放課後の向うがわⅡ-46

 理事長の背中が浮きあがった。

「あら。
 手伝ってくれるの。
 この、最後のクリップ、わたしがどこに付けたいか、わかってくださってるみたいね。
 そうよ。
 この鎖は、川上先生と理事長を繋ぐ、架け橋。
 それでは、繋いであげましょうね。
 目の前にぶら下がってる、ここに!
 えい」
「あぎゃぁぁぁぁあ。
 痛い痛い痛いぃぃ」

 川上先生が、悲鳴を噴きあげた。
 わたしは、思わずカメラを抱きしめた。
 カメラの固い肌で、腕に跡が残るほどだったと思う。
 でも、視線は川上先生から逸らせなかった。
 クリップは、川上先生の股間に食いついてた。
 川上先生の痛がりようからすれば、陰毛を挟んでるわけじゃない。
 だとすれば……。

「ほんとに痛い?
 ちゃんと痛覚はあるのね。
 ほら、そんなに暴れると、伸びちゃいますよ。
 あんまりビラビラになっちゃ、彼氏に嫌われちゃうわ」
「痛い。
 ほんとに痛いぃ。
 岩城先生、外して!
 お願い!」
「痛いからやってるんじゃありませんか。
 ほら、そんなに動くと、舌を吊られてる理事長が苦しいでしょ」

 川上先生は、連獅子のように髪を打ち振りながらも、懸命に上体を折り曲げた。
 理事長の舌に、テンションを掛けないための努力だろう。
 しかし、宙吊りで身体を傾けたせいか、逆に下半身が大きく揺らいだ。
 クリップに挟まれた陰唇が、ゴムみたいに伸びるのが、はっきりと見えた。
 チェーンの対岸では、理事長の乳首が、無慈悲に引き伸ばされた。
 2人の顔は、苦しげに歪んだ。
 でもわたしには……。
 縄に括られ、チェーンで繋がれた2つの肉体が、この上もなく美しく見えた。
 すべてを脱ぎ捨て、性器を剥き出した古代の女神。
 わたしは、思わずカメラを構えてた。

「あら、美里。
 写真部員らしくなったじゃない。
 そうよね。
 ここは撮りどこよね」
「くぅ」
「あ。
 待って。
 この女、バイブ吐き出した。
 すっげー膣圧。
 突っこみなおそうか?
 ……。
 やっぱ、いいや。
 この方が、丸見えだもんね。
 これで、まんこから精液零れてたら、最高なんだけど。
 ま、そこまでは無理ね。
 じゃ、撮って」

 あけみ先生は後ずさり、構図の外に消えた。
 画角の中央に、肉のオブジェを収める。
 汗ばんだ両脇を締め、シャッターを切る。
 ミクロコスモスの爆発みたいに、フラッシュが光った。
 吐き出されたフィルムを手に取り、画像が浮かび上がるのを待つ。
 あけみ先生が、脇に寄ってきた。

「出てきた出てきた。
 うん。
 いいよ。
 入部試験、合格」

 あけみ先生は、フィルムを翻し、わたしの眼前に掲げた。

「モデルさんにも見せてあげましょう」

 先生は舞台中央に戻ると、2人の顔の前に、フィルムを翳した。
 2人は目を逸らし、見ようとしなかった。

「ちゃんと見なさいって。
 自分がどんな姿してるか。
 スゴい格好よ。
 楽しみだわ。
 明日朝、一番に来て、これを掲示板に貼り出してあげるわね。
 生徒たち、大騒ぎよ」
「止めて。
 それだけは、止めて」

 川上先生は、上体を伏せたまま、懸命に顔を上げて訴えた。

「それなら……。
 ともみさんを、ここに呼んで。
 あなたたちがお姉さまと慕う、あの人よ。
 2人でいるときなら、来てくれるんでしょ?」
「呼べば来てくださるわけじゃないんです。
 あの方は、み心のままに現れるの」
「はは。
 まるでマリアさまじゃない。
 全裸で交合する、2人のベルナデッタの前に……。
 蝋燭を持った、無慈悲なマリアさまが現れる。
 悪くないわ、この脚本。
 わたしに撮らせてもらえないかしら?
 大冒涜ドラマ。
 ほら、早く呼んで」
「だから……」

「早く呼ばないと……。
 理事長が、苦しみますわよ」

 あけみ先生は、理事長の肩に足裏を置き、前後に揺さぶった。

「はが。
 はがが」

 理事長の舌が、カエルのように引き伸ばされる。

「ほら、痛いって」
「止めて!
 止めてぇ。
 呼びます。
 呼びますから。
 お姉さま!
 お姉さま、助けて!」
「まぁ、呆れた。
 ほんとに呼んだわ。
 恥ずかしくないのかしら。
 ウルトラマンでも呼んでるつもり?
 子供じゃあるまいし。
 美里、ボーっとしてないで、もっと撮って。
 おんなじとこに突っ立ってちゃダメよ。
 写真は、フットワーク。
 脚を使って動き回る。
 いろんな角度から撮るの。
 そう……。
 やっぱ、理事長の下手から舐めあげるショットがいいわね。
 足元に回って。
 行き過ぎ!
 そこまで回ったら、川上先生が半身になっちゃう。
 少し戻る。
 そう。
 ツルツルまんこ、しっかり入れてね」

 わたしは、夢中でシャッターを切った。
 フラッシュが光る。
 ファインダーの向こうの世界が、カメラに吸いこまれる。
 全能感に似た高揚を感じた。
 出てきたフィルムを、電球の明かりに翳す。
 わたしの切り取った世界が、ゆっくりと浮かびあがる。

「ふふ。
 楽しそうじゃない。
 適性があるかもよ。
 よーし。
 それじゃ、ちょっと鍛えてやるか。
 わたしの言うとおり動くのよ」

 あけみ先生は、さまざまな角度からの撮影をわたしに命じた。
 わたしは、指示に追い回されるまま、被写体の周りを巡った。
 何枚か撮るうち……。
 あけみ先生にとっては、わたしも被写体のひとつなんじゃないかって思えてきた。
 あけみ先生の目には、舞台の2人と、それを撮るわたしが入ってる。
 縄で括られた、豊満な全裸の女性が2人。
 それを撮る、小さな尻を剥き出した子供。

