放課後の向うがわⅡ-8

「理事長、この子、憶えてます?」
「……」
「残念ね、美里。
 どうやらあなた、記憶に残ってないみたい。
 もっとも、そんな格好だもんね。
 下半身裸の女生徒なんて、記憶の中の顔と繋がらないかも。
 理事長。
 ちょっと前に、転入生の面接をなさったでしょ。
 その子ですよ」
「岩城先生。
 どうして……。
 どうしてその子まで」
「あらやだ。
 わたしが、この子をどうにかしたとでも?
 この子は、自分でパンツまで脱いだんですよ。
 わたしと同んなじ姿になりたいって。
 それに……。
 理事長を吊り上げたのも、この子なんです」
「そんな……」

 理事長と目が合った。
 わたしは、かぶりを振った。
 確かに吊り上げたのはわたしだけど……。
 吊り荷が理事長だったなんて、知らなかったんだもの。

「ほら、美里。
 見てごらん、このお腹。
 スゴい括れでしょ」

 背中で両腕を戒めてる縄が、ウェストの両脇から前に回ってた。
 縄は、張り出した腰骨に食いこみながら絞られ、股間で1本に束ねられてる。
 撚れ絡む縄は、そのまま脚の間を通って、梁まで伸びてた。
 つまり、理事長の全体重が、その縄の束に掛かってる。
 キツく食いこむ縄で、理事長のお腹は、V字を逆にした形に括れてた。

「ほら、この腹筋」

 先生の指が、理事長のヘソの脇をなぞった。

「あぅっ」

 理事長の身体がうねり、縄を渡した梁が軋んだ。
 お臍を挾んで両側に、筋肉の割れ目が浮きあがった。

「さすがね。
 水泳や乗馬で鍛えてらっしゃるから。
 女性のこんなお腹、初めて見たわ」
「く、苦しい……。
 下ろして」
「眠らされてる間に縛られて……。
 気がついたら逆さ吊り。
 さぞ、驚いたでしょうね。
 でも、縛るの、けっこうタイヘンだったんですよ。
 縛りってのは、縛られる側の協力が無いと、とっても難しいの。
 やっと完成したオブジェなんだから……。
 そう簡単には下ろせません。
 美里、カメラ取って来て」

 先生は、壁際のテーブルを指さした。
 例の、ポラロイドカメラが置かれたテーブル。
 先生の指先を辿った理事長の視線が、わたしを向いた。

「あなた、止めて。
 止めさせて!」
「あら、理事長先生。
 この子の名前、覚えてらっしゃらないの?
 こないだ、面接したばっかりでしょ?」
「ミサトさん、お願いだから、止めて」
「はは。
 名前の方は、さっきわたしが呼んでたものね。
 苗字は?」
「……、ごめんなさい」
「美里、カメラ。
 出来上がりを、モデルさんにも見て欲しいから……。
 ポラロイドね」

 わたしは、縋りつく理事長の視線を逃れるように、後ずさった。
 視線の呪縛を逃れると、身を翻して、デスク前に立った。
 ポラロイドカメラは、厚い洋書みたいな形に折り畳まれてた。
 銀色の躯体に、茶色い革が張られてる。
 取り上げると、ずっしりと重い。
 わたしは、冷たいカメラを胸元に抱きしめた。
 あの、木造校舎の記憶を抱くように。

「何してるの。
 早く持って来て」

 胸元に乳飲み子を抱えるようにして、先生の元に戻った。
 なぜ、理事長ではなく、あけみ先生の言うことを聞いたのか……。
 わたしにも、よくわからない。
 でも、あの放課後の向うがわにあった世界が……。
 あのときのわたしを支配してた。
 だから、あの世界を一緒に体験した先生が、わたしにとっては特別な人だったのかも。

 先生は、わたしからカメラを受け取ると……。
 お弁当箱にライターが貼り付いたみたいな出っ張りに手をかけた。
 その出っ張りを、マジシャンみたいな手つきで引き上げると……。
 折り畳まれてたカメラは、一瞬にして立体的なフォルムを獲得した。

「今日は、ストロボも要るわね。
 美里、机の引き出し。
 早く行って。
 そう、そこの一番上。
 それそれ。
 今、手に取ったやつ。
 持ってきて」

 それは、薄青い、アイスキャンディみたいな形をしていた。
 キャンディの中に、電球が並んでる。

「フラッシュバーって云うのよ」

 先生は、バーを電球にかざした。

「綺麗でしょ。
 電球が、裏と表に5つずつ並んでる。
 この電球はね……。
 発光すると、ひとつずつ潰れるの。
 つまり、10回しか使えないストロボね。
 儚ないっていうか、潔いいって云うか……。
 昔の機械って、愛しいよね。
 ポラロイドのフィルムだって……。
 間違ってシャッター押したら、1枚使っちゃうわけだし」

 先生は、キャンディみたいなバーを、カメラの上に、横向きにセットした。
 バーの長さはカメラの横幅と同じだった。
 儚い電球を装着したカメラは、オモチャのロボットみたいに見えた。

「さ、モデルさん。
 カメラの準備が出来たわよ。
 こっち向いて」
「いや……」

 理事長は、カメラから顔を背けた。
 逆立った長い髪が揺れた。

「素直じゃないわね」

 先生は、背けた顔の方に回りこんだ。
 理事長の顔が、また逃げた。

「もう。
 さっきも言ったでしょ。
 このストロボ、無駄玉は打てないのよ。
 じっとして」

 もちろん、理事長はその言葉に従わなかった。
 先生の動く方向とは逆に、顔を振り向ける。

「頭にきた。
 そういう悪いモデルさんは、お仕置きね」

 先生は、構えてたカメラを下ろすと、理事長に近づいた。
 逆さに吊られた理事長は、顔を背けることは出来ても……。
 体ごと捻ることは出来ない。
 もちろん、すぐ脇に立つ先生から逃れるすべはない。

