放課後の向うがわⅡ-43

「形のいいお鼻で、うらやましいわ。
 でも、息が出来ないでしょ?
 どうします?
 このまま死んじゃう?」

 理事長の顔に、曙のように朱が差した。

「あふ」

 理事長の口が、わずかに割れた。
 歯間をうかがってたバイブは、その瞬間を逃さなかった。

「あが」

 バイブの先端が、城郭を割った。

「ほほ。
 咥えた咥えた。
 どう?
 美味しい?
 もっと、口いっぱいに頬張っていいのよ」
「はぐぐ」

 理事長の前歯が、バイブに食いこむほど噛み締められた。

「スゴいスゴい。
 生身のちんちんだったら、千切れてるわ。
 だから……。
 強姦もののAVでイラマさせるなんて、非現実的なのよね。
 女の顎が閉じたら……。
 ヤワな海綿体なんて、タラコみたいに食いちぎられるに決まってるもの。
 でも、このバイブくんは……。
 痛みを感じないんですね。
 ほら、もっと咥えてって」
「ぎぎぎ」
「強情な女。
 ま、いいわ」

 あけみ先生は、理事長の鼻から手を離し、床のクリップを拾い直した。

「さーて。
 さんざん悪態をついてくれた罰を受けてもらうわ。
 このクリップで、生意気な舌を挟んであげる。
 ほら、あーん。
 あ、舌引っこめた。
 ほんと、素直じゃないんだから」
「岩城先生、お願いだから止めて」
「今ごろ何言ってるの。
 あなたがちゃんとセリフ言わないから、理事長がこんな目に遭ってるのよ」
「言います。
 言いますから」
「もう遅いわ。
 オーディションは、とっくの昔に終了しました。
 ほら理事長、舌出して」

「ふふ。
 可愛いベロちゃん。
 暗闇に隠れようったって、そうはいかないわよ。
 このバイブね……。
 光るのよ。
 どこのアホがこんな仕掛け、思いつくのかしらね。
 光ってどうすんだって感じよね。
 それが、こんなときに役立つとは……。
 発明者でも、気がつくめい。
 ほーら、スイッチオン。
 綺麗綺麗。
 ベロちゃん、もう逃げも隠れも出来ませんよ」

 あけみ先生は、クリップを理事長の口に挿し入れた。
 理事長の痛みを想像すると、お尻の穴が絞られるようだった。
 あけみ先生は、アルカイックな微笑みを湛えたまま、指先を微妙に動かしてる。
 いかにも器用そうな手つきだった。
 その手先が、針を突くような仕草で動いた。

「はぎ」

 理事長の表情が歪み、全身が跳ねた。
 銛に突かれた魚みたいだった。

「ほーら、釣れた」

 あけみ先生は、クリップのチェーンを真上に引いた。
 チェーンは真っ直ぐに張り、光を返して輝いた。

「ふふ。
 引いてる引いてる。
 ほら、美里。
 見えるでしょ?
 わたしの獲物」

 クリップがバイブに触れて、カチカチと鳴った。
 クリップの先に挟まれた、生々しい肉色が覗いた。
 舌が、歯間を抜けて来た。

「理事長。
 今、バイブ抜いてあげますからね。
 でも……。
 間違っても、クリップを歯で外そうなんて考えないで。
 このクリップ、かなり強力だから……。
 無理に引っ張ると、舌の縁が切れちゃうかも。
 舌なんか止血のしようがないんだから、血が止まらなくなりますよ。
 いいですね。
 それじゃ、バイブ外します」

 あけみ先生が、バイブを引き上げると……。
 理事長の顔が、一緒に上がった。
 理事長の歯が、バイブを噛み締めてたのね。
 たぶん、舌の痛みがそうさせたんだと思う。

「そんなに気に入ったの?
 でも、これはおあずけ。
 ほら、離しなさいって」

 あけみ先生は、釘抜きを使うように、バイブを捏ねた。

「がっ」

 理事長の口から、バイブが外れた。

「ほら、スゴい。
 こんなに歯型が付いてる。
 生身の男だったら、間違いなく千切れてたわね。
 ほら、もっと舌出して」

 あけみ先生は、チェーンを小刻みに引いた。
 理事長の顔が、大きく歪んだ。
 背中が、アーチを描いて持ちあがる。

「岩城先生!
 お願い。
 お願い、助けてあげて!」
「痛そうよね。
 それじゃ、仲の良いお2人には……。
 痛みを分かち合っていただきましょうか。
 この反対側のクリップを……。
 やっぱり、この乳首よね。
 見事なとんがり乳首。
 ここに繋げてあげましょう。
 ほら、川上先生」

 川上先生は、胸元に近づいたクリップを避けるように身を反らした。

「あら。
 そんなことしていいの?
 言ってることと違いますわよ。
 いい?
 このチェーンは短いの。
 あなたが身を反らせたら……。
 理事長の舌がよけいに引っ張られることになるのよ。
 ほら、身体を倒して。
 さもないと……」

 あけみ先生は、手元のチェーンを引いた。

「はがっはがっ」

 理事長が全身で跳ねた。

「止めて止めて!」

 川上先生が、懸命に身体を前に倒した。

「そうそう。
 それでこそ“愛他の女神”よ。
 じゃ、お望みどおり……。
 挟んであげる」

 クリップの口が、煌めくように開いた。

「えい」

 その口が再び閉じたとき、狭間には肉色の突起が挟まれてた。

「痛いっ。
 痛い痛い痛い」
「暴れると、理事長の舌が千切れるわよ。
 そしたら、あなたが殺人者だからね」

 川上先生は、額に阿修羅みたいな皺を波立たせながら、懸命に身を折った。

 理事長の舌を引っ張らないようにしたんだろう。
 その心根を思うと、わたしの胸も切なく痛んだ。

「美里、どうしたの?
 そんな顔して。
 なんか……。
 鬼でも見る目ね。
 助けてほしい?
 そんなら、あんたが身代わりになる?」

 もちろん、首を縦には振れなかった。

「あなたは、わたしの助手なんだからね。
 立派な共犯者。
 それを忘れないでちょうだい」

 あけみ先生に決めつけられ、わたしは俯くしかなかった。

「でも、改めて見ると、スゴいオブジェが出来ちゃったわよね。
 もし、全裸の男をここに放りこんだら、どうするかしら?
 って、やることはひとつよね。
 まずは、そうね……。
 川上先生かな。
 腰を落として、立ったままの正常位。
 大きなお尻を抱えながら、狂ったように腰を振るわね。
 あっという間に追い詰められる。
 でも、必死に断崖で踏みとどまるわ。
 だって、おまんこはもうひとつあるんだもの。

