放課後のむこうがわ 5

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放課後のむこうがわ 5

 ともみさんは両手をお尻に回し、スカートを押さえながら、床まで腰を下ろした。
 体育座りに姿勢を整えると、真っ直ぐにあけみちゃんを見上げた。

「それじゃ……。
 どうぞ御覧ください」

 ともみさんは、そのまま後ろに転がった。
 紺のスクールベストが床に着くと同時に、両脚が高々と上がった。
 靴底が、まるで燭台のように天上を指してた。
 このとき初めて気づいたんだけど……。
 ともみさんの履いてる靴が、うちの学校と同じだったの。
 シューレースの付いたプレーントゥ。
 珍しいでしょ?
 まわりの学校は、みんなローファーだもんね。
 ひょっとして、姉妹校なのかなって思った。

 さて、ともみさんの格好よね。
 スカートはもう、捲れあがってる。
 股間のスリットまで、はっきりと見えた。
 でも、ほんとに小さいおまんこだったの。
 毛もないから、まるで子供のみたい。

「見える?」
「……見える」

 ともみさんの両手の指先が、股間で揃った。

「もっと見て。
 中まで」

 股間に添えられた指先が、左右に開いた。
 肉色の、小さな花が咲いた。
 ほんとにちっちゃな、おちょぼ口。

「どう?」
「可愛い……。
 妖精みたい」
「ふふ。
 妖精におまんこなんてあるの?
 でもやっぱり、子供みたいなまんこだよね。
 ひょっとしたらさ……。
 あの樹の精に魔法をかけられて、ここだけ成長が止まっちゃったのかも。
 だけどね……。
 これでも、立派に感じるんだよ。
 ほら、陰核もちゃーんと勃ってるでしょ?
 小粒ちゃんだけど」

 ともみさんの指先が、恥丘を引き上げた。
 わたしの視力じゃ、小粒の陰核までは確認できなかったけど……。
 あけみちゃんには、はっきりと見えてたはず。
 あけみちゃんは、下半身をもじもじと動かし始めた。
 揃えた両脚を、擦りつけるようにしてる。

「だーめ。
 勝手に始めちゃ。
 わたしが先よ」

 ともみさんは、挙げた両脚を、さらに胸近くまで折り畳んだ。
 両膝が、肩に着きそうだった。
 ともみさんは、その両膝の内側に、両肘を引っ掛けた。
 肘を張り、両膝を固定した。
 凄い格好よね。
 股間は丸見え。
 小さなおまんこが、天上向いてたわ。
 肘は固定したまま、ともみさんの両手の先だけが、おまんこに添えられた。

「よーく、見てね」

 指先に力が籠り、おまんこを剥き開いた。
 生ハムみたいなおまんこの花が、天を向いて咲いた。

「どう?
 中まで見える?」
「見える。
 ちいちゃくて可愛い」
「お尻の穴も見える?
 ともみがうんちする穴」
「見えるよ。
 ぴくぴくしてる」
「あー。
 気持ちいい。
 人に見てもらうと、なんでこんなに気持ちいいんだろうね。
 ちょっと、弄っちゃお。
 ふぅぅん。
 もうヌルヌル。
 でも、もうちょっとヌルヌルしたいな。
 あけみちゃん、唾たらして。
 顔突き出したら、届くでしょ?」

 あけみちゃんは懸命に上体を折り、顔を差し伸ばした。
 肩を離れた髪先が、胸前で揺れた。
 紺ブレに食い込んだ縄が、ぎりぎりと音を立てそうに見えた。
 あんなに引っ張ったら、きっと腕に跡がついちゃうよ。
 でも、あけみちゃんは、そんなことなんか少しも考えてないみたい。
 両脚でも踏ん張って、懸命に顔を突き出してる。

「届きそう?」

 あけみちゃんの顔が上下に振れると、頬がすぼまった。
 虚空にキスするみたいに突き出した唇から、透明な雫が零れた。
 透きとおった水飴のように伸びる唾には、水銀色の泡が、綴れ織りに纏わってた。

「あぁ。
 届いた。
 あけみの唾が、ともみのおまんこまで届いたよ。
 入ってる……。
 あけみの唾が……。
 ともみのおまんこに入ってる。
 ふぅぅ。
 気持ちいぃ」