「ほら、美里。
 今度は、そっちから。
 また行き過ぎ。
 よし。
 下がって。
 柱のディルドゥ、ちゃんと入ってる?
 巨大なちんぽが、2人を見下ろしてるとこ。
 あ、サラシの布も入れよう。
 精液の象徴みたいになるわ」

 理事長は、無毛の股間を剥き広げ、無防備に仰のいてる。
 両脚は折り畳まれ、赤ん坊がオシメを替えてもらう姿勢だった。
 でも、いくら無毛と言っても……。
 その中心部に穿たれた裂傷は、赤ん坊とはまるで違うものだった。
 さっきまでバイブを咥えてた名残か……。
 陰唇が、わずかに開いて見えた。

 川上先生は面伏せたまま、眉根に皺を寄せてる。
 少年阿修羅と称される仏像のようだった。
 しかし……。
 その首から下は、少年ではあり得なかった。
 縄に区画された胸部では、巨大な乳房が潰されてる。
 腹部には、パン生地みたいな肉の括れが、幾本もうねってる。
 その下には、黒々とした陰毛が、野火の跡のようにに広がってる。
 中心には、まだ火が残ってた。
 そう。
 烟る陰毛を分け、陰唇が覗いてる。
 もっとも印象的なのは、尻から太腿にかけての、圧倒的な量感だった。
 柱の男根が、その尻を指弾するように、宙に突き出てる。
 柱に垂れるサラシが、ほんとに精液みたいに思えた。
 わたしは、構図の縁を裁つように、丁寧にシャッターを切った。

「美里、次はあっちからよ。
 ぼやぼやしない。
 違う!
 どっち行くのよ。
 逆だってば。
 美里!
 ミサ!」

 わたしが“ミサ”と呼ばれたのは、このときが初めてだった。
 そう。
 この瞬間に、わたしは“美里”から“ミサ”に変わったのかも知れない。

「あ」

 フラッシュが光らなくなった。

「電球、使い切ったわね。
 取り替えて来て。
 さっきの引き出しに、もう1本入ってるから」

 新しいフラッシュバーを取って戻ると……。
 あけみ先生は、2人の前に立ち、背中を見せてた。
 と言うより……。
 お尻を見せてた、と言うべきかもね。
 腰で切れたオーバーブラウスの下には、空豆を合わせたみたいな臀部が剥き出てる。
 わたしは、思わずカメラを構えてた。
 3人の女性を構図に入れると、シャッターを切った。
 フラッシュが、遠い日の幻燈のように灯った。
 あけみ先生が振り向いた。

「わたしのこと、撮ったのね。
 ふふ。
 フラッシュ焚かれると、気持ちが昂ぶるみたい。
 モデルさんって、みんなこんな心理になるのかしら?
 脱ぐはずじゃなかったのに、いつの間にか裸になってた、なんて話を聞くけど……。
 ほんとかもね。
 フラッシュを浴び続けると、トランス状態に入っていくのかも。
 なんだか、気分出てきちゃった。
 このまま立ちオナしちゃおうかな。
 オカズは目の前にあるし。
 それも、これ以上無いほど、豪華なオカズ。
 よし。
 わたしがオナってるとこ、後ろから撮って。
 縛られた2人の女をオカズに、立ちオナする変態女。
 斬新な題材だわ。
 始めるわよ」

 あけみ先生は、両脚を開き、腰を沈めた。
 形のいい脚は、膝で“く”の字に曲がり、外側に開いてる。
 いわゆるガニ股の姿勢だった。
 尻のあわいから、わずかに陰唇が覗いてた。
 その陰唇が、引き攣れるみたいに動いた。
 前から回った手が、すでに股間を嬲ってるようだ。
 空豆のような尻たぶが窪み、翳が生まれた。
 翳は、はためきながら息づいた。


本作品のモデルの掲載原稿は以下にて公開中です。
「川上ゆう」 「結」 「岩城あけみ」

《説明》
杉浦則夫の作品からインスピレーションされ作られた文章作品で、長編連載小説のご投稿がありました。(投稿者 Mikiko様)
本作品は毎週日曜日に公開される予定となっておりますので、どうぞお楽しみに。
前作を凌ぐ淫靡と過酷な百合緊縛!「川上ゆう」さん、「YUI」さん登場予定作品です。
時を越え、再び出会った美里とあけみ。現在に戻った美里は、さらなる花虐へと誘われていく…。


放課後の向うがわⅡ-45

 理事長のバイブはそのままに、わたしはその場を立った。
 入口脇のテーブルから、カメラを取って戻る。

「ほら、そこから撮ってごらん。
 ちょっと、待って。
 わたしが構図を決めてあげる」

 あけみ先生は、ファインダーの視界から外れると、わたしの真後ろに回った。
 わたしの肩越しに、畳の舞台を眺めてる。

「ははは。
 こんな構図でシャッター切れるの、一生に一回かも知れないわよ。
 ほら、構えて。
 柱のディルドゥも入れてね。
 天狗様みたいに、2人のまんこ狙ってるとこ。
 ほら、川上先生、顔上げて」
「撮らないで。
 お願い、撮らないで」
「わがまま言わないの。
 理事長は、ちゃんと顔上げてますよ」

 舌をクリップで吊りあげられてる理事長は、顔を隠すことが出来ない。
 川上先生は、懸命に面を伏せ続けた。

「言うこと聞かないモデルさんね。
 仕方ないか。
 これで撮りましょう。
 はい、お2人さん、いきますよ。
 美里、しっかり構えて。
 両脇を締める。
 そうそう。
 はい、チーズ」

 遠い恒星の爆発みたいに、フラッシュが光った。
 あたりを一瞬だけ照らして、電球は潰れた。
 カメラの前部から、フィルムが吐き出される。
 あけみ先生の手が、わたしの肩越しに伸び、フィルムを取り上げた。
 先生は、わたしに負ぶさるような姿勢のまま、フィルムを掲げた。
 先生の体温を、背中に感じた。
 剥き出しのお尻に、先生の太腿が吸いついてる。