 男は、川上先生の中から、ゆっくりとちんぽを抜いていく。
 テラテラと光る肉茎には、練られて白濁した膣液が網目を描いてる。
 亀頭まで抜けたちんぽは、反動を付けて跳ねあがり、腹筋を叩く。
 男は、ゆっくりと理事長の足元に回りこむ。
 天を指して怒張するちんぽを、片手で押し下げる。
 切っ先からは、先走り汁が、糸を引いて下がってる。
 もう限界。
 そのまま膝を付いて、にじり寄ると……。
 理事長のツルツルまんこに、思い切り突っこむ。
 2,3度腰を振っただけで、男は喉も裂けよと絶叫する。

『出る!
 出る!』

 男は、煽った腰をぶつけたまま凝固する。
 尻たぶが激しく収縮し……。
 毒液が、理事長の膣深くぶち撒けられる。
 男は、濡れ犬のように身を震わせると、そのまま仰向けに転がる。
 でも、ちんぽはまだ、理事長のまんこに突っこまれたまま。
 2人は尻を合わせて、仰向けに繋がってるの。
 白目を剥いた男が、断末魔のように痙攣すると……。
 ようやくちんぽが抜けた。
 射出口に残る精液が跳ね、投げ縄の軌跡を宙に描く。
 まだ硬度を保ったちんぽは、男の腹筋を叩いて鎮まった。
 亀頭には、名残の精液が珠を結んでる。
 その雫が、落ちると同時に……。
 理事長のまんこから、放出された精液が溢れ出す。
 栗の花の香りを噴きあげながら……。
 白い泥流が、理事長の尻の穴を埋め尽くしていく。

 はは。
 また、妄想モードに入っちゃったね。
 でも、理事長。
 ほんとに、その格好で犯されてみたくないですか?
 って、聞いたって、返事は出来ないか。
 口も利けないし、首も振れないものね。
 でも、ほら。
 柱のちんちんが、理事長のまんこ、睨んでますよ。

 突っこみたいって。
 内臓を掻き回したいって。
 どう?
 味見してみる?
 嫌なの?
 どうなのよ!
 あ、お返事出来なかったんだっけ。
 じゃ、わたしが勝手に解釈するしかないわね」


本作品のモデルの掲載原稿は以下にて公開中です。
「川上ゆう」 「結」 「岩城あけみ」

《説明》
杉浦則夫の作品からインスピレーションされ作られた文章作品で、長編連載小説のご投稿がありました。(投稿者 Mikiko様)
本作品は毎週日曜日に公開される予定となっておりますので、どうぞお楽しみに。
前作を凌ぐ淫靡と過酷な百合緊縛!「川上ゆう」さん、「YUI」さん登場予定作品です。
時を越え、再び出会った美里とあけみ。現在に戻った美里は、さらなる花虐へと誘われていく…。


放課後の向うがわⅡ-42

「ほほっ。
 そうよね。
 大丈夫よね。
 ていうか……。
 大好きなんだもんね。
 こんなふうに、苛められるのが。
 そういうの、マゾって云いますのよ」
「違います」
「違わないでしょ。
 こんなに乳首、尖らせておいて」
「クリップに、挟まれてるから」
「わたしが言ってるのは、挟まれてないほうの乳首よ。
 ギン起ちじゃないの」
「違います違います」
「まぁ、さっきは教師の鏡だったのに……。
 今度は、教師にあるまじき言動だわ。
 先生、嘘はいけませんね」
「嘘なんかじゃない」
「そんなら、そのお股の汁は何なの?」
「それは……。
 さっき、バイブで……」
「それは、さっきでしょ。
 今、流れてるのは、何なのって言ってるの」
「……」
「今度はだんまり?
 何とか言いなさいよ。
 じゃ……。
 言わせてみせよう、ホトトギス」

 あけみ先生は、クリップを繋ぐチェーンを摘んだ。
 そのまま、ゆっくりと後退る。
 銀の鎖は、虚空に“く”の字を描いた。

「感じる感じる。
 2人の体温。
 チェーンを伝って、昇って来るわ」
「くくく」
「痛い?、川上先生。
 じゃ、おしっこ漏らしたら、許してあげる。
 ちょうど、犬がおしっこするポーズじゃないの。
 そのまましてごらんなさい。
 理事長、びしょびしょにしてやって」

 川上先生は、大きくかぶりを振った。

「岩城先生。
 ほんとにそれで、ゆうちゃんを助けてくれるの?」
「もちろん」
「ゆうちゃん、いいのよ。
 そのままおしっこして」

「できない。
 そんなこと、できません」

「気に入らないわね。
 本音を言いなさいよ。
 相手はどうなってもいいから、自分だけ助けてって」
「わたしたちは、あなたとは違うの!」
「あら、ご挨拶ね。
 憎たらしい口。
 あー、思い出してきた。
 この塔の建設当時。
 その口で、毎日毎日命令してくださしましたよね。
 ちょっと黙っていただこうかしら」

 あけみ先生が、理事長の乳首を挟むクリップに手を伸ばした。
 理事長の背筋に、力線が走った。
 上体を捻り、起きあがろうとしたのだ。

「おっと」

 一瞬早く、あけみ先生が肩を押さえつけた。
 理事長の上体が潰れる。

「危ない危ない。
 脚が自由なの、忘れてたわ。
 美里、理事長の身体、こうやって押さえてて。
 早く」

 言われるままに、理事長に被さる。
 何の香水だろう。
 かなり強い香りなんだけど、鼻を刺すような鋭さはなかった。
 逆に、わたしの顔を包みこむ、蒸気みたいなやわらかさを感じた。
 たぶん、香水と汗が混じった匂いなんだと思う。
 なぜだか、これが本物の香水の香りなんだって感じた。
 香水は、汗と混じって初めて、本物の香りを噴きあげるんだって。