 ともみさんの指先は、陰唇を潰すように動いてた。
 指先に、生ハムのような襞が絡んでた。

「やっぱり、我慢出来ない」

 指先が迫りあがり、クリを隠す位置に定まった。
 揃えた指が、注射痕を揉むように動き始めた。

「あひぃ。
 気持ち……、いぃ。
 見てる?
 見えてる、あけみ?」
「見てるよ。
 でも、ダメ。
 ひとりで行かないで。
 わたしを置いてかないで」
「指が……。
 指が、止まらないよ」

 クリを揉む指先が、楕円の軌跡を描き始めた。
 クリの周りを巡る衛星みたいだった。
 オーバルを描く軌跡は、徐々に速度を増し……。
 やがて指先の輪郭が消えた。
 両脚の燭台が、ゆらゆらと揺れる。

「イ、イク……」
「だめぇ」
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「置いてかないでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
「ぅわきゃっ。
 わきゃっ」

 ともみさんの尻が跳ね上がった。
 両肘を外れた脚が、中空を突き刺して伸びた。
 足の甲が、バレリーナのように反ってた。
 ともみさんの背中は、アーチを描いて浮いてる。
 全身が、肩と尻だけで支えられてた。
 オブジェみたいだった。
 持ち上げた頭だけが、小刻みに振れた。
 内巻きのボブに、窓からの光が揺れてた。

「あがぁ」

 空気が漏れるような声と共に、首が真後ろに倒れ、頭が床に転がった。
 首が横に倒れると、ともみさんの顔がわたしの方を向いた。
 引っこもうとしたけど、間に合わなかった。
 でも、ともみさんはわたしを見てなかった。
 見開いた両目には、瞳がなかったの。

「ともみさん、ともみさん」

 あけみちゃんの呼びかけは、もう届かなかった。
 ともみさんの身体から、力が抜けていった。
 空気栓を抜かれた人形みたいだった。
 足裏がゆっくりと着地した。
 靴底が床を滑り、膝が伸びていく。
 膝裏が伸びきると、靴先が上を向いた。
 靴先は、2、3度揺れて鎮まった。
 それきり、ともみさんの身体は、機能を止めた。

第六話へ続く

文章 Mikiko
写真 杉浦則夫
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放課後のむこうがわ 4

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放課後のむこうがわ 4

 学校の帰りだった。
 おしっこがしたくなって、公園のトイレに寄ったの。
 そこにいたのよ。
 変質者が。
 今思い返すと、笑っちゃいそうなほど典型的スタイルね。
 灰色のレインコート着ててさ。
 裾の下から、毛脛が出てた。
 で、トイレの入口で、そいつと鉢合わせしたわけ。
 入口前には、コンクリートの衝立があって……。
 公園からは死角になってるの。
 で、その変質者、わたしを見るなり、コートの前を広げたの。
 蝙蝠みたいだった。
 わたしは、声も出ずに立ちすくんでた。
 でも目線は、そいつの股間に釘付けね。
 そのころはもう、父親とはお風呂に入ってなかったけど……。
 父のあそこのことは、もちろん覚えてた。
 でも、それとは、ぜんぜん形が違うのよ。
 早い話、勃ってたわけ。
 天狗の鼻みたいだった。

『お嬢ちゃん……。
 触ってみる?』

 そう言われて、初めてわれに返った。
 もちろん、後ずさって逃げようとした。

『逃げないで!
 何もしないから。
 見てるだけでいい。
 そこで、そのままで」

 男の目は、子供のわたしに縋るようだった。
 オトナの人に、そんな目で訴えられたこと無いからさ。
 なんか、立ちすくんじゃった。

『いい子だ。
 いい子のご褒美に、これから不思議なものを見せてあげるよ。
 おじさんのちんちんの先からは、お乳が出るんだ』

 そう言って男は、ちんぽ扱き始めたの。

『あぅっ。
 で、出る。
 もう出る。
 出るから……。
 嬢ちゃん、もっと近くで見て。
 ちんちんから、お乳の出るとこ。
 先っぽ見て。
 顔近づけて』

 そう言って男は、にじり寄ってきた。
 逃げようと思ったけど、足が動かなかった。
 怖くて固まっちゃったってのもあるけど……。
 見たかったんだろうね。
 その不思議な魔法を。
 わたしが逃げないとわかると、男はわたしの目の前まで近づいた。

