城井桃の喪服緊縛


親分の3回忌の帰りに立ち寄った舎弟の家で、娘のように可愛がってくれた親分の 思い出にひたっているところに、いつもは「ねいさん、ねいさん」と主人の弟分である龍二は分をわきまえた態度であったが、突然に背後から私に縄がけをして 襲いかかった、みごとな縄さばきで抵抗する間もなく私は高手小手に縛り上げられていた、きっとこいつの先祖は江戸の岡っ引きだ、「こんちくしょう、うちの に……」とはぎしりする間に猿轡で声をふさがれてしまった。「あねさんはほんとうはこんな趣味がおありでしょう?」と酒くさい息をふきかける、(あろうと なかろうとおまえごときに手篭めにされてたまるか、この三下が)と声にもならずくやしがれば、「これからが極楽浄土の桃源郷、あねさん俺のこの指一本でい かせてみせましょう」と憎らしげな薄笑いを浮かべやがる、(お前ごときの生半可な手管に落ちるねいさんか、旦那が帰ったあかつきにはおおべそかかせてや る)と身構えるのであったが、裾前を大きく開かれてしげみを晒され、そこにぐいぐいと縄がけで責める、(こんちくしょう、そんなことをだいじなところにし たら、あああああ……縄がぬれ…)濡れた縄が陰部とお尻を責め立てる、私の知らない刺激が体をおおいつくす、私の理性は抵抗は体のほてりとともに失われ未 知の快楽を求めはじめる。(こやつの罠にはまってはならぬ我が娘よ、悪しき快楽の産み落とす実の不実の罪)痛みと憎しみと快感が汚辱の血に狂おしい(私は 堕ちていく、あがらう力が正気を狂気にかえてしまう)「悶えなせい、今日は縄のあじのほんのとばぐち、二人の秘密の遊びですぜ」私の体はふるえ龍二の声は とどかない。

上記作品は、
緊縛桟敷キネマ館にて掲載中

杉浦則夫緊縛桟敷 より原稿掲載

投稿者:

杉浦 則夫

杉浦則夫写真事務所代表 杉浦則夫