 その間にも、あけみ先生の手は休まなかった。
 理事長の下半身に回り、膝上にロープを巻いてる。
 見とれるほどの手際だった。
 細めのロープが、重ならずに綺麗に並んでいく。

「ほら、脚あげて。
 オシメを替えてもらうポーズよ。
 赤ちゃんのとき、してたでしょ?
 覚えてない?
 嘘おっしゃい。
 今でも、毎晩やってるくせに。
 おまんこ舐めてぇ、って」

 あけみ先生は、理事長の太腿を持ちあげようとした。
 理事長は、脚をバタつかせて拒んだ。
 あけみ先生は、宙を蹴る膝下を胸の前に抱えた。
 そのまま、お尻を下ろす。
 お尻が理事長の腿裏を押さえつけ、理事長の脚は、お腹にくっつくまで折り畳まれた。
 あけみ先生は、体重を乗せたまま手を伸ばし、理事長の脚と上体をロープで繋いだ。
 理事長の抵抗も虚しく、もう1本の脚も、あっという間に畳まれた。

「ほら、おねだりポーズのできあがり。
 仰向けで、おまんこ全開。
 この格好、大好きでしょ?
 言ってごらんなさい。
 おまんこ舐めてって」
「いやよ。
 あなたとは違うわ」
「どう違うの?
 おんなじよ。
 お汁を垂らすおまんこを持った、雌同士じゃないの。
 ほら、理事長の腿裏に、わたしのお汁が光ってる」
「解いて!
 解きなさい!」
「まだ、わからないの?
 命令できる立場じゃないってことを。
 そんな口が、二度と利けないようにしてあげるわ」

 あけみ先生は、理事長の乳首からクリップを外した。

「ほら、お口開けて」

 もちろん、理事長が従うわけない。
 口を一文字に引き締めたまま、あけみ先生を睨みあげた。

「まぁ。
 素敵な眼差しですこと。
 そんなお顔が出来ないように……。
 心を折ってさしあげますわ。
 このチェーンじゃ、長すぎるわね」

 女王さまは、川上先生の乳首からもクリップを外した。
 床から、別のクリップを拾いあげる。
 今度のは、クリップを繋ぐチェーンが、ずっと短かった。

「ほら、お口開いて。
 まだ言うこと聞かないわけ。
 美里、そこに転がってるバイブ、拾って。
 そう。
 持ってきて。
 ふふ。
 ほら、理事長。
 大好きなオモチャが届きましたよ。
 でも、下のお口はお預けね。
 上のお口に咥えるのよ。
 ほら、あーん」

 理事長は、頬に腱が走るほど口元をきつく閉めた。

「相変わらず悪い子ね。
 わたし、自分の筋書き通りに事が進まないと、いらいらするの。
 手荒なことはしたくないんだけど……。
 仕方ないわね」

 あけみ先生は、バイブの先を理事長の口元に近づけた。
 理事長は首を振って逃れる。

「そうか。
 縄でがんじがらめにしても、首だけ動くっての忘れてた。
 じゃ、こうやって固定しようか」

 あけみ先生は、立膝の姿勢を取った。
 そのままにじり寄り、理事長の頭を両膝で挟む。

「どう?
 動けないでしょ。
 ははは」
「止めて!
 岩城先生、ほんとに止めて」
「あら、川上先生。
 そんなこと言って。
 ほんとは、このバイブが欲しいんじゃなくて?
 おねだりしたら……。
 ちょっとだけ味見させてあげる」
「そしたら、理事長先生は許してもらえますか?」
「それは、川上先生のセリフしだいよ。
 心を込めて、迫真のセリフを言ってくださいね。
 はい、オーディション、スタート。
 ほら、言って」
「そのバイブを、わたしにください」
「カーット。
 なにそれ?
 ダイコンにもほどがあるわ。
 英文和訳じゃ無いのよ」
「じゃ、なんて言えばいいんですか!」
「仕方ないわね。
 じゃ、わたしの言うとおり続けるのよ。
 『その、ズル剥けの犬のちんぽみたいなピンク色のバイブを、わたしの発情したまんこに、思いっ切り突っこんでください』。
 はい、言ったんさい」
「……、そのバイブを」
「ズル剥けが抜けてる」
「ズル剥けの……。
 うぅ」
「また、泣いてごまかす。
 ほんとは、下のまんこの方が泣いてるくせに。
 可哀想だから、ちょっとだけ入れてあげる。
 先っちょだけよ」

 駆動音が立ちあがり、バイブがうねり始めた。
 あけみ先生は、理事長の頭を挟んだ立膝のまま、バイブを燭台のように掲げた。
 ピンク色の蝋燭が、天を指してくねってる。
 あけみ先生は、手を伸ばしたまま、ゆっくりと燭台を下げた。
 バイブが、川上先生の股間を見上げた。

「ほら、さっきの続き。
 『まんこに突っこんでください』。
 ほら、言って」
「ゆうちゃん、言っちゃダメ」
「あ、惜しい。
 今、口開いたのにね。
 うっかりしてたわ。
 今度、口が開いたら、容赦しないから。
 ほら、川上先生。
 どうしたんですか?
 セリフが途中ですよ。
 『ヤラしいお汁を垂れ流すゆうのまんこに、そのぶっといバイブをぶち込んでください』。
 もたもたしてると、どんどんセリフが変わっちゃうんだから」
「うぅ。
 助けて。
 理事長先生、助けて」
「ゆうちゃん!
 ゆうちゃん!
 岩城先生!
 この人でなし!」

 理事長は、阿修羅のような形相で、あけみ先生を見上げた。

「うるさい女。
 やっぱり、この口を先に塞がなきゃダメね」

 あけみ先生は、掲げたバイブを逆手に持ち替え、理事長の口元に近づけた。
 理事長の唇が、真一文字に閉じる。

「ほら、口開いて」

 理事長は懸命に顔を振って逃れようとするけど……。
 あけみ先生の両膝が、理事長の頭をがっちりと押さえつけてた。
 バイブの先端が唇を割った。
 でも、それ以上は進まない。
 象牙の城郭みたいな前歯が、敵の侵入を阻止してるのだろう。