「ほーら、出てきた出てきた。
 美里。
 入部試験、合格よ。
 綺麗に撮れてる。
 残念ながら……。
 お股の糸は、落ちちゃったみたいだけど。

 モデルさんにも見せてあげなきゃね」

 あけみ先生の体温が、背中を離れた。
 イエローカードのようにフィルムを掲げながら、2人のいる舞台に戻った。

「ほら、理事長。
 ご覧になって」

 フィルムを目の前に翳された理事長は、顔を歪めた。

「ツルマンに突っこまれたバイブまで、はっきり写ってるでしょ?
 お顔もちゃーんと撮れてる。
 これなら、誰が見ても理事長だってわかりますわ。
 明日、学校に掲示してあげましょうか?
 生徒たち、大騒ぎよね」

 理事長は、泣き顔でしか答えられなかった。
 あけみ先生は頬骨で笑うと、理事長の視界からフィルムを抜きあげた。
 次にフィルムが翳されたのは、川上先生の顔前だった。

「ほら、先生。
 綺麗に撮れてるでしょ。
 どうしたの?
 ちゃんと見なさいよ」

 川上先生は、額に皺を寄せたまま、フィルムを見ようとはしなかった。

「いけませんね。
 現実から目を逸らしてちゃ。
 これが、今のあなたなのよ。
 素っ裸で吊り下げられながら……。
 おまんこを、茹で肉みたいに濡らしてる。
 そうでしょ?」

 川上先生は、口をへの字に歪め、かぶりを振った。

「正直になりなさい。
 楽になれるわよ。
 言ってごらん。
 わたしは変態ですって。
 言いなさいってば」

 あけみ先生は、川上先生の髪を掴み、フィルムを眼前に突きつけた。
 川上先生は、目をつぶって拒み続けた。

「見なさい」

 あけみ先生は、フィルムを川上先生の顔に押しつけた。
 顔面にシールを貼るように、手の平で擦り付ける。
 手の平を外すと、フィルムは一瞬だけ川上先生の顔に留まった。
 上半分を白い矩形で隠された顔は、死者を表す記号のように見えた。
 でも、皺の寄ったフィルムはすぐに顔を離れ、翻りながら畳に落ちた。

「ほんと、素直じゃないわね。
 本気で腹立ってきた。
 徹底的にお仕置きだわ。
 さてと。
 次は、どことどこを繋いであげましょうかね。
 ほーら、今度はこれよ」

 あけみ先生は、畳から新たなチェーンを拾い上げた。
 片側のクリップを摘んで、チェーンを吊り下げる。
 先生は、クリップを揺らして見せた。
 下のクリップが触れ合って、かちゃかちゃ音を立てた。
 下のクリップは、ひとつじゃなかったの。
 つまり、上のクリップからは、チェーンが2本下がり……。
 それぞれの先に、クリップがひとつずつ付いてた。

「じゃぁ、まずは……。
 舌だけ挟まれて可哀想な、理事長からね。
 今度は、気持ちいいとこ挟んであげますよ。
 どこがいいですか?
 やっぱり、おまんこ?
 でも、それは贅沢ですわよ。
 おまんこは、バイブを口いっぱい頬張ってるじゃありませんか。
 どこがいいかなぁ……。
 なんて。
 ほんとは、最初から決めてるんだけどね。
 それはもちろん……。
 格好のいい、この乳首。
 大きさといい形といい、完璧よね。
 いかにも吸ってくださいって感じ。
 じゃぁ、クリップで挟みやすいように……。
 勃起させてあげましょうね」

 あけみ先生は、束ねた指先を、ゆっくりと乳首に近づけた。
 子供が、ケーキのトッピングを摘もうとする仕草に見えた。

「えい」

 指先が、乳首を捉えた。
 理事長の腹筋が浮きあがる。

「あれ?
 ひょっとして、すでに勃ってます?」

 理事長は動かせない顔を懸命に歪め、否定の意志を表してた。

「うそおっしゃい。
 バイブ突っこまれて、乳首まで勃ててたんだわ。
 ヤラしい女。
 そんなにお待ちかね?
 じゃ、クリップの大顎に捧げる前に……。
 ちょっとだけ、気持よくしてあげる。
 ほーら。
 どう?」

 あけみ先生は、小指を除く4本の指先を束ねた。
 小指だけが、いたずら小僧のように跳ねあがってる。
 4本の指先が乳首を摘みながら、擦り合わされ始めた。
 波間に揺れるイソギンチャクみたいだった。

「いいでしょ?
 指の腹が、乳首を刺激し……。
 指の先が、乳輪を刺激する。
 ほら、乳輪の突起まで起ちあがった。
 指先に当たる当たる。
 このブツブツ、何て云うかわかる?
 わからない?
 そう。
 覚えておきなさい。
 モントゴメリー腺。
 刺激を受けると飛び出て来るの。
 乳首と乳輪を保護する皮脂が、ここから出るのね。
 大事な器官よ。
 ほーら、理事長。
 気持ちいいですか?
 こちょこちょこちょ」
「は、はんがはんが」

 理事長の腿裏に、稲妻のように腱の筋が走った。
 爪先の指が、色を変えて折りたたまれた。

「このままイッちゃえそうね。
 それじゃ、ストーップ」

 あけみ先生の指先が止まり、ゆっくりと乳首を離陸した。

「ほら、美里。
 見てみ。
 勃起した女の乳首って、魅力的よね。
 モントゴメリー腺が、またいいわ。
 見てるだけで、背中がさわさわしてきそう。
 男だったら、これをオカズに、何本でも抜けそうよ。
 理事長?
 どうしました?
 そんな切なそうな顔して。
 もっと弄ってほしいの?
 でもそれは、あまりにも欲深い心根ですわよ。
 まんこ一杯に頬張りながら、乳首も弄れなんてね。
 いいこと。
 いい目を見たあとには、辛い見返りがあるものなの」