「美里、こっち来てごらん。
 ほら、綺麗なおっぱい。
 でも、可哀想にね。
 こんなにひしゃげて」

 乳房の周りを、縄が締めつけてた。
 上下に幾筋も走る縄で、乳房は生クリームの絞り袋みたいに潰れてる。
 でも逆に、砲弾みたいな形に尖ってた。

「それほど大きくは無いけど……。
 ほんとに綺麗なおっぱい。
 乳首も、濃い目のファンデみたいな肌色だし。
 遊んでるはずなのにね。
 ほら、乳輪だって……。
 朧月みたい。
 綺麗な満月。
 なんだか、腹が立ってくるわね。
 理事長、このおっぱい、自慢なんでしょ?」

 先生は、理事長の顔を見下ろした。
 理事長は、顔を背けたままだった。

「答えない気?
 お立場がわかってらっしゃらないようね。
 逆さに吊られながら反抗的な態度を取ったら、どうなるか……。
 教えてさしあげますわ」

 先生の片手が、理事長の乳房に伸びた。
 指先が、乳首を摘む。
 力が籠もった。
 蛍が灯るように、爪が白く色を変えた。

「痛いぃぃ」

 理事長が髪を振り立てた。

「悪い子の乳首は、グリグリ」

 先生は、摘んだ指先を左右に捻った。
 そのまま、引っ張りあげる。

「ほーら、伸びちゃった。
 理事長、形が崩れちゃいますよ」
「止めてぇ」
「じゃ、言うこと聞きます?」

 先生の指先が、乳首を離れた。

「あれ?
 理事長。
 こっちの乳首、起ってません?」
「違います!」
「違わないわぁ。
 美里、ほら見てごらん。
 同じじゃないわよね。
 反対の乳首と」

 言われてみればって感じだけど……。
 引っ張られた乳首は、もう片方より突き出て見えた。

「起ってるでしょ」

 わたしは、思わずうなずいてた。

「ウソよ……」
「まだ、そんなこと言ってるの。
 そういう子には……。
 本格的なお仕置きが必要ね。
 いいこと思いついたわ」

 先生は、ウィンチの机の間を縫って、部屋の奥に向かった。
 電球から遠ざかった背中が、薄暗がりに沈んでいく。

「この部屋、ほんとに写真部の部室に打って付けなのよ。
 水が出るんですもの。
 現場監督に教えてもらったんだけど……。
 ここに、カウンターバーが付く予定だったらしいの。
 ほんとにふざけた理事会室よね。
 残念ながら、カウンターの搬入前に、工事が止まっちゃったけど……。
 シンクだけは、こうして付けられてたってわけ。
 さらに、この奥には……。
 いろんな楽しいガラクタが転がってるの。
 早い話、物置代わりに使ってるってことよね。
 不要になったガラクタが、ここに押し込められて来たわけ。
 3年も経てば、いろいろ集まるわよ。
 ほら、畳まであるんだから」

 先生の指の先は、壁際に立てかけられた畳を指してた。
 畳は、小部屋を敷き詰めるくらいの枚数があった。

「どうしてこのロココ調の建物に、畳があると思う?
 現場監督に設計図を見せてもらって、呆れたわよ。
 理事長室には、茶室があったのよ。
 現場監督には……。
 ヨーロッパで知り合った友人を招待するときに使う大事な部屋だって、得々と語ってたそうよ。
 早い話、驚かせて自慢したかったんでしょ。
 で、その茶室に一旦入れた畳を、総入れ替えしたのね。
 い草の色合いが気に入らないとかでさ。
 でもこの畳、サイズが微妙に市販品と違ってるらしいの。
 茶室って言っても、ロココ調の尖塔部分に、無理やりくっつけた部屋だから……。
 日本間の寸法とは違うのね。
 だから畳も、部屋に合わせた特注品ってこと。
 当然、返品も利かない。
 で、一部屋分の畳が無駄になっちゃったってわけ。
 サイズが違うから、茶道部の部室とかに払い下げるわけにもいかないし。
 結局この部屋に投げ込まれたまま……。
 せっかくのい草の色も、すっかり色褪せちゃったってわけ。
 ほんと、宝の持ち腐れってこのことよね。
 そうでしょ、理事長?」


本作品のモデルの掲載原稿は以下にて公開中です。
「結」 「岩城あけみ」

《説明》
杉浦則夫の作品からインスピレーションされ作られた文章作品で、長編連載小説のご投稿がありました。(投稿者 Mikiko様)
本作品は7/13まで連続掲載、以後毎週金曜日に公開される予定となっておりますので、どうぞお楽しみに。
前作を凌ぐ淫靡と過酷な百合緊縛!「川上ゆう」さん、「YUI」さん登場予定作品です。
時を越え、再び出会った美里とあけみ。現在に戻った美里は、さらなる花虐へと誘われていく…。


放課後の向うがわⅡ-7

 先生は、もう一度瞳を伏せ、手首を返して時計を見た。
 時計を見詰めるメタルフレームの女教師。
 試験監督のようだった。
 ただし、上半身だけ見れば。
 なぜなら、その女教師の下半身は、剥き出しだったから。
 股間には、縄が食いこんでる。
 縄瘤が、肥大したクリトリスのようにも見えた。
 その下で潰されてる本物のクリを想ったとき……。
 わたしの股間が、堪らなく疼いた。
 思わず太腿を擦り合わせる。

「どうしたの?
 おしっこ?」
「い、いいえ」
「ふふ。
 てことは……。
 気分出ちゃってるわけね」
「……」
「そのまま、してみる?
 オナニー。
 見られながらって、スゴくいいわよ。
 転入初日……。
 あなたも、教壇に立って挨拶したでしょ。
 たとえばそのとき……。
 いきなりスカート下ろして、オナニー始めたら、なんて……。
 考えなかった?
 ない?
 ま、そうよね。
 転校生に、そんな余裕なんて無いわよね」

 内腿を、生温い液体が伝うのがわかった。
 命じてほしかった。
 オナニーしなさいって。
 でも先生は、笑窪だけ作って笑うと、視線を機械に戻した。

「こっち来て。
 座学はこれでお終い。
 ここからは、実習よ」

 わたしの脚は、内腿を摺り合わせるように、勝手に歩んだ。

「ほほ。
 スゴい格好ね。
 そんな中学生みたいな体型して、性欲は大人並みってこと?
 ま、あなたの資質は、14年前に見てるから……。
 驚きはしないけど。
 ほら、こっち来なさいって。
 女子高に『技術』の時間は無いけど……。
 今日は、特別講義ね。
 手動ウィンチの操作法。
 これ握って」