「開かぬなら……。
 開かせて見せよう」

 歌うように唱えながら、あけみ先生のもう一方の手が、理事長の鼻に伸びた。
 鼻梁を摘む。


本作品のモデルの掲載原稿は以下にて公開中です。
「川上ゆう」 「結」 「岩城あけみ」

《説明》
杉浦則夫の作品からインスピレーションされ作られた文章作品で、長編連載小説のご投稿がありました。(投稿者 Mikiko様)
本作品は毎週日曜日に公開される予定となっておりますので、どうぞお楽しみに。
前作を凌ぐ淫靡と過酷な百合緊縛!「川上ゆう」さん、「YUI」さん登場予定作品です。
時を越え、再び出会った美里とあけみ。現在に戻った美里は、さらなる花虐へと誘われていく…。


放課後の向うがわⅡ-41

 床に仰向いた理事長の真上に、川上先生がぶら下がってた。

「暑っつ。
 美里、タオル取って。
 ほら、その柱に下がってるでしょ。
 バスタオル」

 畳の脇の太い柱には、手を横に伸ばせば取れる位置に、白いバスタオルが下がってた。
 タオルは、柱に付いた大きなフックに掛かってるようだった。

「うわっ」

 何の気なしにタオルを外したわたしは、その場で飛び退った。

「はっはっは。
 大成功。
 いいリアクションしてくれるわね」

 わたしが驚いたのは、タオルの方じゃなく……。
 タオルが掛ってたフックだった。
 柱からは、水平に男性器が突き出してたの。
 さっきのあけみ先生の話で……。
 理事長と川上先生が舐めてたというディルドゥに違いなかった。

「どう?
 試してみる?
 そいつにバージン捧げるってのも、ひとつの青春よ。
 ははは。
 冗談だって。
 タオル、持ってきて。
 ありがと」

 あけみ先生は、形ばかりの仕草で顔を拭くと、タオルを放り捨てた。
 そんなに汗なんて掻いてなかったみたい。
 タオルは、わたしを驚かせたくて外させたんだろう。
 そうとうテンションが上ってるようだ。
 むしろ、拭かなきゃダメなのは、股間の方だった。
 内腿には幾筋もの雫が伸びて、光を映すほど光ってた。

「お2人さん。
 ご対面ですよ。
 あらあら、まだ寝てる気?」

 理事長は、上体だけ縛られたまま、畳に仰向いてる。
 その上に被さるように、川上先生が吊られてた。
 川上先生の姿は、あられもなかった。
 戒められた両脚が、これ以上無いほどに開かれ……。
 股間を隠すものは何もない。
 しかも、その股間から会陰にかけては、明らかに濡れ光ってた。
 上下から縄で潰された乳房は下を向き……。
 乳首が、真下の理事長を指して突き出てる。
 その2人を、柱の男根がじっと見つめてた。
 一つ目の穴から、今にも精液が噴き出しそうだった。

「さてと。
 舞台は整ったと云うのに……。
 女優さん方は、いつまで寝てる気かしら。
 理事長先生、起きてください。
 もう、幕が上がってますわよ」

 あけみ先生は、理事長の腕を爪先でつついた。
 理事長の首が揺れ、うっすらと目蓋が開いた。
 瞳はまだ、夢の中に溺れてるようだった。

「やっとお目覚め?
 お望みどおり、2人一緒にしてあげましたよ。
 川上先生も、いつまで寝てるつもり?
 起きて」

 あけみ先生は、川上先生の肩を小さく突いた。
 川上先生の身体が、わずかに揺れる。
 目覚めをむずかるように、縄が軋んだ。
 川上先生の眉根に皺が寄った。
 意識が戻りつつあるようだ。

「むぅん」

 先に覚醒したのは、理事長だった。
 彷徨ってた瞳が、真上で焦点を結んだ。
 むろん、瞳が捉えたのは、自分に被さるように吊られた川上先生だった。

「ゆうちゃん……」

 その声が聞こえたのか、続いて川上先生も目を覚ました。
 理事長を呆然と見下ろしてた瞳に、生気が戻った。

「理事長先生」
「大丈夫?、ゆうちゃん」

 川上先生の顔が歪んだ。
 下を向いた瞳から、雨だれのように涙が零れた。
 涙の粒は、理事長の額にぼたぼたと降り注いだ。

「あら。
 いきなり愁嘆場なの?
 そういうの、好きじゃないのよね。
 どう?
 ご気分は。
 お望みどおり、2人一緒にしてさしあげましたのよ」
「岩城先生、もう許して。
 お願い」
「ダメー」
「川上先生だけでも、助けてあげて」
「いえ。
 岩城先生、お願いします。
 理事長先生の縄を解いて」
「うらやましいわね。
 仲がおよろしくて。
 理事長。
 お言葉どおり、2人一緒にしてあげたんだから……。
 女王さまを呼んでちょうだい。
 どうやったら来てくれるの?」
「わからないのよ。
 ほんとなの。
 突然現れるの。
 塔の鍵も持ってないのに。
 廊下に足音もせず、扉が開く音も聞こえない。
 なのに、この部屋に突然降り立つの」
「呆れた。
 それじゃ、ルルドのマリアさまじゃないの。
 2人のベルナデッタの前に、ご降臨されるって云うわけ?
 まるっきり宗教だわ。
 エロ宗教ね。
 そうか。
 2人一緒でも、サカってなきゃダメなのか。
 でも、残念ながら……。
 これ以上、2人は近づけないのよ。
 川上先生の縄、いっぱいいっぱいだし」
「だから解いて」
「バカ言うんじゃないわよ。
 解いてあげたら……。
 わたしの前で、レズビアンショーでも見せてくれるって言うの?
 なわけないでしょ。
 そうだ。
 直接は、触れなくても……。
 繋げてあげることは、出来るわ。
 美里。
 机のとこ行って。
 さっき、バイブの入ってた引き出し」