 あけみ先生は、クリップを吊りあげると、理事長の顔の上に垂らした。
 クリップの先が円を描くと、理事長の瞳がそれを追って動いた。
 頬に、翳のような引き攣れが走る。
 怖いのは無理もなかった。
 金属製のクリップは、無慈悲な輝きを撒き散らしてる。
 あけみ先生の指先が、チェーンを手繰る。
 クリップは、主人にだけ従順な犬のように、先生の手に収まった。

「それじゃ、いきますよ」

 あけみ先生は、口角を上げたまま、耳の脇にクリップを構えた。
 笑う招き猫みたいだった。
 耳の脇で、クリップの口が開いた。

「ひぃぃ」

 理事長の口から、掠れた草笛が聞こえた。
 両目が大きく見開かれ、瞳が溺れるように震えてる。
 あけみ先生の腕が、ゆっくりと降りていく。
 クリップの軌跡が、震える乳首へ一直線に伸びる。

「えい」
「はぎぃ。
 はんがはんが」

 クリップの大顎が、乳首を噛んでた。
 ボールみたいに形の良かった乳首は、無残にひしゃげてる。

「ふふ。
 これで、母乳噴いてくれたら、最高なんだけど。
 ま、そこまでは無理よね。
 それでは、片方だけじゃ可哀想だから……。
 もう一つの乳首にも、付けてあげるね。
 そのために、クリップが2つ付いてるんだから。
 それ」
「はんぎ。
 はんぎぃ」


本作品のモデルの掲載原稿は以下にて公開中です。
「川上ゆう」 「結」 「岩城あけみ」

《説明》
杉浦則夫の作品からインスピレーションされ作られた文章作品で、長編連載小説のご投稿がありました。(投稿者 Mikiko様)
本作品は毎週日曜日に公開される予定となっておりますので、どうぞお楽しみに。
前作を凌ぐ淫靡と過酷な百合緊縛!「川上ゆう」さん、「YUI」さん登場予定作品です。
時を越え、再び出会った美里とあけみ。現在に戻った美里は、さらなる花虐へと誘われていく…。


放課後の向うがわⅡ-44

「美里。
 理事長が、バイブ突っこんでほしいんだって。
 ほら、これ持って足元に回って。
 あ、待った。
 湿らせてあげないと、可哀想ね」

 言うなり、あけみ先生は、バイブを口いっぱいに頬張った。
 バイブに纏わる舌に押しあげられ、頬肉がうねりながら動いてる。
 潤んだ瞳に、喜色がさざなみのように浮かんだ。
 刹那、先生の顔が上下動を始めた。
 ピンク色のバイブが口中を出入りする。
 先生は、激しくうなずき続けながら、わたしの視線を絡み取った。
 切ることを許さない眼差しだった。
 でも、先に視線を外したのは、先生だった。

「おげぇぇ」

 先生は、バイブを吐き出すと、背を折ってえずいた。

「げほげほ。
 はは。
 突っこみすぎちゃった。
 涙出てきた。
 でもこれで、根元まで湿ったわ。
 ほら、美里。
 これ持って、理事長の足元に回って。
 そうそう。
 突っ立っててどうするのよ。
 しゃがむの。
 そしたらまず……。
 理事長のまんこチェック。
 濡れてる?
 見てたってわからないでしょ。
 触って調べる」

 陰毛を剃りあげられた理事長の性器は、驚くほど綺麗だった。
 小さな陰唇が、おちょぼ口みたいに開いてる。
 わたしは、恐る恐る指を伸ばした。
 指が触れた瞬間……。
 理事長の肛門が、シャッターのように絞られた。
 指先には、はっきりと湿り気が感じられた。

「どう?
 濡れてるでしょ?
 やっぱり。
 高飛車な女って、本性はドマゾだったりするものなの。
 自分がそうされたいという願望を、他人にぶつけてるのね。
 だからほんとは、こういうシチュが大好き。
 そうよね?
 理事長先生」

「ほほ。
 無理にうなずかなくてもいいんですよ。
 舌が痛いでしょう?
 お気持ちは、ちゃーんと汲み取りましたから。
 美里。
 中までチェックして。
 指突っこむのよ。
 いくら小さくても、処女のわけないんだから、大丈夫よ。
 理事長、いかがです?
 生徒に指を入れられるお気持ちは?」
「岩城先生、お願い!
 そんなことさせないで。
 棚橋さん、止めて」

 川上先生の声に、わたしの指が止まった。

「あら、妬いてるの?
 それとも、自分の方が先に入れられたいのかしら?」
「違います!」
「そんなこと言いながら、乳首おっ勃ててるくせに」
「してません。
 クリップが……」
「わたしの言ってるのは、挟んでない方の乳首のこと。
 ギン起ちじゃないの」

 川上先生は、顔を伏せたままかぶりを振った。
 豊かな髪が、闇を揺らした。

「触ってあげましょうか?」
「止めて!」
「ふふ。
 きっと声が出ちゃいますもんね。
 恥ずかしいわよね。
 なんなら、舌にもクリップしてあげましょうか?
 あら、それも嫌なの?
 わがままな先生ね。
 じゃ、おとなしく見てなさい。
 大好きな理事長先生が、生徒にバイブ突っこまれるとこ。
 美里。
 指はもういいから、いきなり突っこんじゃって。
 大丈夫。
 2人とも、立派な変態だから。
 まんこの準備は、とっくに出来てるわ。
 もたもたする子は嫌いよ。
 出来ないなら、あんたに突っこむからね。
 早く!」

 あけみ先生の冷たい声に、涙が滲みそうになった。
 でも、どうしてわたしは、逃げ出そうとしなかったんだろう。
 逃げようと思えば、いつでも出来たのに。
 やっぱり、あの旧校舎の記憶を共有する先生が、わたしにとっては特別な存在だったんだろう。
 それに……。
 ひょっとすると、ともみさんに会えるかも知れないし。
 話しかける相手もいなかったわたしに、初めて出来た2人の友達。
 友達っていうのも変だけど。
 でも、あのころのわたしには、この2人のほかに寄り添える人はいなかった。

