を出すには、よほどの勇気が伴うはずであった。一見、大胆に見えても、教え子凌辱計画は、彼なりの理屈で緻密に組み立てられたものだった。
万一、騒がれても良い。今朝、中庭をはさんだ別校舎の職員室で、数人の同僚を見かけたが、おそらくこちらの校舎の中には二人きりだ。隣の校舎、職員室の在る一階では、ここ四階で起こっている異変に気付くのは、至難であろう。

それでも彼女が、とっさに悲鳴を上げ、助けを求めていれば、あるいは違った展開になっていたかも知れない。なぜならこの時、ちょうどバレー部の練習が休憩に入り、何人かが体育館の外で、たむろしていたからである。体育館は、四階から見下ろせる位置にあった。
「自分で何とかしてみせる」そんな遙の負けず嫌いの性格が、災いしていた。

「そうか、破滅させるのか…」
助けを呼べるものなら呼んで見ろ。教師はいきなり教え子のブルマを摺り降ろした。「ヒッ!」呑んだ息が、辛うじて小さな悲鳴となる。
「こんな格好で先生と二人きりと知れたら、お友達はどう思うかな?どう見てもSMプレイだな」
噂に尾鰭が付いて、学校に居られなくなるぞ。奴らは面白おかしければ何でも良いのだ。俺も破滅だが、お前も道連れにしてやる。
「それに…お前」
大学生と付き合ってるそうじゃないか。自分の彼女が中年男とSMプレイとは。恋人もきっと悲しむと思うぞ。(そんな事、何で知ってるの?)それまで強気だった、遙の顔が曇る。
「そいつとは、今まで何回SEXしたんだ?」
「あんたに関係ないでしょ!」
無礼な言葉遣い。自分の置かれた立場が理解できていないのか。まぁ良い。じっくり教えてやるさ。
「どこの大学かは知らんが、女子高生を喰うとはとんでもない奴だ!それこそ淫行条例違反だな」
「彼とは一度もそう言う事はありません!」
「嘘を吐け!」
そんなやり取りが数分続いた。

「本当の事を言え!」「ネタは上がってるんだ!」「バカにしてるのか!ああん?」
遙が卑猥な質問を拒絶する度に、床を打つ竹棒の音が教室に響く。
それに合わせ、威勢とは裏腹に、ビクッビクッと反応する教え子の姿が、担任教師には、たまらなく愉快であった。
元々、この男はそういった“嗜好”なのだ。単に女を抱くだけでは満足しない。相手の抵抗が大きければ大きいほど、支配の過程を楽しめる。かといって、自立した成人女性を標的にするわけでもなく、矛先は弱い女生徒達に向けられた。そこに林田の屈折がある。そういった意味で遙は、男の欲望を満たす条件が揃った、まさに格好の獲物と言えた。

(そうだ、これだ!求めていたのはこの感じなのだ)

第八話へ続く

文章 やみげん
写真 杉浦則夫
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