 机の方に身体を向けるとき、脚がもつれてよろけた。
 自分の脚みたいじゃなかった。
 夢の中の、ふわふわした地面を踏んでる感じ。

「ちょっと、美里、大丈夫?
 酔っぱらいみたいよ。
 場の空気に酔ったのかしらね。
 この2人の噴きあげるエロ蒸気が、空中で醸されたのかも?
 そうそう、その引き出し。
 開けてみて。
 クリップが入ってるでしょ。
 銀色のチェーンが付いてるやつ。
 そう、それ。
 あるだけ持ってきて。
 絡ませないようにね」

 大小さまざまなクリップが、チェーンで繋がってた。
 手の平に冷たい鎖を載せ、先生のところまで運ぶ。
 もちろん、こんなことするの初めてなはずなのに……。
 なぜだか、こういうことを幾度も繰り返してきた気がした。
 ひょっとしてわたしは……。
 どこか遠い古代の国で、こんな仕事に仕える小間使いだったのかも知れない。

「じゃ、その大きいやつを渡して。
 あとのは、そのまま持ってるのよ」

 先生は、クリップの片方を摘み、空中に吊るした。
 真下に伸びる細いチェーンの先には、もうひとつクリップが付いてる。

「これ、何に使うものだと思う?
 ふふ。
 これはね、女と女の命を繋ぐ道具。
 2人の体温がクリップを温め……。
 チェーンを渡って繋がるの。
 それじゃ……。
 どことどこを繋げてあげましょうか?
 お好きなところをおっしゃって。
 理事長先生」
「お願い、もう助けて」
「女王さまが来たら、助けてくださるわよ。
 早く来てくれるといいわね」
「あの方が来たら、あなたなんてやっつけられるんだから」
「ふふ。
 そんな筋書きじゃ、面白みに欠けるわね。
 やっぱり、どんでん返しが無いと。
 ちょっとだけ教えましょうか。
 このシーンの結末。
 突然現れた女王さまは……。
 そこで、昔の恋人と出会うのよ。
 わかる?
 それが、わたし。
 わたしとあの女王さまは、高校生のころからの恋人なの」
「嘘よ。
 そんなの、嘘だわ」

「ウソかどうかは、そのときのお楽しみね。
 ほら、早く呼びなさいよ。
 もたもたしてると……。
 わたし、責め殺しちゃうかも。
 大小便垂れ流して、骸になってからじゃ遅いでしょ。
 ほら、早くってば」
「助けて!
 お姉さま、助けて!」
「ほっほっほ。
 ほんとに呼んだわ。
 バカじゃないの?
 でも、そんなオバカな理事長って、嫌いじゃありませんわ。
 とーっても、可愛い。
 可愛すぎるから……。
 乳首、挟んであげる」
「ぎひぃ。
 痛い痛い痛い。
 痛いぃぃぃ」
「やかましい人ね」
「理事長先生!
 大丈夫ですか?
 岩城先生、外してあげて!
 お願い」
「まぁ、妬けちゃうわ。
 じゃ、川上先生が身代わりになってくださる?」
「代わります。
 だから、理事長先生を助けて」
「素晴らしい。
 わが校の校訓、“愛他の心”そのものだわ。
 まさに、教師の鏡。
 それじゃ、お望みどおり……。
 挟んであげるわね。
 理事長とおんなじとこ。
 ほら」
「あぎ」
「ちょっと、そんなにロープ揺らさないで。
 切れちゃうでしょ。
 どう、ご気分は?」
「い、痛いぃ」
「外してほしい?
 じゃ、おっしゃい。
 理事長のはそのままにして、自分のだけ外してくださいって」
「いやです。
 理事長先生のを外して」
「まぁ、ご立派。
 理事長先生、お聞きになりました?
 校訓の真髄、ここにあり!」
「ゆうちゃん!
 大丈夫?、ゆうちゃん。
 お願い、ゆうちゃんだけは助けて」
「でもわたし……。
 こういうの、嫌いなんだなぁ。
 お互いにかばい合うっての。
 化けの皮、剥がしてやりたくなっちゃう」
「ゆうちゃん、痛い?」
「だ、大丈夫です。
 わたしは大丈夫」


本作品のモデルの掲載原稿は以下にて公開中です。
「川上ゆう」 「結」 「岩城あけみ」

《説明》
杉浦則夫の作品からインスピレーションされ作られた文章作品で、長編連載小説のご投稿がありました。(投稿者 Mikiko様)
本作品は毎週日曜日に公開される予定となっておりますので、どうぞお楽しみに。
前作を凌ぐ淫靡と過酷な百合緊縛!「川上ゆう」さん、「YUI」さん登場予定作品です。
時を越え、再び出会った美里とあけみ。現在に戻った美里は、さらなる花虐へと誘われていく…。


放課後の向うがわⅡ-40

 あけみ先生は、再び起ちあがった。
 理事長を跨ぎ越し、川上先生の柱に向かう。
 真っ直ぐな脚は、内腿がかすかに擦れ合った。
 内腿は光ってた。
 ナメクジの這ったような筋が、膝頭まで濡らしてる。
 わたしは、思わず自分の足元を見下ろした。
 あけみ先生とは違い、肉付きの乏しい内腿は、隙間を作ってた。
 でも、ナメクジの筋は、先生と同じだった。
 真上から見下ろしても、陰核が包皮を持ちあげてるのがわかった。
 弄りたかった。
 思い切り。

「こら。
 何ボーっとしてんのよ。
 手伝っててば」

 あけみ先生は、川上先生の右脚を抱えあげてた。
 川上先生の右膝には、ロープが掛かってる。
 ロープは、斜め上方から伸び、右脚を吊ってる。
 あけみ先生は、そのロープをほどいてる。
 なぜだか、船の舫いを解いてるように見えた。

「さ、川上先生。
 理事長のところに行きましょうね」

 右脚を開放された川上先生は、爪先を畳に着いた。

「あ、その前に、お色直しが必要ね。
 お股を隠したお褌、取りましょう?
 理事長先生も、ツルツルのまんこ、剥き出してるし……。
 わたしたちだって、ほら。
 貝の剥き身のように、内蔵を晒してる。
 ほら、じっとしてってば」
「いやいや」