「美里!」

 わたしは、バイブを握り直した。
 先端を、理事長の陰唇に宛がう。
 理事長の腿裏に、腱が走った。
 張り詰めた縄が、弦のように響いた。
 わたしは、手元を一気に押しこんだ。

「はひぃ」

 理事長が、風に似た声を立てた。

「ほほ。
 ずいぶん、思い切り良く突っこんだわね。
 理事長もお悦びだわ。
 そのまま、ゆっくり出し入れしてごらん。
 そうそう。
 上手上手」
「はが。
 はががが」

 理事長の腹筋が、甲板のように浮きあがった。

「ふふふ。
 いかがです?、理事長。
 生徒に犯されるご気分は?
 そのままイカされてみます?
 美里、もう片方の手で、クリ弄ってあげて。
 指先を揃えて、クリに載せて……。
 注射跡を揉むみたいに、やさしく捏ねてあげて」

 言われたとおり、束ねた指先をクリの上から宛てがった。
 指の腹には、明白なしこりが感じられた。

「どう?
 勃起してるでしょ?」

 わたしは、思わず頷いた。
 理事長の顔が、悲しそうに歪んだ。

「動かして。
 恥丘ごと押し回す感じよ」

 理事長の首が起ちあがった。
 わたしを真っ直ぐに見る瞳には、哀願のさざなみが揺れてた。

『お願いだから、動かさないで』

 理事長の瞳は、そう言ってるように思えた。

「ほら。
 理事長、お待ちかねよ。
 回して。
 自分ので、毎日やってるでしょ」

 わたしは、押しつけた指先を、ゆっくりと始動させた。
 力を徐々に加えながら、指先に円を描かせ始める。

「ひぃぃ」

 北風みたいな声とともに、理事長の頭が仰け反った。

「ほーら、来た。
 変態ショーの、始まり始まり。
 川上先生?
 いかがです。
 ちょっと、なに顔逸らしてるのよ。
 ちゃんと見なさいって。
 嫌なの?
 そうよね。
 大好きな理事長のまんこが、誰かに弄られてるんですものね。
 しかも、理事長は……。
 気分出しちゃってる。
 ほほほ」

 川上先生は、顔を伏せたまま、首を横振り続けた。

「はんが。
 はんがぁ」

 理事長が、鼻濁音を噴きあげ始めた。

「豚さんみたい。
 よっぽど気持ちいいのね。
 視線が飛んじゃってますわよ。
 ほら、川上先生、見なさいって。
 言うこと聞かないんなら……。
 理事長の肛門に突っこませるからね。
 いいの?」

 川上先生は、さらに激しく首を振った。

「なら、見なさい。
 顔上げて。
 そう」

 額に切なそうな皺を刻みながら、川上先生の顔が上がった。
 視線が、わたしの手元に落ちた。

「どう?
 気持ち良さそうでしょ?
 あなたもされてみたい?」

 川上先生は、再び首を振った。
 でも、その目線は、わたしの手元からブレようとしなかった。

「うそおっしゃい。
 うらやましくてしょうがないくせに。
 言ってごらん。
 わたしにも入れてくださいって。
 わたしのクリも弄ってくださいって」
「はんぐぅ。
 はんが、はんががが」
「ほら、理事長、イッちゃいそうよ。
 言ってごらんって。
 わたしのも弄ってって」

 川上先生は、全身を捩りながら首を横振った。
 豊かな髪が、闇に墨汁を撒き散らす。

「ははははは」

 あけみ先生が、仰け反りながら笑った。
 指先が持ちあがり、川上先生の股間を指した。

「身体は正直ね。
 美里、ほら見て。
 垂らしたわよ、この女。
 まんこから、糸引いてる」

 あけみ先生の指先から逃れるように、川上先生は身を捩った。
 もちろん、逃れるすべはない。

「ほーら。
 垂れてく垂れてく。
 川上先生。
 恥ずかしがることありませんよ。
 すっごく綺麗」

 そのとおりだった。
 川上先生の股間から垂れる糸は、まるで天上から下がる蜘蛛の糸だった。
 身じろいだせいで揺れる糸は、電球の明かりを返して銀色に光った。

「そうだ。
 写真!
 美里、カメラカメラ。
 早く取ってきて」

 そんなこと言われても……。
 わたしは、手元のバイブに目を落とした。

「それはそのままでいいから。
 その方が絵になるでしょ。
 早く!
 糸が切れちゃうじゃない」


本作品のモデルの掲載原稿は以下にて公開中です。
「川上ゆう」 「結」 「岩城あけみ」

《説明》
杉浦則夫の作品からインスピレーションされ作られた文章作品で、長編連載小説のご投稿がありました。(投稿者 Mikiko様)
本作品は毎週日曜日に公開される予定となっておりますので、どうぞお楽しみに。
前作を凌ぐ淫靡と過酷な百合緊縛!「川上ゆう」さん、「YUI」さん登場予定作品です。
時を越え、再び出会った美里とあけみ。現在に戻った美里は、さらなる花虐へと誘われていく…。


放課後の向うがわⅡ-43

「形のいいお鼻で、うらやましいわ。
 でも、息が出来ないでしょ?
 どうします?
 このまま死んじゃう?」

 理事長の顔に、曙のように朱が差した。

「あふ」

 理事長の口が、わずかに割れた。
 歯間をうかがってたバイブは、その瞬間を逃さなかった。

「あが」

 バイブの先端が、城郭を割った。

「ほほ。
 咥えた咥えた。
 どう?
 美味しい?
 もっと、口いっぱいに頬張っていいのよ」
「はぐぐ」

 理事長の前歯が、バイブに食いこむほど噛み締められた。

「スゴいスゴい。
 生身のちんちんだったら、千切れてるわ。
 だから……。
 強姦もののAVでイラマさせるなんて、非現実的なのよね。
 女の顎が閉じたら……。
 ヤワな海綿体なんて、タラコみたいに食いちぎられるに決まってるもの。
 でも、このバイブくんは……。
 痛みを感じないんですね。
 ほら、もっと咥えてって」
「ぎぎぎ」
「強情な女。
 ま、いいわ」