『先っぽの穴を見て』

 怒張した先端には、黒ぐろと穴が穿たれてた。
 まん丸じゃないんだよ。
 なんか、鈴に空いてる穴みたいだった。

『出る!』

 男の裏返った声と同時に、鬼頭が張り詰めた。
 一瞬、わたしの顔が映ったかと思った。
 途端、真っ白い液が、鈴穴から噴きだした。
 早い話、精液よね。
 もろに顔にかかった。
 もちろん逃げようとしたけど、男に肩を掴まれてた。
 男の指が、肩を握りしめるたびに、先端から精液が噴きあげた。
 鼻の穴にも入ってさ、凄い匂いがするのよ。
 でも、不思議なことに……。
 樹木を思わせるような、植物的な匂いなの。
 絵本で読んだ樹の精を思い出したわ。
 この人は、森から来た樹の精なんだろうか、なんてね。

 男は、わたしが声もあげないことをいいことに……。
 尻たぶを絞りあげながら、最後の一滴まで扱き出した。
 握りしめた拳の中で、ペニスがみるみる萎んだ。
 なんか、花が萎れるみたいだった。

『ありがとう……。
 お嬢ちゃん、ありがとう。
 こんな気持ちのいい射精は、生まれて初めてだった。
 一生分のズリネタももらった。
 ほんとにありがとう』

 おとなの人から、こんなお礼を言われたのは、もちろん初めてのこと。
 男の手が肩を離れたけど、もう逃げる気はなくなってた。

『顔、拭いてあげよう』

 男は、コートのポケットからハンカチを出した。
 皺のない、綺麗なハンカチだった。
 男はハンカチで、丁寧にわたしの顔を拭ってくれた。
 ほんとに優しい手つきだったんだよ。
 薄い陶器を扱うみたいな。

『よし、綺麗になった。
 お嬢ちゃんはね、きっと幸せになる。
 こんな優しい子には、幸せになる資格があるんだ。
 おじちゃんが、幸せになる魔法を掛けてあげる。
 おじちゃんのお乳を、ちょっとだけ耳たぶにつけるんだ。
 じっとして……。
 柔らかい髪だね。
 ほら、着いた。
 これで魔法が掛かった。
 さ、もう行っていいよ。
 でも、今日のことは、誰にも言っちゃダメだよ。
 魔法が解けちゃうからね』

 男に背中を押され、トイレの衝立を出た。
 出た途端、足が走り出してた。
 走りだしてから、おしっこしてないことに気づいたけど……。
 もう引っこんじゃってた。

 ふふ。
 この話は、これでおしまい。
 改めて思い返すと、やっぱり怖くなって……。
 二度とあの公園には行かなかった。
 子供のころはさ……。
 あの男の人はいい人で、ひょっとしたら樹の精だったかも、なんて思ってたけど……。
 大きくなるに従って、さすがにわかってきた。
 あの男が、ただの変質者だったってこと。
 でもね。
 不思議と嫌悪感がないんだ。
 それは、たぶん……。
 自分の中にも、同じ変質者が棲んでるからだって……。
 最近、気づいたのよ。
 男に生まれてたら、あの変質者みたいになってたかもね。
 そう。
 それほど、快感なのよ。
 人に性器を見せるのは」

 そう言ってともみさんは、腰を突き出した。
 両手は、前に回ってる。
 ブラウスの両肘が、外に張り出してた。
 間違いなくその指先は、おまんこを開いてる……。
 想像しただけで、お腹が痛くなっちゃった。
 きゅーんと絞られるような感じ。