 川上先生は、あけみ先生の指を逃れるように身を捩った。

「どうしたのよ?
 今さら、何が恥ずかしいの?
 褌締めてる方が、よっぽど変だわ」
「解かないで」

 川上先生は、身じろぎを止めなかった。
 爪先立った右脚を軸に、身体を捻る。

「悪い子ね。
 やっぱり、元の格好がいいのかしら?」

 あけみ先生は、川上先生の後ろに垂れるロープを手に取った。
 天井の滑車からは、数本のロープが下がってた。
 川上先生の身動ぎのせいで、ロープはゆらゆらと揺れた。
 教科書で習った『蜘蛛の糸』を思い出した。
 でも、このロープは、人を救いあげる糸じゃない。
 人を吊り下げるためだけの糸。

「美里!
 ほんとに気の利かない子ね。
 こっち来て、脚押さえてって。
 持ちあげるの」

 言われたとおり、川上先生の右脚を抱えあげる。
 みっしりと肉の付いた脚は、持ち重りがした。
 もちろん、先生がじっとしてないせいもあった。
 抱える両腕の中で、脚は回遊魚のように暴れた。

「ほら、もっとこっち」

 あけみ先生が、暴れる魚に縄を打つ。
 熟練された手わざに、たちまち魚は蹂躙された。

「よしよし。
 いい格好。
 やっぱり、お股を開いた方がお似合いよ。
 それじゃ、お褌、取りましょうね」
「取らないで。
 それを取らないで」
「ずいぶん気に入ってくれたものね。
 嬉しいわ。
 明日から、毎朝締めてあげようか。
 縄のお褌で授業をするのよ。
 でも、今日は取ってもらうわ」

 よく撓う奇術師みたいな指が、たちまち縄を解いていく。
 川上先生の股間から、縄の束が失われた。

「はい、ご開帳。
 気持ちいいでしょ?
 きっと蒸れ蒸れね。
 どれどれ」

 あけみ先生は、わざとらしい仕草で身を屈めた。
 もちろん、顔を近づけたのは、川上先生の股間だった。

「み、見ないでぇ」
「すごーい。
 こんなにしちゃって。
 なんでお褌を取りたがらないかと思ったら……。
 こういうこと。
 美里も見てごらん。
 こんなに浅ましいまんこ、初めて見た。
 お汁塗れ」

「うっ、うぅ」

 川上先生は、顔を伏せて泣いた。
 でも、その股間は、もっと号泣してた。
 縄に潰された陰唇が捩れて、膣口が覗いてる。
 陰唇も膣も、工作糊を溶かしたみたいな液に濡れてた。
 クリトリスが包皮を持ちあげてるのが、はっきりとわかった。

「なるほど。
 縄の刺激が良すぎたわけ?
 ちょっとでも身動きすると、締まるんだものね。
 陰核が潰されて、たまらないわね。
 少しだけ、弄ってあげましょうか?」
「止めて。
 助けて。
 これ以上、辱めないで」
「今でも、この上なく恥ずかしいと思いますけど。
 お尻の穴まで濡らしてるんですもの。
 お客様、どうぞ遠慮なさらずに。
 一回イカせてさしあげますわ。
 もちろん、無料で」

 あけみ先生の指先が揃い、川上先生の股間に添えられた。
 指の腹が、恥丘を隠してる。
 指は、一瞬持ちあがるように動いた後、力強く鍵盤を押さえた。

「あひぃ」

 肉で出来たピアノは、調律の狂った音色を奏でた。

「その声じゃ、もう崖っぷちね。
 簡単な女。
 ま、舞台転換のとき暴れられると困るから……。
 一度、気を遣ってもらうわ。
 美里、よく見てなさい。
 ピアニストの指の威力を」

 股間を押さえた指が、反りを打った。
 指は、白く色を変えてた。

「いきますわよ」

 指先が、細長いオーバルを描き始めた。
 押さえられたクリは……。
 ゴムのように伸ばされながら、引き回されてるに違いない。
 わたしは、思わず股間を引き絞った。

「あひぃぃぃ。
 やめてやめてやめて。
 イ、イッちゃう。
 イッちゃうから!」

「イカせてあげるから。
 ほらほらほら。
 練れて来た、練れて来た。
 納豆みたいに、糸引き出した」
「あがが。
 イグぅ。
 イグイグイグイグイグイグイグイグイグ。
 イッぐぅぅぅぅぅぅ。
 ……。
 わきゃ。
 ぅわきゃっ」

 川上先生が、全身で跳ね踊った。
 張り詰めたロープが唸り、天井の滑車が軋んだ。
 あけみ先生の手は、まだ股間から外れてなかった。
 すでにオーバルは描いてなかったけど、急所を押さえる力は緩んでない。
 とどめを刺してるようにも見えた。

「ぶぶぶぶぶぶぶぶ」

 川上先生は、口元からあぶくを零し、ようやく静まった。
 首が、魂を抜かれた人形みたいに倒れる。
 見開いた人形の目に、瞳は無かった。
 真っ白い双眸が、床を睨んでた。

「浅ましいイキかた。
 白目まで剥いちゃって。
 でも、もし男が……。
 女を、こんなふうにイカせられたら……。
 誇らしいだろうね。
 ほら、見てごらん、これ」

 あけみ先生は、ようやく股間から離した手の平を、わたしの前に翳した。
 指先は、電球の明かりを返して、ぬめぬめと光ってた。
 思わず、隠すものを失った股間に目が行く。
 そこは、溶け崩れてた。
 貝の剥き身にバターを塗したようだった。
 手の平に押さえられてた陰唇は、捲れあがって潰れてる。
 覗いた膣口は、米のとぎ汁のような雫を零してた。

「ふふ。
 美里も、そうとう気分出ちゃってるみたいね。
 でも、お預けよ。
 助手にまでイカれたら、舞台回しが出来なくなるわ。
 ほら、こっち来て。
 このロープ、持って」