 あけみ先生は、理事長の鼻から手を離し、床のクリップを拾い直した。

「さーて。
 さんざん悪態をついてくれた罰を受けてもらうわ。
 このクリップで、生意気な舌を挟んであげる。
 ほら、あーん。
 あ、舌引っこめた。
 ほんと、素直じゃないんだから」
「岩城先生、お願いだから止めて」
「今ごろ何言ってるの。
 あなたがちゃんとセリフ言わないから、理事長がこんな目に遭ってるのよ」
「言います。
 言いますから」
「もう遅いわ。
 オーディションは、とっくの昔に終了しました。
 ほら理事長、舌出して」

「ふふ。
 可愛いベロちゃん。
 暗闇に隠れようったって、そうはいかないわよ。
 このバイブね……。
 光るのよ。
 どこのアホがこんな仕掛け、思いつくのかしらね。
 光ってどうすんだって感じよね。
 それが、こんなときに役立つとは……。
 発明者でも、気がつくめい。
 ほーら、スイッチオン。
 綺麗綺麗。
 ベロちゃん、もう逃げも隠れも出来ませんよ」

 あけみ先生は、クリップを理事長の口に挿し入れた。
 理事長の痛みを想像すると、お尻の穴が絞られるようだった。
 あけみ先生は、アルカイックな微笑みを湛えたまま、指先を微妙に動かしてる。
 いかにも器用そうな手つきだった。
 その手先が、針を突くような仕草で動いた。

「はぎ」

 理事長の表情が歪み、全身が跳ねた。
 銛に突かれた魚みたいだった。

「ほーら、釣れた」

 あけみ先生は、クリップのチェーンを真上に引いた。
 チェーンは真っ直ぐに張り、光を返して輝いた。

「ふふ。
 引いてる引いてる。
 ほら、美里。
 見えるでしょ?
 わたしの獲物」

 クリップがバイブに触れて、カチカチと鳴った。
 クリップの先に挟まれた、生々しい肉色が覗いた。
 舌が、歯間を抜けて来た。

「理事長。
 今、バイブ抜いてあげますからね。
 でも……。
 間違っても、クリップを歯で外そうなんて考えないで。
 このクリップ、かなり強力だから……。
 無理に引っ張ると、舌の縁が切れちゃうかも。
 舌なんか止血のしようがないんだから、血が止まらなくなりますよ。
 いいですね。
 それじゃ、バイブ外します」

 あけみ先生が、バイブを引き上げると……。
 理事長の顔が、一緒に上がった。
 理事長の歯が、バイブを噛み締めてたのね。
 たぶん、舌の痛みがそうさせたんだと思う。

「そんなに気に入ったの?
 でも、これはおあずけ。
 ほら、離しなさいって」

 あけみ先生は、釘抜きを使うように、バイブを捏ねた。

「がっ」

 理事長の口から、バイブが外れた。

「ほら、スゴい。
 こんなに歯型が付いてる。
 生身の男だったら、間違いなく千切れてたわね。
 ほら、もっと舌出して」

 あけみ先生は、チェーンを小刻みに引いた。
 理事長の顔が、大きく歪んだ。
 背中が、アーチを描いて持ちあがる。

「岩城先生!
 お願い。
 お願い、助けてあげて!」
「痛そうよね。
 それじゃ、仲の良いお2人には……。
 痛みを分かち合っていただきましょうか。
 この反対側のクリップを……。
 やっぱり、この乳首よね。
 見事なとんがり乳首。
 ここに繋げてあげましょう。
 ほら、川上先生」

 川上先生は、胸元に近づいたクリップを避けるように身を反らした。

「あら。
 そんなことしていいの?
 言ってることと違いますわよ。
 いい?
 このチェーンは短いの。
 あなたが身を反らせたら……。
 理事長の舌がよけいに引っ張られることになるのよ。
 ほら、身体を倒して。
 さもないと……」

 あけみ先生は、手元のチェーンを引いた。

「はがっはがっ」

 理事長が全身で跳ねた。

「止めて止めて!」

 川上先生が、懸命に身体を前に倒した。

「そうそう。
 それでこそ“愛他の女神”よ。
 じゃ、お望みどおり……。
 挟んであげる」

 クリップの口が、煌めくように開いた。

「えい」

 その口が再び閉じたとき、狭間には肉色の突起が挟まれてた。

「痛いっ。
 痛い痛い痛い」
「暴れると、理事長の舌が千切れるわよ。
 そしたら、あなたが殺人者だからね」

 川上先生は、額に阿修羅みたいな皺を波立たせながら、懸命に身を折った。

 理事長の舌を引っ張らないようにしたんだろう。
 その心根を思うと、わたしの胸も切なく痛んだ。

「美里、どうしたの?
 そんな顔して。
 なんか……。
 鬼でも見る目ね。
 助けてほしい?
 そんなら、あんたが身代わりになる?」

 もちろん、首を縦には振れなかった。

「あなたは、わたしの助手なんだからね。
 立派な共犯者。
 それを忘れないでちょうだい」

 あけみ先生に決めつけられ、わたしは俯くしかなかった。

「でも、改めて見ると、スゴいオブジェが出来ちゃったわよね。
 もし、全裸の男をここに放りこんだら、どうするかしら?
 って、やることはひとつよね。
 まずは、そうね……。
 川上先生かな。
 腰を落として、立ったままの正常位。
 大きなお尻を抱えながら、狂ったように腰を振るわね。
 あっという間に追い詰められる。
 でも、必死に断崖で踏みとどまるわ。
 だって、おまんこはもうひとつあるんだもの。

 男は、川上先生の中から、ゆっくりとちんぽを抜いていく。
 テラテラと光る肉茎には、練られて白濁した膣液が網目を描いてる。
 亀頭まで抜けたちんぽは、反動を付けて跳ねあがり、腹筋を叩く。
 男は、ゆっくりと理事長の足元に回りこむ。
 天を指して怒張するちんぽを、片手で押し下げる。
 切っ先からは、先走り汁が、糸を引いて下がってる。
 もう限界。
 そのまま膝を付いて、にじり寄ると……。
 理事長のツルツルまんこに、思い切り突っこむ。
 2,3度腰を振っただけで、男は喉も裂けよと絶叫する。