「どう?
 見える?」

 あけみちゃんの大きな目は、まっすぐにそこを見ていた。
 視線が流星みたいな矢になって、ともみさんの股間に降り注いでる感じだった。

「中まで見える?」
「よく見えない」
「ふふ。
 わたしの、ちっちゃいからね。
 下向いてるし。
 それじゃ、特別大サービスしちゃおうかな」

 ともみさんは、いったんスカートを下ろすと、肩越しに振り返った。
 慌てて引っこもうとしたけど、ともみさんの目は、わたしじゃなくて下の床を見てた。

「そんなに汚くないよね?
 それじゃ、思い切って」

第五話へ続く

文章 Mikiko
写真 杉浦則夫
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桃井早苗×緊縛桟敷

桃井早苗「杉浦則夫緊縛桟敷」にて掲載開始。

最近の緊縛桟敷の掲載女性は緊縛に関心をもつ人が多い、それぞれに個性があり彼女たちは面白く話してくれる。

先日のキネマ館で撮影したの舞野マヤさん(未発売10月下旬発売予定)の吊りのシーンでは、吊りの最中に乳首を刺激されたのがきっかけで絶頂感にたっする見事なシーンの撮影をすることが出来ました。
ある女性は股縄をされ放置されてまたの縄の感触を楽しむ、
ある者は衆人の前に晒されたおのれの猥褻な姿態を恥じて興奮する。
桃井早苗は昭和時代にみられた女、縄を胸に一巻きされただけでそれに感じ体のバランスをくずしてしまう、
早乙女宏美が云うには縄拘束にも前戲、さいちゅう、後戲があるというが、
早苗の場合は最初からトップギアに入り、緊縛師の前に佇んだ時に彼女はすでに縄に犯され脳裏は空白な女になっていたことであろう。

こんな女の縛られた姿の全身と細部、指と足指をみていただきたい、まるで浮世絵に描かれた女たちの悦びを極めた足指の形を作っている。
瞳は視力を失い空白と闇をみつめるようだ。
全身を縄にあずけ拘束の痛みを快楽で溶かす女、愛を求め愛に殉じる少女、よく見てご覧もうこ斑が残っている。

早苗は今ヨーロッパで長田氏が行う緊縛指導に同行している、かの地の人々に早苗の縄拘束された情感が理解され共感をえることができたかを、10月なかばには帰国の予定と聞くからその様子をうかがってみよう。

桃井早苗「杉浦則夫緊縛桟敷」にて掲載開始。

放課後のむこうがわ 3

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放課後のむこうがわ 3

「ふふ。
 待ちきれないって顔ね。
 それじゃ……。
 わたしの質問に、ちゃーんと正直に答えたら……。
 ご褒美をあげるわ。
 いい?」

 あけみちゃんの頚が、上下に振れた。
 肩先を包む髪が、大きく戦いだ。

「それでは、第一問。
 夕べは……。
 わたしのことを思いながら……。
 オナニーしましたか?」
「……」
「しましたか?」
「……、はい」
「声が小さい!」
「しました」
「何を?」
「……、オナニー」
「ちゃんと続けて言って。
 小学生じゃないんだから」
「オナニー、しました」
「よろしい。
 それでは、第二問。
 どこでしましたか?」
「お部屋のベッドで」
「ふーん。
 いまいち、つまんないわね。
 ま、一番集中できるとこではあるけど。
 それじゃ、第三問。
 どうやってしましたか?」
「指で……、しました」
「指で、どうしましたか?」
「触りました」
「どこを?」
「あそこです」
「あそこじゃわかりません」
「クリ……、ちゃん」
「あんなヤらしいとこに、ちゃんづけしてどうすんの。
 あれはね、陰核っていうの。
 ほら、もう一回言って。
 どこを触りましたか?」
「……陰核」
「そのときは、裸でしたか?」
「パジャマの上は、着てました」
「ということは、下は?」
「裸です」
「パンティも?」
「脱いでました」
「どんな格好でしましたか?」
「ベッドに正座して……」
「ふふ。
 こないだ言ってた格好ね。
 正座したまま、上体だけ前に倒して……。
 顔を布団に埋めるっていう?」
「はい」
「どうして、そんな格好でするようになったの?」
「声が……」
「あ、そうか。
 部屋の外に聞こえるほどの……。
 はしたなーい声が出ちゃうわけね。
 それで、顔を布団に埋めて堪えてる。
 それでも漏れちゃうでしょ?」
「お布団、口いっぱいに頬張って……」
「ありゃりゃ。
 終わった後は、布団ぐちょぐちょ?」
「はい」
「あー、ヤらしい子。
 それでは、そんなヤらしいちゃんに、質問を続けます。
 その格好で、どうやっていじるんですか?」
「手を、身体の下から伸ばして」
「股ぐらをいじくるわけね」
「はい」
「お尻丸出しで?」
「はい」
「ほんとは、その格好……。
 誰かに見られたいんじゃないの?
 お尻の穴まで晒してる姿を」
「み、見られたいです」
「誰に?」
「ともみさん」
「よろしい。
 じっくり見てあげるね。
 でも、その前に……。
 わたしのを先に見てもらおうかな。
 すっかり気分出ちゃった」