 先生は、ドラムの片側に付いたハンドルを指さした。
 ドラムの側面からは、ドラムに沿って金属のアームが伸び……。
 その先に、アームとは直角に、樹脂製らしい黒い握りが付いてる。
 ほんとに、巨大なリールみたいな形だった。

「そう。
 両手じゃなくても大丈夫よ」

 こんなもの握らせる先生の意図が、まったくわからなかった。
 まさか、本当にウィンチの講義じゃあるまいし。

「回してみて。
 逆。
 反対方向。
 そうそう。
 軽いでしょ」

 ハンドルは、軋むことも無く動いた。
 たっぷりと油が差されたような、滑らかな手触りだった。
 でも、ハンドルには、はっきりと荷重が感じられた。
 回すごとに、機械がカチカチと音を立てた。
 梁を渡るロープが、ぴんと張ってた。
 ロープの先は、ビニールシートに隠れてる。
 でもそこには、明らかに吊り荷がある。

「はい、まだよ、まだよ。
 回して回して」

 先生は機械の側を離れ、暗幕のように下がるシートの脇に立っていた。
 先生の位置からは……。
 シートの向うがわ、つまりわたしが引き上げてる吊り荷が、はっきりと見えるはず。

「もう少し」

 先生は片手を頭の脇まで上げ、巻きあげスピードを指示するように、指先を回した。
 下半身だけ剥き出しの姿で。
 わたしは思わず、自分の股間を見下ろしてた。
 真っ白な下腹部に、下向きに生えた陰毛。
 性器は見えない。
 そこがどうなってるかは、触らなくてもわかった。
 どうしようもないほど熱かったから。
 自ら熱を発し、熱い雫を零してる。
 太腿を、雫が伝ってた。
 触らなくてもわかってたけど……。
 触りたかった。
 いやらしく溶け崩れてるおまんこを、思い切り掻き回したかった。
 先生の目は、吊り荷に向いてる。
 片手を腰に当て、掲げたもう一方の手は、頭上で回転してる。
 まるで、工事現場の監督みたい。
 でも……。
 その下半身は裸。
 剥き出しの素っ裸なのよ。

 堪らなくなって、わたしの片手が、下腹部に伸びかけた。

「ストップ!」

 伸びかけた手が、火傷をしたように飛び退いた。
 でも、先生の目は、わたしを見てなかった。
 先生の制止は、ウィンチの巻き上げの方だったの。
 気がつくと、ウィンチから梁へ渡るロープは、さっきよりも強く張ってるみたいだった。
 梁から真下に下がるロープも、棒のように張り切ってる。
 吊り荷の重さを感じさせた。
 止めたハンドルに、心なしか重みを感じた。

「ハンドル、離しても大丈夫よ。
 自動ブレーキが掛かってるから、離しても戻らないの」

 わたしは、恐る恐る黒い握りから手を離した。
 電球の光を返す樹脂の肌に、わたしの汗が光って見えた。
 手を離しても、ハンドルは動かなかった。

「ウィンチの操作実技は、これでお終い。
 簡単でしょ。
 だれでも合格ね」

 先生はシートの向う側から、2,3歩戻ると、シート脇に立った。

「さーて。
 それじゃ、お披露目しましょうか。
 あなたが吊り上げた荷物を」

 先生の手が、ブルーシートに掛かった。
 わたしの瞳を確かめるように見ながら……。
 先生は、マジシャンの手つきでシートを引き下ろした。
 ゴワゴワした音を立てて、ブルーシートが外れると……。
 そこは、薄暗い舞台だった。
 舞台の真ん中に、何か下がってる。
 それがわたしが吊り上げた荷物だってことはわかった。
 でも、それが何なのか、わたしの脳は理解できなかった。
 吊り荷は、電球の光を浴びていた。
 肌色だった。
 一瞬、大きな肉のブロックでも下がってるのかと思った。
 でも、それも一瞬。

「うわっ」

 吊り荷が何なのか理解できた途端、わたしのお尻は、床まで落ちてた。

「そんなに驚いてもらえると、ほんとにやりがいがあるわ。
 わが写真部、専属のモデルさんよ。
 どう?
 あなたが吊り上げたのよ」

 ロープから下がってたのは、人だった。
 それが何か、一瞬理解できなかったのは……。
 その人が、逆さに下がってたから。
 天地が逆の人間を、脳が咄嗟に処理出来なかったんだね。

「綺麗でしょ?」

 若い女性だった。
 真っ裸の。
 いえ、正確に言うと、縄を纏ってた。
 首の後ろから回る縄目が、胸元で網のように拡がり、乳房を戒めてる。
 上下に走る縄で、乳房はひしゃげてた。

「誰だと思う?」

 わからなかった。
 その女性は、白い布地を噛み締めてたから。

「猿轡してちゃ、わからないか。
 前説してる間に喚かれるとぶち壊しだから……。
 静かにしてもらってたの。
 じゃ、取ってあげましょうね」

 先生は、天井から下がる女性に歩み寄り、わたしに背を見せた。
 オーバーブラウスの裾は、ウェストの下で途切れてる。
 丸々とした相臀が、ほしいままに見えた。
 日を浴びずに実った白桃みたいだった。

「苦しかったでちゅか?」

 先生は、女性の首を愛しむように抱いていた。
 生首を弄んでるようだった。
 女性は、イヤイヤをするように身じろいだ。
 でも、先生を突き放すことは出来ない。
 両腕が後ろに回ってたから。
 胸元に拡がる縄が二の腕にも渡り、腕肉が括れてた。
 背中の脇から、僅かに指先が覗いてる。

「今、外してあげまちゅからね」

 後ろ頭に回した先生の手が、結び目を解いてる。
 猿轡が引き絞られ、女性の口元が歪む。

「はい、解けました。
 それじゃ……。
 ご開帳」

 先生は女性を隠していた背中を翻し、わたしへの視界を開いた。
 片手には、白い布地が握られてた。
 女性の顔が、はっきりと見えた。
 でも、わからない。
 逆さになった顔なんて、普段見てないからかな。