『出る!
 出る!』

 男は、煽った腰をぶつけたまま凝固する。
 尻たぶが激しく収縮し……。
 毒液が、理事長の膣深くぶち撒けられる。
 男は、濡れ犬のように身を震わせると、そのまま仰向けに転がる。
 でも、ちんぽはまだ、理事長のまんこに突っこまれたまま。
 2人は尻を合わせて、仰向けに繋がってるの。
 白目を剥いた男が、断末魔のように痙攣すると……。
 ようやくちんぽが抜けた。
 射出口に残る精液が跳ね、投げ縄の軌跡を宙に描く。
 まだ硬度を保ったちんぽは、男の腹筋を叩いて鎮まった。
 亀頭には、名残の精液が珠を結んでる。
 その雫が、落ちると同時に……。
 理事長のまんこから、放出された精液が溢れ出す。
 栗の花の香りを噴きあげながら……。
 白い泥流が、理事長の尻の穴を埋め尽くしていく。

 はは。
 また、妄想モードに入っちゃったね。
 でも、理事長。
 ほんとに、その格好で犯されてみたくないですか?
 って、聞いたって、返事は出来ないか。
 口も利けないし、首も振れないものね。
 でも、ほら。
 柱のちんちんが、理事長のまんこ、睨んでますよ。

 突っこみたいって。
 内臓を掻き回したいって。
 どう?
 味見してみる?
 嫌なの?
 どうなのよ!
 あ、お返事出来なかったんだっけ。
 じゃ、わたしが勝手に解釈するしかないわね」


本作品のモデルの掲載原稿は以下にて公開中です。
「川上ゆう」 「結」 「岩城あけみ」

《説明》
杉浦則夫の作品からインスピレーションされ作られた文章作品で、長編連載小説のご投稿がありました。(投稿者 Mikiko様)
本作品は毎週日曜日に公開される予定となっておりますので、どうぞお楽しみに。
前作を凌ぐ淫靡と過酷な百合緊縛!「川上ゆう」さん、「YUI」さん登場予定作品です。
時を越え、再び出会った美里とあけみ。現在に戻った美里は、さらなる花虐へと誘われていく…。


放課後の向うがわⅡ-42

「ほほっ。
 そうよね。
 大丈夫よね。
 ていうか……。
 大好きなんだもんね。
 こんなふうに、苛められるのが。
 そういうの、マゾって云いますのよ」
「違います」
「違わないでしょ。
 こんなに乳首、尖らせておいて」
「クリップに、挟まれてるから」
「わたしが言ってるのは、挟まれてないほうの乳首よ。
 ギン起ちじゃないの」
「違います違います」
「まぁ、さっきは教師の鏡だったのに……。
 今度は、教師にあるまじき言動だわ。
 先生、嘘はいけませんね」
「嘘なんかじゃない」
「そんなら、そのお股の汁は何なの?」
「それは……。
 さっき、バイブで……」
「それは、さっきでしょ。
 今、流れてるのは、何なのって言ってるの」
「……」
「今度はだんまり?
 何とか言いなさいよ。
 じゃ……。
 言わせてみせよう、ホトトギス」

 あけみ先生は、クリップを繋ぐチェーンを摘んだ。
 そのまま、ゆっくりと後退る。
 銀の鎖は、虚空に“く”の字を描いた。

「感じる感じる。
 2人の体温。
 チェーンを伝って、昇って来るわ」
「くくく」
「痛い?、川上先生。
 じゃ、おしっこ漏らしたら、許してあげる。
 ちょうど、犬がおしっこするポーズじゃないの。
 そのまましてごらんなさい。
 理事長、びしょびしょにしてやって」

 川上先生は、大きくかぶりを振った。

「岩城先生。
 ほんとにそれで、ゆうちゃんを助けてくれるの?」
「もちろん」
「ゆうちゃん、いいのよ。
 そのままおしっこして」

「できない。
 そんなこと、できません」

「気に入らないわね。
 本音を言いなさいよ。
 相手はどうなってもいいから、自分だけ助けてって」
「わたしたちは、あなたとは違うの!」
「あら、ご挨拶ね。
 憎たらしい口。
 あー、思い出してきた。
 この塔の建設当時。
 その口で、毎日毎日命令してくださしましたよね。
 ちょっと黙っていただこうかしら」

 あけみ先生が、理事長の乳首を挟むクリップに手を伸ばした。
 理事長の背筋に、力線が走った。
 上体を捻り、起きあがろうとしたのだ。

「おっと」

 一瞬早く、あけみ先生が肩を押さえつけた。
 理事長の上体が潰れる。

「危ない危ない。
 脚が自由なの、忘れてたわ。
 美里、理事長の身体、こうやって押さえてて。
 早く」

 言われるままに、理事長に被さる。
 何の香水だろう。
 かなり強い香りなんだけど、鼻を刺すような鋭さはなかった。
 逆に、わたしの顔を包みこむ、蒸気みたいなやわらかさを感じた。
 たぶん、香水と汗が混じった匂いなんだと思う。
 なぜだか、これが本物の香水の香りなんだって感じた。
 香水は、汗と混じって初めて、本物の香りを噴きあげるんだって。

 その間にも、あけみ先生の手は休まなかった。
 理事長の下半身に回り、膝上にロープを巻いてる。
 見とれるほどの手際だった。
 細めのロープが、重ならずに綺麗に並んでいく。

「ほら、脚あげて。
 オシメを替えてもらうポーズよ。
 赤ちゃんのとき、してたでしょ?
 覚えてない?
 嘘おっしゃい。
 今でも、毎晩やってるくせに。
 おまんこ舐めてぇ、って」

 あけみ先生は、理事長の太腿を持ちあげようとした。
 理事長は、脚をバタつかせて拒んだ。
 あけみ先生は、宙を蹴る膝下を胸の前に抱えた。
 そのまま、お尻を下ろす。
 お尻が理事長の腿裏を押さえつけ、理事長の脚は、お腹にくっつくまで折り畳まれた。
 あけみ先生は、体重を乗せたまま手を伸ばし、理事長の脚と上体をロープで繋いだ。
 理事長の抵抗も虚しく、もう1本の脚も、あっという間に畳まれた。