 そう言ってともみさんは、タータンチェックのスカートをたくし上げた。
 純白のショーツにくるまれた、丸々としたお尻が見えた。
 何かスポーツでもやっているのか、筋肉みたいなお尻だった。
 両手が、布地を捲り下ろした。
 お尻の割れ目が、一瞬だけ見えた。
 でも、スカートの裾が落ちて、すぐにお尻は隠れた。
 ともみさんは上体を折ると、片足ずつ上げて、足首からショーツを抜いた。
 再び直立したともみさんは、小さく丸まったショーツを、指先でぶら下げた。
 あけみちゃんの目の高さまで上げたショーツを、風鈴みたいに振った。

「ほしい?」
「ちょうだい!」
「だめー。
 この前みたいに、口の中に押しこまれたら……。
 穿いて帰れなくなっちゃうもん。
 グチョグチョで。
 今日は、匂いだけね」

 ともみさんが、腕を真っ直ぐに伸ばした。
 あけみちゃんは懸命に顔を突き出し、布地の匂いを嗅ごうとしてた。

「はいおしまい」
「あぁっ」

 ともみさんは、床に置いた鞄の上にショーツを落とした。
 鞄に、白い花が咲いたみたいだった。

「今日は、おあずけ責めにしてあげようか?
 ふふ。
 切なそうな顔して……。
 可愛い。
 それじゃ……。
 もっと切なくなってもらいましょう」

 ともみさんは足幅を開くと、スカートの裾を持ち上げた。
 胸前に、扇のように広げてる。
 後ろからだと、お尻も隠れてるけど……。
 前から見たら、下半身全開よね。
 あけみちゃんの目は、扇の要に釘付けだった。

「どう?」
「……、綺麗」
「また剃られちゃったのよ。
 変態先生に」
「いや!」
「何が?」
「ほかの人のことは、言わないで」
「ふふ。
 可愛い子。
 ほんと、苛めたくなっちゃう。
 実は、わたしさ。
 ほんとにツルツルだった子供のころ……。
 男の人に、こんなふうに見せられたことがあるんだ。

第四話へ続く

文章 Mikiko
写真 杉浦則夫
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放課後のむこうがわ 2

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放課後のむこうがわ 2

 で、やっぱり……。
 その後の展開が気になるじゃない?
 好奇心が抑えられなくてさ。
 2人の後を追って、校舎の角から覗いてみた。
 でも、もう2人の姿は見えなかった。
 角を曲がりこむと……。
 木造校舎の表側だった。
 生徒玄関みたいな、広い入口が見えた。
 どうやら2人は、そこから中に入ってしまったみたい。
 どうしようかと思ったけど……。
 よく考えたら、遠慮することなんか無いのよね。
 自分の学校なんだからさ。
 もし、見つかって咎められたって……。
 転校したばっかりで迷いました、で済むじゃない。

 入口まで駆け寄ると、そっと中を覗いてみた。
 誰もいなかった。
 ていうか、人の気配がしないの。
 平日の校内とは思えない。
 やっぱりそこは生徒玄関らしくて、大きな木製の下駄箱が並んでた。
 でも、靴が無いのよ。
 古びた内履きは、ところどころに入ってるんだけど……。
 外履きがひとつも無い。
 ってことは、生徒はひとりも中にいないってこと?
 まだ、部活が行われてる時間なのに。
 そこで、ようやく気づいた。
 この校舎は、今は使われて無いんじゃないかって。
 だって、生徒が出入りしている校舎なら、下駄箱が空っぽなんてはず無いんだもの。
 生徒が中にいる区画には、外履き。
 下校した生徒の区画には、内履き。
 どちらかの靴で、下駄箱は満たされてるはず。
 でも、あの2人の靴さえ無いのは不思議よね。
 ここから入ったってのは、思い違いなんだろうか……。

 生徒玄関は、広い廊下に面していた。
 廊下を隔てた正面の窓からは、中庭が見えた。
 樹々が鬱蒼と繁って、ほしいままに枝を伸ばしてる。
 窓から差す光が廊下に落ちて、窓枠の影を映してた。
 廊下は、すっかり色の抜けた飴色。
 床板に凹凸があるのか、そこここに光が浮いてた。
 かすかに、油の匂いがした。

 わたしは、思い切って廊下に上がった。
 内履きのままここまで来ちゃったから……。
 履き替える必要も無いし。
 歩いた後ろを振り返ると、少しゴム底の跡が着いてたけどね。