「下ろしなさい!
 下ろして!
 お願い……」

 女性が声を上げた。
 その声で、逆さの顔と、記憶の中の顔が、瞬時に結びついた。
 全身が凍りついた。

「やっとわかったみたいね。
 そう。
 あなたも会ってるでしょ。
 転入試験の面接で。
 改めてご紹介するわ。
 当学園の理事長よ」

 理事長と目があった。
 もちろん、何も言えない。
 理事長の目も、事態を把握し切れてないみたいだった。
 わたしと合わせた目線はすぐに外れ、四囲に泳いでた。

「岩城先生。
 どうして?
 どうして、こんなことするの?
 お願いだから下ろして」
「光栄ですわ。
 理事長先生にお願いされるなんて。
 今までは、命令されたことしか無かったですものね」

 先生は、吊り下げられた理事長の周りを、ゆっくりと巡り始めた。
 出来あがった作品を検証する芸術家みたいだった。

「でも、理事長先生。
 ほんとに、素晴らしいスタイルでいらっしゃいますわ。
 もちろん、普段の着衣からも想像できましたけど。
 必要以上にぴったりしたお召し物でしたものね。
 でも、こうして裸になると……。
 想像してた以上。
 ほら、美里。
 こっち、いらっしゃい。
 間近で見てご覧なさい」

 わたしのお尻は、床に落ちたままだった。
 あけみ先生は、ヒール音を響かせて近づくと、わたしの腕を引っ張りあげた。
 人形なら、腕が取れてた。
 それほどの力だった。
 先生は、起きあがったわたしの腕を引き、理事長の前に立たせた。


本作品のモデルの掲載原稿は以下にて公開中です。
「結」 「岩城あけみ」

《説明》
杉浦則夫の作品からインスピレーションされ作られた文章作品で、長編連載小説のご投稿がありました。(投稿者 Mikiko様)
本作品は7/13まで連続掲載、以後毎週金曜日に公開される予定となっておりますので、どうぞお楽しみに。
前作を凌ぐ淫靡と過酷な百合緊縛!「川上ゆう」さん、「YUI」さん登場予定作品です。
時を越え、再び出会った美里とあけみ。現在に戻った美里は、さらなる花虐へと誘われていく…。


放課後の向うがわⅡ-6

 先生は、鏡の角度を調節しながらわたしの脇に据えた。
 姿見を離れた先生が、わたしの前に戻った。

「ほら。
 どう?
 すっごいヤラシイ」

 鏡に映る教師と生徒。
 生徒は、壁を背にしている。
 白いブラウス。
 そのブラウスは、短い裾まで見えてた。
 裾の下から、尻たぶの窪みが覗いてる。
 対する教師も、チェックのオーバーブラウス。
 でも、ウェスト下で一直線に切れた裾の下には、何も着けて無い。
 薄暗い電球の下……。
 お尻は、皮を剥かれた桃みたいに見えた。

 先生は、見つめていた鏡から、視線をわたしに戻した。
 わたしは、身を固くした。
 ひょっとして、さっきの続きをしてもらえるのかも……。
 なんて期待も、少しあった。

「さて。
 こんなことしてると、日が暮れちゃうわね。
 じゃ、もう少し講義を進めましょうか。
 この、素敵なスタイルでね」

 先生は、わたしの前を離れて歩き出した。
 ブラウスの下に実る桃が、重そうに揺れた。

「この手動ウィンチの話だったわよね」

 先生は、作業台の上に載る綺麗な機械に手を置いた。

「なんでこんなものが、ここに据えられることになったのか。
 この部屋の工事が、途中で放棄されたことまでは話したわよね。
 理事長の気まぐれで、次々と設計変更になってるのに……。
 理事長が、変更契約に応じなかった。
 で、業者も怒って……。
 当初の契約額では、この部屋の内装は出来ないってことになったわけ。
 でも、理事長だって、意地を張ってたわけじゃ無いのよ。
 早い話、無い袖は振れないってこと。
 お金が無かったのよ。
 内装だけなら、後からでも出来るって思ったんでしょ。
 でも、残念ながら……。
 未だにその時のままってわけ」

「で、ウィンチの話よね。
 この部屋を残して、工事がほぼ終了するころだった。
 工事中も、理事長はたびたびヨーロッパに遊びに行ってたんだけどね。
 工事終了間際になって、とんでもないお土産を持って帰ったのよ。
 と言っても、手で持って来たわけじゃないけどね。
 持てるものじゃ無いから。

 なんだと思う?
 ピアノよ。
 アンティークピアノ。
 船便じゃなくて、航空便で送ったのね。
 どうしてもそれを、理事長室に入れたいからって。
 完成間際の工事現場に、それが届いた。

 で……。
 例によって、理事長と現場監督で、すったもんだよ。
 もっと早くだったら、問題なかったの。
 ほら、さっきホールから登ってきた階段があったでしょ。
 あれは、最後に取り付けられたのよ。
 その前までは、あのバルコニーのあった場所に、資材搬入用のリフトが付いてた。
 あれだったら、アップライトピアノのひとつくらい、運び上げられたと思う。
 でも、あの華奢な階段じゃ無理よ。
 ちょっとバランス崩しただけで、手すりが外れて転落だもの。

 もちろん現場監督は、搬入出来ませんってはっきり断った。
 だけど、理事長も譲らない。
 このピアノが入らなければ、この建物は完成しないって。
 “画竜点睛を欠く”なんて、古風な言い回しまで使ってた。
 聞いてて吹き出しそうになったわ。
 こんなロココ調の建物に、“画竜点睛”も無いものよね。
 って、腹で笑ってたら、なんと、お鉢がこっちに回ってきた。
 わたしが、現場監督との交渉係に命じられちゃったのよ。