 あけみ先生は、柱の後ろで蟠るロープを拾い上げた。

「そしたら、理事長の方に、ゆっくり下がって」

 言われたとおりに、後退る。
 ロープは、縛られた2人の中間で、斜めに張り詰めた。
 どうしていいか判らず、あけみ先生を見る。

「ちょっと待ってて。
 今、柱から解くから」

 あけみ先生は、川上先生の背中に回ってた。
 どうやら、柱に括りつけたロープを解いてるらしい。

「よし、オッケー。
 じゃ、そのままロープ引いて。
 ダメダメ。
 そんな小手先じゃ動かないわよ。
 体重を後ろにかけるの」

 ロープを持ち直し、ロープ登りをするように、胸元に引きつける。
 恐る恐る、後ろに凭れる。

「もっと。
 足の裏で踏ん張って。
 そうそう。
 ほら、動いた」

 川上先生の身体が、柱から外れてた。
 背中の支えを無くし、宙にぶら下がってる。
 驚いて、力を緩めた。

「どうしたの?
 大丈夫よ。
 美里が持ってるのは、天井の滑車を動かすロープ。
 ほら、天井の滑車は、レールから下がってるでしょ。
 レールに沿って、滑車を移動できるってわけ。
 ほら、引っ張って。
 後ろ体重」

 再び動き出すと、川上先生の身体が宙で振れた。
 真っ白い目を見開いたまま、ぶらぶらと揺れてる。
 壊れたマリオネットみたいだった。

「わたしが荷物押さえてるから、大丈夫。
 ゆっくりね。
 そうそう。
 ふふ。
 ほんと、お肉屋さんの倉庫よね。
 世にも珍しい、生きた人肉だけを扱う倉庫。
 あ、足元気をつけて。
 そこから畳になってるわよ。
 あら、お行儀いいのね。
 ちゃんと靴脱いで。
 はい、もう少し引いて。
 ゆっくり。
 よーし、ストップ。
 どうよ?
 ものの見事に位置が合ったわ」


本作品のモデルの掲載原稿は以下にて公開中です。
「川上ゆう」 「結」 「岩城あけみ」

《説明》
杉浦則夫の作品からインスピレーションされ作られた文章作品で、長編連載小説のご投稿がありました。(投稿者 Mikiko様)
本作品は毎週日曜日に公開される予定となっておりますので、どうぞお楽しみに。
前作を凌ぐ淫靡と過酷な百合緊縛!「川上ゆう」さん、「YUI」さん登場予定作品です。
時を越え、再び出会った美里とあけみ。現在に戻った美里は、さらなる花虐へと誘われていく…。


放課後の向うがわⅡ-39

「わがままな先生ね。
 わたしは、まぁくんと違って……。
 便利な奴隷じゃありませんの。
 この場を支配するのは、あくまでわたし。
 今日は……。
 徹底的に焦らしの刑」
「いやぁぁぁ」

「あら、泣いちゃった。
 ふふ。
 ほんと、苛め甲斐があるわ。
 どうしたの、山下さん?
 真後ろから、ガン見しちゃって。
 イヤらしいでしょ。
 これが、発情した雌のおまんこよ。
 真冬なら、湯気が立つでしょうね。
 しかし、どうかしら、この下半身のボリューム。

 素晴らしい豚さんだわ。
 真っ白いお肉の、食べごろの雌豚さん。
 そうだ。
 豚さんには……。
 お肉屋さんの貯蔵庫みたいに、ぶら下がってもらいましょうか。
 みんな、いい?
 もう一度、ロープ引っ張って。
 はい、何人か加勢。
 せーの。
 オーエス、オーエス。
 ほら、浮いた浮いた」
「怖いぃ」
「暴れないでよ。
 ロープが切れたら、顔から落ちるんだから。
 そこの人たち、こっち来て。
 机、片付けて。
 宙に浮いちゃった豚さんには、もうベッドは必要ないから。
 どう、川上先生。
 ご気分は?」
「助けて助けて」
「机を外したら、いっそう高く見えるでしょ。
 ちょっとだけ、ぶらーんぶらーん、してみましょうか。
 ほーら」
「ひぃぃ。
 止めてぇぇぇ」

「なんだか、ロープが危なそうだわ。
 ピキピキ鳴ってる。
 先生、落ちちゃうかも?」
「あわわわわ」
「しかし、スゴい格好よ。
 まぁくん呼んで、突っこんでもらいましょうか?
 この格好でセックスした人って、世界で初めてかも。

 バイブでもいいか。
 やってみる?
 どうしたの、山下さん?
 え?
 ロープが、ブチブチ言ってる?
 あ、ほんとだ。
 川上先生!
 危ない!
 あぁっ」

「おぉっと。
 また、妄想にのめり込んじゃってた。
 でも、川上先生良かったわ。
 落っこちたのが、わたしの妄想の中で。
 もし本当だったら、その綺麗なお顔が潰れちゃってたもの。

 ね?
 ふふ。
 ほんとにやってあげようか?
 逆さ吊り。
 ここに、加勢してくれる生徒たちはいないけど……。
 双子のウィンチという、強い味方がいるんだもの。
 どう?」
「岩城先生、ほんとに助けて」
「乳首おっ起てながら、よく言うわ。
 わたしの妄想聞いて、興奮したんでしょ?
 ほんとに、全裸授業、やってみる?
 なんとか言いなさいって。
 乳首、捻ってあげるから。
 ほら」
「ぎぇぇぇ」

「あら、いい声。
 萌えてきちゃうわ。
 あの張り型付けて、突っこみたくなっちゃう。
 さ、言いなさい。
 あの女王さまは、誰なの?」
「知らない。
 ほんとに知らない人なの!」
「まだ言うか。
 じゃ、その声で助けを呼びなさいよ。
 あの女王さまに。
 助けに来てって」
「岩城先生!
 ほんとのことなの」
「あら、理事長。
 お目覚めでしたの?
 じゃ、もう一度だけ、聞いてあげようかしら」

 あけみ先生は、川上先生を突き放すと、理事長の横たわる畳に向き直った。
 ゆっくりと歩み寄っていく。
 わざとお尻を振りながら。
 裸電球の作る陰影が、尻たぶで踊ってた。