「ほら、おねだりポーズのできあがり。
 仰向けで、おまんこ全開。
 この格好、大好きでしょ?
 言ってごらんなさい。
 おまんこ舐めてって」
「いやよ。
 あなたとは違うわ」
「どう違うの?
 おんなじよ。
 お汁を垂らすおまんこを持った、雌同士じゃないの。
 ほら、理事長の腿裏に、わたしのお汁が光ってる」
「解いて!
 解きなさい!」
「まだ、わからないの?
 命令できる立場じゃないってことを。
 そんな口が、二度と利けないようにしてあげるわ」

 あけみ先生は、理事長の乳首からクリップを外した。

「ほら、お口開けて」

 もちろん、理事長が従うわけない。
 口を一文字に引き締めたまま、あけみ先生を睨みあげた。

「まぁ。
 素敵な眼差しですこと。
 そんなお顔が出来ないように……。
 心を折ってさしあげますわ。
 このチェーンじゃ、長すぎるわね」

 女王さまは、川上先生の乳首からもクリップを外した。
 床から、別のクリップを拾いあげる。
 今度のは、クリップを繋ぐチェーンが、ずっと短かった。

「ほら、お口開いて。
 まだ言うこと聞かないわけ。
 美里、そこに転がってるバイブ、拾って。
 そう。
 持ってきて。
 ふふ。
 ほら、理事長。
 大好きなオモチャが届きましたよ。
 でも、下のお口はお預けね。
 上のお口に咥えるのよ。
 ほら、あーん」

 理事長は、頬に腱が走るほど口元をきつく閉めた。

「相変わらず悪い子ね。
 わたし、自分の筋書き通りに事が進まないと、いらいらするの。
 手荒なことはしたくないんだけど……。
 仕方ないわね」

 あけみ先生は、バイブの先を理事長の口元に近づけた。
 理事長は首を振って逃れる。

「そうか。
 縄でがんじがらめにしても、首だけ動くっての忘れてた。
 じゃ、こうやって固定しようか」

 あけみ先生は、立膝の姿勢を取った。
 そのままにじり寄り、理事長の頭を両膝で挟む。

「どう?
 動けないでしょ。
 ははは」
「止めて!
 岩城先生、ほんとに止めて」
「あら、川上先生。
 そんなこと言って。
 ほんとは、このバイブが欲しいんじゃなくて?
 おねだりしたら……。
 ちょっとだけ味見させてあげる」
「そしたら、理事長先生は許してもらえますか?」
「それは、川上先生のセリフしだいよ。
 心を込めて、迫真のセリフを言ってくださいね。
 はい、オーディション、スタート。
 ほら、言って」
「そのバイブを、わたしにください」
「カーット。
 なにそれ?
 ダイコンにもほどがあるわ。
 英文和訳じゃ無いのよ」
「じゃ、なんて言えばいいんですか!」
「仕方ないわね。
 じゃ、わたしの言うとおり続けるのよ。
 『その、ズル剥けの犬のちんぽみたいなピンク色のバイブを、わたしの発情したまんこに、思いっ切り突っこんでください』。
 はい、言ったんさい」
「……、そのバイブを」
「ズル剥けが抜けてる」
「ズル剥けの……。
 うぅ」
「また、泣いてごまかす。
 ほんとは、下のまんこの方が泣いてるくせに。
 可哀想だから、ちょっとだけ入れてあげる。
 先っちょだけよ」

 駆動音が立ちあがり、バイブがうねり始めた。
 あけみ先生は、理事長の頭を挟んだ立膝のまま、バイブを燭台のように掲げた。
 ピンク色の蝋燭が、天を指してくねってる。
 あけみ先生は、手を伸ばしたまま、ゆっくりと燭台を下げた。
 バイブが、川上先生の股間を見上げた。

「ほら、さっきの続き。
 『まんこに突っこんでください』。
 ほら、言って」
「ゆうちゃん、言っちゃダメ」
「あ、惜しい。
 今、口開いたのにね。
 うっかりしてたわ。
 今度、口が開いたら、容赦しないから。
 ほら、川上先生。
 どうしたんですか?
 セリフが途中ですよ。
 『ヤラしいお汁を垂れ流すゆうのまんこに、そのぶっといバイブをぶち込んでください』。
 もたもたしてると、どんどんセリフが変わっちゃうんだから」
「うぅ。
 助けて。
 理事長先生、助けて」
「ゆうちゃん!
 ゆうちゃん!
 岩城先生!
 この人でなし!」

 理事長は、阿修羅のような形相で、あけみ先生を見上げた。

「うるさい女。
 やっぱり、この口を先に塞がなきゃダメね」

 あけみ先生は、掲げたバイブを逆手に持ち替え、理事長の口元に近づけた。
 理事長の唇が、真一文字に閉じる。

「ほら、口開いて」

 理事長は懸命に顔を振って逃れようとするけど……。
 あけみ先生の両膝が、理事長の頭をがっちりと押さえつけてた。
 バイブの先端が唇を割った。
 でも、それ以上は進まない。
 象牙の城郭みたいな前歯が、敵の侵入を阻止してるのだろう。

「開かぬなら……。
 開かせて見せよう」

 歌うように唱えながら、あけみ先生のもう一方の手が、理事長の鼻に伸びた。
 鼻梁を摘む。


本作品のモデルの掲載原稿は以下にて公開中です。
「川上ゆう」 「結」 「岩城あけみ」

《説明》
杉浦則夫の作品からインスピレーションされ作られた文章作品で、長編連載小説のご投稿がありました。(投稿者 Mikiko様)
本作品は毎週日曜日に公開される予定となっておりますので、どうぞお楽しみに。
前作を凌ぐ淫靡と過酷な百合緊縛!「川上ゆう」さん、「YUI」さん登場予定作品です。
時を越え、再び出会った美里とあけみ。現在に戻った美里は、さらなる花虐へと誘われていく…。