『あなたの任務は、このピアノを理事長室に運び入れること。
 方法は、問いません。
 でも、出来ませんでしたって言葉は、絶対に使わないでちょうだい』

 言外に、『出来なきゃクビよ』って威圧が感じられたわ。
 『辞めてやるわよ!』って言えれば、どんなに気持ちよかったかしら。
 でも、出来なかった。
 だって、この学園は……。
 ともみさんと繋がれる、唯一の場所だったから。
 ひょっとしたら、ともみさんが訪ねて来るかもしれない。
 その場に、わたしがいないわけにいかないじゃない?
 というわけで、交渉係の任を、ありがたく拝命したわけ」

「現場監督とは、進捗状況報告係として、すっかり顔馴染みになってた。
 頭ごなしに命じられると反発するけど……。
 下手から頼まれると断り切れない人だってことも、わかってたし。
 それに……。
 わたしに気があるってこともね。
 で、それに乗じてお願いしたわけよ。
 ピアノが入れられなければ、クビになりかねないって言ったら……。
 ひどい話だって、顔を真っ赤にして、自分のことのように怒ってくれた。

『使われる者の辛さは、ボクもわかります。
 ボクが断ったら、あなたが困るわけですよね。
 わかりました。
 やりましょう。
 このピアノは、あなたのために運び上げます』

 見事、交渉成立。
 だけど、問題は方法よ。
 建物の中から搬入できないのなら……。
 外から入れるしか無い。
 ピアノが通るほどの窓は、この理事会室にしかなかった。
 ということで、この窓から入れるしかないって結論は、あっさりと出た。
 だけど、そう……。
 問題は方法よ。

 この窓の下にクレーン車が付けられれば……。
 大した問題は無いのよ。
 でも、それが出来なかった。
 この窓の下がどうなってるか、あなたも知ってるでしょ?
 そう。
 幾何学模様の整形庭園。
 ベルサイユ宮殿を真似たんだってさ。
 もちろん、規模は比べ物にならないけど。
 で、この庭園が、先に出来ちゃってたの。
 密植した生垣も、刈り込みが終わってた。
 つまり、いったん引っこ抜いて、また元に戻すってことが出来ないわけ。
 水糸まで張って刈り込んだエッジが、崩れちゃうものね。
 というわけで、さぁ困ったよ」

「で、出た結論がこれ。
 ピアノは台車に乗せて、迷路みたいな園路を通し、この窓の下まで運ぶ。
 あとは、窓から引っ張りあげる。
 もちろん、人力なんかじゃ無理だから……。
 動力が必要。
 それで……。
 こいつね」

 あけみ先生は、手の平を上に向け、人差し指を伸ばした。
 その指の先には、キラキラと輝くリールみたいな機械。
 そう、手動ウィンチ。

「でも、この機械の選定でも、ひと悶着あったのよ。
 現場監督は、電動のウィンチを設置するつもりだったの。
 いくつかカタログ取り寄せて、わたしにも見せてくれた。
 でも、問題は、購入費ね。
 もちろん、普通だったら……。
 施工業者が仕入れて、納入業者に代金を支払う。
 で、施工業者は、施主に請求するわけよね。
 でも、変更契約にも応じない施主でしょ。
 下手すりゃ、ウィンチ代、施工業者の持ち出しよ。
 だから、現場監督も考えたわけね。
 ウィンチは、学校さんで買ってくれと。
 うちは中に立たないから、代金は納入業者に直接払ってくれって。
 ピアノの搬入は、こっちで責任持って行うからって。

 それを聞かされた理事長は……。
 微妙な顔したわね。
 あれは絶対、踏み倒すつもりだったのよ。
 でも、現場監督も、この条件を譲らなかったし……。
 何より、工期が迫ってた。
 で、理事長も渋々、条件を呑んだわけだけど……。

『こっちで購入するからには、機械もこっちで選定させてもらうわ』

 ってさ。
 敵もさる者だって……。
 あとから、現場監督がこぼしてた。

 で、カタログを取り上げ、パラパラとページをめくって……。
 選んだのが、これよ。
 綺麗だからってのが、選んだ理由みたいに言ってたけど……。
 わたしは、それが一番の要因とは、思わない。
 手動だったからよ」

「現場監督は、ピアノの搬入は責任持って行うって言ってたからね。
 口約束でも、一度言ったことは絶対守る人だってこと……。
 理事長も、ちゃんとわかってたのよ。
 で……。
 少しでも、困らせたかったんでしょうね。
 電動ウィンチで、するする上げられたら面白くないって。
 それで……。
 手動の機械を選んだのよ。

 どう。
 この機械が、ここに設置されたバカないきさつ……。
 わかったでしょ。
 この作業台も、そのとき造り付けられたのよ。
 ドラムより大きな円を描くハンドルを回さなきゃならないから……。
 床に設置するわけにいかなかったの。
 この点では……。
 理事長の意地悪が功を奏したって言えるかもね。

 で、ピアノの搬入なんだけど……。
 これが、あっけないほど上手くいったのよ。
 理事長は、面白くなさそうだったけど。
 この、手動ウィンチ、見た目以上に性能が良かったってこと。
 巻き上げに、ほとんど力なんて要らないの。
 落っことしたら、取り返しのきかないピアノだったから……。
 安全を期して、2機も設置したんだけどね。
 たぶん、1機で十分だったと思うわ。
 ほら、上を見てご覧なさい。
 鉄骨の梁に、まだ滑車がぶら下がってるでしょ。
 あそこにワイヤーを渡して、窓の外のピアノを吊り上げたわけ。
 ほんとに軽々と上がった。
 大した機械よ」

 あけみ先生は、犬の頭を撫でるように、ウィンチの肌をさすった。

「でも、それ以来……。
 このウィンチが働く機会は無かった。
 たった一度の晴れ舞台。
 それ以後は、この薄暗い部屋で、ビニールシートを被ってたわけ。
 工事完了後、この部屋は施錠されちゃったしね。
 開かずの間ってこと。
 この機械とは、3年ぶりの対面だったわ。
 あ、わたしがこの部屋に入れるようになったいきさつは……。
 後で話すわね。
 さてと……」

 あけみ先生は、機械を愛でるように伏せていた瞳を上げて、真っ直ぐにわたしを見た。

「ちょっと、おしゃべりが過ぎたみたいね。

 モデルさんがお待ちかねだわ」


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時を越え、再び出会った美里とあけみ。現在に戻った美里は、さらなる花虐へと誘われていく…。