 廊下は、玄関前から左右に伸びてた。
 向かって左手の先は、校長室や教員室が並んでそうな雰囲気だった。
 廊下の突きあたりには、塗装の剥げた金属ラックに、掃除道具が下がってた。
 そこから廊下は、中庭を囲むように折れてるらしい。
 折れた先にはたぶん、教室が連なってたと思う。
 わたしはそっち方向は選ばず、右手の廊下を目指した。
 だって、教員室なんかのありそうな方には、行きたくないものね。
 あの2人だって、きっと一緒よ。

 向かって右手の先も、中庭を囲むように曲がりこんでるみたいだった。
 でも、曲がり角の手前で、足が止まった。

 声が聞こえたのよ。
 間違いなくさっきの声。
 ともみさんって呼ばれてた、他校の子。

「あけみ。
 ほんとに似合ってる。
 会うたびに、ますます似あってくるわ。
 馴染んでくるっていうのかしら?」

 わたしは、そっと角から覗いてみた。
 驚いたわ。
 手ぶらだったからいいけど、何か持ってたら落っことしてたかも知れない。

 廊下の先は、ちょっと不思議な構造だった。
 廊下の右手はずっと、下駄箱のあるコンクリート土間に面してるわけだけど……。
 その土間が、廊下の突きあたりから、左に折れてるの。
 つまり廊下は、中庭に曲がる手前で途切れてるわけ。
 でもね、そこには木橋が掛かってたの。
 コンクリートの川にかかる橋みたいな感じね。

 橋を渡った先は……。
 舞台みたいに見えた。
 灰色の冷たい川が、客席と舞台を隔ててる。
 2つの世界を繋ぐのは、花道みたいな木橋。

 舞台の設定は、2階に続く広い階段だった。
 ともみさんは、その階段の下で、背中を見せて立ってた。
 あけみちゃんは、階段の手すりを支える柱の前で俯いてた。
 両腕を、後ろに回してね。
 制服の上腕から胸は、太いロープに戒められてた。

 一瞬、何が起こったのかわからなかったわ。
 あの親密そうに見えた2人の、ひとりが縛られてるんだもんね。
 でも、その場の雰囲気からして、縛ったのはともみさんとしか思えない。
 ともみさんは、ロープの張り具合を確かめるように、あけみちゃんの前を左右に歩き始めた。
 ともみさんの背中越しに、階段脇が見通せた。
 階段脇からずっと、中庭に面して土間コンクリートが続いてて……。
 行き止まりは通用口みたいだった。
 通用口は開いてた。
 裏山の緑が、すぐそこに見えたわ。

 ともみさんの靴音が、床板を鳴らしてた。
 そこで、初めて気がついたの。
 この2人の靴が、生徒玄関に無かったわけ。
 2人とも、外履きのまま上がってたのよ。
 どうやら、使われてない校舎って予感は、あたってたみたい。
 人のいる気配が無かったしね。
 空気が動いてない感じ。

「あけみ。
 顔あげて」

 ともみさんの声に、あけみちゃんの顎が上がった。
 縋るような瞳が、ともみさんを見あげた。

「またそんな顔して。
 ヤらしい顔。
 すっかり気分出ちゃってるみたいね。
 ちょっと縛っただけで、そんなになるんだから……。
 驚いちゃうわ。
 そういうのって……。
 マゾって言うんだよ」

 あけみちゃんの胸が、小刻みに起伏し始めた。
 あけみちゃんの胸には、乳房を挟むように、ロープが上下に渡ってた。
 紺ブレに、深い皺が寄ってた。
 おそらく、あけみちゃんの腕には、縄目がついてたと思う。
 はた目から見ても、きつい縛り方だった。

「どうしてほしいの?」

 あけみちゃんは、小鼻を細かく震えさた。
 泣き出す寸前みたいだった。
 でも、戦慄いてるように見えた唇からは、思いがけない言葉が零れた。

「もっと……。
 もっと縛って。
 もっと……、もっときつく」

 訴えるような言葉とともに、あけみちゃんの瞳から、涙が零れた。

「相変わらず変態ちゃんだね。
 でも、ほんとに綺麗な顔。
 涙が似合う顔よね。
 男の子が見たら、イチコロじゃないの?
 でも……。
 そんな顔しながら、下の口からも涙を流してるなんて知ったら……。
 きっと、人生に絶望しちゃうよ?
 さぁて、今日は……。
 どうしてやろうかな?」

 そう言いながらともみさんは、再び歩き始めた。
 あけみちゃんを見据えながら、右に左に。
 あけみちゃんの目が、子犬のようにともみさんを追っていた。

第三話へ続く

文章 Mikiko
写真 杉浦則夫
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