「ひとりぼっちにして、ごめんなさいね。
 こんな格好じゃ、オナニーも出来ませんものね。
 それじゃ、最後のチャンスよ。
 あの女王様は、誰なの?
 おっしゃい!」
「知らないって言ってるでしょ!」
「あら。
 そんな口を利くわけ?
 ご自分の立場が、わかってらっしゃらないようね。
 そういう悪い子の乳首は、捻りあげてあげます。
 ぎぅぅぅぅ」
「いぃぃ」

「ほーら。
 どんな偉そうな口利いたって、こうされただけで雌に成りさがる。
 いいんでしょ?
 好きなんでしょ?
 こんなふうに苛められるのが。
 どうなのよ!」
「痛い痛い痛い」
「蝋燭はもっと痛かったでしょうに。
 女王様は、どうしたら来てくれるの?
 電話で呼ぶの?
 わたしがダイヤルしてあげるから、番号言いなさい。
 ほら。
 下も弄ってあげるから。
 ふふ。
 下のお口は、こーんなに正直。
 身動きできなくされて弄られるの、大好きですって言ってるわよ。
 ヤラしい音立てちゃって。
 くちゅくちゅ言ってる。
 いいでしょ?
 ここが、いいんでしょ?」

 理事長は、腹筋を浮き上がらせた。
 尻たぶの窪みが、深い翳を孕む。
 眉根に皺を寄せ、歯を食いしばってる。

「こんなにクリ、おっ起たせて、まだ気取ってるつもり?
 潰してあげるわ」
「あひっ」

 理事長の唇が割れた。
 崩れた表情は、もう快感を隠せてなかった。

「ひぃぃぃぃ。
 あかっ。
 あかかかかか」
「イキそう?
 もうイキそうなの?」

 理事長は、子供みたいにうなずいた。
 泣きそうな顔で、何度も。
 何度も。

「イカせてあげない」

 あけみ先生が、理事長の股間から手を離した。
 虚空に上がった指は、電球の明かりを返して光ってた。

「あぁぁ。
 意地悪しないでぇ」

 理事長は、腰をうねらせた。
 あけみ先生の指を慕うように、腰が持ちあがる。
 あけみ先生は、テラテラと光る指を、唇に含んだ。

「イヤらしい味。
 こんなに濡らして。
 変態」
「もうちょっとなの。
 もうちょっとでイケるから……。
 お願い。
 続けてぇぇ」
「恥知らず。
 弄って欲しかったら、女王さまを呼びなさいって」
「こちらから呼び出すわけじゃないのよ。
 突然、現れるの。
 2人で……。
 ゆうちゃんと2人でいるときに限って」
「今も2人いるじゃないの」
「2人で、愛し合ってるとき」
「愛し合ってる?
 は。
 教育者は、相変わらず綺麗事がお好きね。
 早い話、2人でサカってるときってことね。
 べちょべちょのまんこを、擦り合ってるときでしょ。
 イヤらしい音立てて。
 こんなふうに?」

 あけみ先生の手が、理事長の股間に舞い戻った。

「はぅ」

 あけみ先生の二の腕が、細かく振れ始めた。

「あひぃ」

 理事長の腰がうねり、背中がアーチを作った。

「どう?
 お味はいかが?
 ピアニストの指は、病みつきになるわよ。
 それ、フォルテシモ」

 理事長の首が、自らの股間を覗きこむまで起きあがった。
 眉が、阿修羅像のように吊りあがってた。
 口は、一文字に結んでる。
 眼球が、引きあげられた深海魚みたいに突出した。
 自らの最期を見届けようとしてるようだった。

「ぶぶぶぶぶぶぶ」

 理事長の唇が、アヒルの形に突き出て、ぶるぶると震え始めた。
 唇の端からは、涎が噴きこぼれてる。
 見開いた両目は、あけみ先生の手元を睨んでる。

「がっ」

 張り詰めてた理事長の顔が、突然弾けた。
 爆風が、表情を吹き飛ばしたみたいだった。
 顎が外れたようにぶら下がった。
 口蓋の中で、舌だけが転がり動いてる。
 目は見開いたままだったけど……。
 綺麗な紡錘形の窓の中には、瞳が無かった。
 真っ白な双眸が、自らの股間を睨んでる。

「はがぁ」

 理事長の頭が、大見得を切るように揺れ……。
 そのまま、真後ろに落ちた。

「呆れた女。
 怒った顔してイッちゃったわ。
 イキそうな表情すると、また止められるとでも思ったのかしら。
 浅ましさもここに極まれりって感じだけど……。
 ちょっと可哀想になっちゃうわね。
 さてと。
 ともみさんは、2人一緒のときにだけ現れるって言ってたわよね。
 にわかには信じられないけど。
 でも、せっかく2人揃ってるんだから……。
 試してみる価値はあるわ。
 美里も会いたいでしょ?
 ともみさんに。
 それじゃ、お望みどおり……。
 2人一緒にしてあげましょうか。
 場面転換よ」

 起ちあがったあけみ先生は、理事長に背を向けかけて動きを止めた。
 再び理事長に向き直る。

「脚が、ちょっと鬱血してるみたいね。
 あんまり力入れてイクからよ。
 縄が食いこんじゃってる」

 あけみ先生は、理事長の足元にしゃがみこみ、縄を解き始めた。

「ほーら、楽になった。
 脚、伸ばしてあげましょうね。
 いい子いい子。
 お人形さんみたい。
 壊れたお人形さんだけど。
 目が真っ白で。
 ここで、しばらくおネンネしててね」


本作品のモデルの掲載原稿は以下にて公開中です。
「川上ゆう」 「結」 「岩城あけみ」

《説明》
杉浦則夫の作品からインスピレーションされ作られた文章作品で、長編連載小説のご投稿がありました。(投稿者 Mikiko様)
本作品は毎週日曜日に公開される予定となっておりますので、どうぞお楽しみに。
前作を凌ぐ淫靡と過酷な百合緊縛!「川上ゆう」さん、「YUI」さん登場予定作品です。
時を越え、再び出会った美里とあけみ。現在に戻った美里は、さらなる花虐へと誘われていく…。