放課後の向うがわⅡ-5

 顔面で堪能し尽くしたのか、理科の先生は、大口を開けて尿を受け始めた。

「ごぼ。
 ごぼぼぼぼぼぼぼ」

 口を溢れた尿が、滝のように耳を洗う。

「ごぶっ」

 たぶん、それは「イク」って言ったんだと思う。
 理科の先生の両脚が、コンパスのように起ちあがった。
 爪先では、10本の指がすべて開いていた。
 全身は、スタンガンを押しあてられるように、びくびくと痙攣してる。

「は、はがぁ」

 空気の漏れるような声とともに、ようやく全身から強張りが解けた。

 腿裏の腱の筋が消えると同時だった。

『ぶ』

 弛緩しすぎて、肛門が開いたのね。
 理科の先生は、脱糞してた。
 薄茶色の健康そうな便が、ミンチ機のように練り出され……。
 尻たぶのあわいに伸びていく。
 コルク栓のような先端は、床まで届いてた。
 生々しい便臭が立ちあがる。
 それに感応したのか……。
 国語の先生も、肛門を開いた。
 もともと、和式便器を使う姿勢を取ってたから……。
 催しやすかったのかも。
 黄土色の糞便が、たちまち理科の先生のブラウスに積みあがる。
 割れるようにほどけた一端が、喉元から転げ落ちた。
 2人の微妙に違う便臭が交じり合い……。
 目くるめく芳香を噴きあげる。
 わたしは、堪らず嘔吐する。
 まずは、理科の先生の股間に。
 わだかまるパスタに、ホワイトソースがたっぷりと掛かった。
 まだ止まらない。
 国語の先生の背中に向けて、思い切り胃の腑を絞る。
 真っ白いブラウス一面に、吐瀉物が貼り付く。
 身を翻し、日本史の先生の傍らに立つ。
 先生は、失神したままだった。
 股間の片手は、まだペニスを握る形を保ってたけど……。
 ペニスはもう、指の窪みに頭を隠してた。
 そこを覗きこむようにして……。
 嘔吐する。
 胃を裏返すように身を畳み、すべてを吐き下す。
 腹筋が浮き出るほど力を籠めると……。
 喉の奥から、黄色い胃液が噴きだした。
 頚を持ち上げ、わたしは壁泉のオブジェになる。
 放物線を描く胃液が、日本史の先生の顔まで届いた。
 刹那……。
 わたしも脱糞するわ。
 股縄で切り分けられた大便が、ぼたぼたと床を叩く。
 愛しい自分の匂いを堪能しながら……。
 わたしの意識は、エーテルのように蒸発する」

 あけみ先生の言葉が、ようやく途切れた。
 口は開いたままだった。
 視線は、虚空を漂ってる。
 まるで、立ったまま意識を失ってしまった人のようだった。
 堪らず声を掛けようとしたとき……。
 ようやく、魔法が解けた。

「あぁ。
 また、妄想が暴走しちゃったみたいね。
 ときどき、自分でも制御できなくなるのよ。
 現実と妄想の区別がつかなくなって……。
 ほんとに何かやらかしそう。

 でも、どうだった?
 これほど熱のこもった特別講義、滅多に聞けないわよ。
 興奮したでしょ?
 語ってる方は、もっと興奮してるけどね。
 わたしがどんなに興奮してるか……。
 見たい?
 見たいわよね?
 見たいのよね?
 わたしの……。
 おまんこ」

 先生は、わたしの答えなど聞かなかった。
 口元をきりりと結んだまま、スカートのウェストに手をかけた。
 ファスナーの擦過音が立つと同時に、筒状の布地は、床に落ちてた。
 布地に隠されてた部分は、音楽室で見せられたときと同じだった。
 黒いストッキングは、太腿までのガータータイプ。
 上着は、事務服みたいなオーバーブラウスなので、裾が無い。
 だから、股間が丸見え。

 剃り上げられた真っ白な恥丘を窪ませ、白いロープが渡ってた。
 ロープは、両サイドからY字を描いて臍下で合流し、真下に降りてる。
 細すぎるロープは、性器を隠す役目を果たしてなかった。
 2本並んだロープは、陰裂に埋没してた。
 陰唇が、ロープを咥えてる。
 ロープの合流点には、瘤が出来ていた。
 瘤は、正確にクリトリスを隠してた。
 いえ。
 クリトリスを、拳のように押し潰してる。
 そう思った瞬間、わたしの股間にも、疼きが伝わった。

「どう?
 素敵なアンダーウェアでしょ。
 おトイレには不便すぎるけど。
 もちろん、普段は普通のショーツを穿いてるのよ。
 でもときどき……。
 我慢できなくなって、縄を打つの。
 この姿で教壇に立つと、めちゃめちゃ興奮するわ。
 あ、もちろん、スカートは履いてるのよ。
 つくずく思うんだけど……。
 スカートって、ほんとに便利なアイテムよね。
 その下が、こんなスタイルになってても、誰もわからないんだもの。
 『スカートの下の劇場』ってタイトルの本があったみたいだけど……。
 ほんとに、そうだわ。
 スカートという緞帳の奥には、思いがけない舞台が隠されてるの。
 さ、わたしがここまで見せたんだから……。
 あなたも、同じ格好になってちょうだい」

 わたしが立ちすくんでると……。
 あけみ先生が、歩み寄ってきた。
 わたしは、後ろに下がりながらも、先生の股間から視線を切れなかった。
 蛭。
 縄を咥える陰唇が、そう見えた。
 自ら分泌する粘液で、縄を溶かしてる。
 縄は、電球の明かりを返して光ってた。

「どうしたの?
 教師にだけ、こんな格好させるつもり?」

 後退りする背中が、壁に遮られた。
 間近に迫った先生の顔が、真下に落ちた。
 わたしの前にしゃがみこんだの。
 腰を、先生の手がまさぐる。

「先生、だめ」

 先生は、無言のままだった。
 ウェストのホックが外され、ファスナーが引き下ろされた。
 布地を守ろうと掴んだ手が、捲り取られた。
 強い力だった。
 そうか。
 指の力が強いのは、ピアノをやってるからだ。
 抵抗を続けながらも、そんなことが頭に浮かんだ。

 刹那……。
 太腿に風を感じた。
 スカートが、引きずり下ろされたの。
 落ちた布地に脚を取られ、よろめいた。
 股間を守っていた手が、身を支えるために壁を叩いた。
 先生は、その一瞬を逃さなかった。
 両手の指が、飛びつくようにウェストにかかり……。
 真下に降りた。
 もう一度風を感じた。
 今度は、股間に。

「あぁ。
 見つけた。
 14年前の記憶。
 そうよ。
 このおまんこだわ。
 わたしと、ともみさんが、一緒に見た景色。
 懐かしい……」
「ひぃっ。
 ダメ」

 先生の顔が、わたしの股間に埋もれてた。
 中心部に唇を感じた。
 わたしは、必死で引き剥がそうとした。
 だって、学校のトイレには、ウォシュレットなんて付いてないから……。
 放課後のあそこは、絶対おしっこが臭ってる。
 先生の頭を押し離そうとして、両手の指が髪に潜った。
 冷たい髪だった。

「あ……、あぁ」

 押し離そうとする指は、たちまち引き付ける指に変わった。
 先生の舌先は、わたしの中心をあっという間に蕩けさせた。
 全身の骨と腱が溶けて、ぐにゃぐにゃになっていく。
 わたしは、先生の髪を掻き回した。

「あっ」

 快感に溺れようとした刹那、先生の唇が離れた。
 先生は、半泣きになったわたしの顔を、いたずらっぽく見あげた。

「ふふ。
 そんな切なそうな顔して……。
 今の子は、進んでるわね。
 下の方は、もう大泣きよ。
 しょっぱくて美味しい。
 あとでたっぷり味あわせてもらうわ。
 今はおあずけ。
 ほら、みんな脱いで」

 先生に促され、わたしの脚が片方ずつ上がった。
 スカートに続き、小さなショーツが足先を外れた。
 下半身を守ってた布地は、すべて失われた。
 わたしはブラウスの裾を引っ張って、股間を隠そうとした。
 でも、シャツブラウスの短い裾は、とうてい股間までは届かなかった。

「ダメ。
 そういうことしちゃ。
 両手は脇」

 先生は起ちあがり、わたしと正対した。

「ほら。
 気をつけ」

 うつむいたまま、言われた姿勢を取った。
 わたしの視線は、先生の股間に釘付けだった。
 白い縄が、飴色に溶けて見えた。

「ふふ。
 教師と生徒が、相い対してる。
 学校においては、日常的光景よね。
 上半身だけ見れば。
 でも、その教師と生徒の下半身は……。
 裸。
 性器、剥き出し。
 なんて素敵なシチュエーション。
 ほんと、校則で、このスタイルを義務付けてくれないものかしら。
 教師も生徒も、みんな下半身だけ裸。
 素敵な学園になると思うわ。
 もっとも、男性教師は困るでしょうけど。
 教師にあるまじき煩悩が、股間に現れてしまうんですものね。
 あ、ちょっとそのまま待っててね。
 いいもの持ってくるから」

 先生は、わたしを押し留める仕草をしながら、ブルーシートの向こうに消えた。
 再び現れた先生は、大きな姿見を押していた。
 先生の背丈よりも大きな姿見には、キャスターが付いていた。
 床板の継ぎ目を越えるたび、鏡に映る室内が小刻みに揺れた。

「どうして、こんな鏡があるのかって思うでしょ?
 これはね、理事長室のお古。
 新しいのに買い換えたとき、お古をこっちに移したのね」


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《説明》
杉浦則夫の作品からインスピレーションされ作られた文章作品で、長編連載小説のご投稿がありました。(投稿者 Mikiko様)
本作品は7/13まで連続掲載、以後毎週金曜日に公開される予定となっておりますので、どうぞお楽しみに。
前作を凌ぐ淫靡と過酷な百合緊縛!「川上ゆう」さん、「YUI」さん登場予定作品です。
時を越え、再び出会った美里とあけみ。現在に戻った美里は、さらなる花虐へと誘われていく…。


放課後の向うがわⅡ-4

 わたしは、接合部を覗きこむ。
 肉棒はネラネラと濡れ、地図のように巡る血管が、光を返してうねってる。
 そのとき、背後に人影を感じた。
 振り向くと、パスタを食べてた、若い理科の先生。
 手には、パスタのカップを持ったまま。
 ルージュの落ちかけた唇を尖らせ、獣と化した同僚を凝視してる。

「こんなの見るの、初めて?」

 理科の先生は、かくかくとうなずく。

「でも、私生活では、やってるでしょ?」
「ベッドの上だけです。
 お風呂入ってから。
 こんな、服着たままなんて無いです」
「どう?
 イヤらしいでしょ」
「めちゃめちゃ興奮します。
 こっちの方が、ずっといい」
「見られながら、したい?」
「したいです」
「おまんこ、見られたい?」
「見られたい!」
「じゃ、下だけ脱いで。
 わたしが脱がせてあげる」

 理科の先生は、その場に起ちあがると……。
 パスタのカップを持ったまま、わたしに腰を突きつけてきた。
 スラックスのファスナーを、音立てて下ろす。
 ストッキングも穿かない、若い生脚があらわになる。
 白い肌を巡る血管が、網の目のように浮き出てた。
 股間を三角形に覆う布地の中心は、すでに湿ってて、わだかまる陰毛まで透けて見えた。
 わたしは、ウェストのゴムに手を掛けると、一気にショーツを引き下ろす。
 海栗の身を割ったような、若い性器があらわになった。

「先生……。
 スゴいことになってますよ。
 ほら、太腿までお汁が垂れてる」
「ふぅぅん」

 理科の先生は、スラックスの裾を踏みつけて脱いだ。

「裸……。
 下だけ裸……」
「うれしい?
 お尻もおまんこも、剥き出しにできて」
「うれしい」
「こんなエッチなおまんこしてたら、毎日したくてしょうがないでしょ?」
「したい。
 朝晩したい」

「彼氏は、してくれるの?」
「毎日は会えないもの」
「じゃ……。
 自分でしてるのね?」
「してます」
「毎日?」
「朝晩!
 今朝もして来ました。
 さっきの休み時間もしました」
「あらまあ。
 どこで?」
「もちろん、トイレです」
「裸になったの?」
「いいえ。
 スラックスだけ下ろして」
「それはいけないわね。
 下だけは、素っ裸にならないと。
 今みたいにね。
 うれしいんでしょ?
 見られて」
「見て……。
 もっと見て」

 先生はわたしに正対すると、腰を前後に振り始めた。
 股間から跳ねた雫が、ひざまずくわたしの太腿を濡らす。

「ほら。
 国語の先生にも見てもらいましょう」

 理科の先生の手を引いて、机に突っ伏す国語の先生の傍らに起たせる。
 国語の先生は、メガネを鼻の頭まで落として喘いでる。
 開いた唇から零れた涎が、赤ペンの入った答案を汚してる。

「先生。
 見てやって下さい。
 理科の先生のおまんこ。
 いやらしいでしょ?
 朝晩、自分でなさってるんですって」

 理科の先生は、両脚をパンタグラフのように開き、股間を突きつけた。
 国語の先生の目が、泳ぎながらも股間で焦点を結ぶ。

「おっきぃ……。
 おまんこ」
「あぁ。
 それ、言わないでぇ。
 コンプレックスなんですぅ。
 彼のじゃ物足りなくて。
 国際結婚しようかしら?
 見て。
 おっきぃおまんこ、もっと見てぇ」

 でもすでに、国語の先生の視線は、あらぬ方向に飛んでいた。
 メガネが、鼻の頭で斜めにかしいでる。
 後ろの日本史の先生が、激しく腰をぶつけ始めてたの。
 日本史の先生の腰骨と、国語の先生の尻たぶが、高らかな肉音を立て始めた。

 パンパンパンパンパンパンパンパンパン。

 それは、学校中に響くファンファーレのように聞こえた。

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。
 出る!
 出ます!」

 理科の先生は、身を翻すと、ファンファーレの音源に顔を近づけた。
 和式便器を使うようにしゃがんだ股間では、指が忙しく動いてる。
 もう一方の手は、カップのパスタを掲げたまま。

「先生!
 出していいですか!
 中に出していいですか!」
「出して!
 出して!
 でも、妊娠したら!
 妊娠したら!
 結婚してぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
「そ、それは……。
 無理ですぅぅぅぅぅ」

 最後の最後で集中を乱されたのか、日本史の先生のちんぽが外れた。

「あぁ!」

 国語の先生が、喪失の悲鳴をあげる。
 日本史の先生は、お腹まで跳ね上がったちんぽを掴んだけど……。
 もう、間に合わなかった。
 亀頭が膨れ上がると、空中で暴発。
 でも、その先には、理科の先生が、顔を差し出してた。
 精液が、理科の先生の黒セルのメガネを直撃。
 理科の先生は、銃弾を浴びたように仰け反る。
 メガネのレンズは、真っ白に覆われてた。
 さらに、あおのいた鼻の穴に、第2弾が直撃。
 細い鼻孔が、濃厚な糊で塞がれる。

「わきゃ。
 ぅわきゃ」

 日本史の先生は、奇声をあげながら、思うさま、尻たぶを絞った。
 理科の先生の頬に、唇に、次々と精液が着弾する。

「はぅぅ」

 日本史の先生が、尻たぶを痙攣させると……。
 ようやく、射精が止まった。
 射出口から零れる雫が、陰茎を握りしめた指に零れる。

「さ、最高でした……」

 日本史の先生は、蕩けるような声をこぼすと……。
 その場に尻を落とした。
 後ろざまに床に転がる。
 顔が横に倒れ、両目がわたしを見あげた。
 でも、目の中に瞳は無かった。
 真っ白い両目が、虚空を睨んでる。
 半開きの口の中で、舌だけがチロチロと動いてた。
 でも、股間のちんちんは握ったまま。
 シロップをまぶしたような陰茎は……。
 まだ天井を指して、びくびくと鼓動してる。

 仰向いてた理科の先生のクビが、元の位置に戻った。
 顔面に貼り付いた精液が、鑞涙のように下降する。
 細い顎先に集まった精液が、石筍みたいに伸び……。
 ぼたぼたと落ち始める。
 落ちた先は、手に掲げたままのパスタのカップ。
 わだかまる麺の上に、まるでドレッシングのように降りかかる。
 白濁したレンズ越しにそれを見つめてた理科の先生は……。
 突然、カップに顔を突っ伏した。

「ふぉぉぉぉ」

 唸りながらクビをうねらせ、顔面でカップを掻き回す。
 ひとしきり堪能すると、呼び止められた人のように顔を起こした。
 顔面をパスタのソースが覆い、鼻の穴からは麺が下がっている。
 ソースにまみれたレンズの向こうで、すでに目線が飛んでる。
 先生は、カップの中に手を突っこんだ。
 麺を鷲掴みする。
 クレーンのように持ちあげる。
 指の間から、ソースまみれの麺が垂れ下がる。

「はぅ」

 先生は、気合と共に、麺を握った片手を、自らの股間に叩きつけた。
 手の甲に癇立った腱を走らせながら、股間に麺を捻りこむ。
 ちぎれた麺が、ぼたぼたと床に落ちる。

「あひぃ」

 先生は、背泳のスタートのように、真後ろに倒れた。
 足裏が天を指すと、サンダルが外れて床に落ちた。
 先生は、そのままの姿勢で、自らの股間にトドメを刺そうとしていた。
 手の平の描くオーバルは、たちまち内径を縮め、周回を速めている。

「イ、イク……」

 その声に、机に突っ伏してた国語の先生が反応した。
 ふらふらと歩んで、理科の先生の脇に立つ。
 理科の先生が、哀願するように見あげた。

「お、お願いします。
 わたし、イク……。
 イキますから……。
 顔に……。
 顔に、かけて。
 おしっこ、かけて。
 かけてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」

 国語の先生が、理科の先生の顔を跨いだ。
 そのまま、しゃがみこむ。
 骨盤の尖る相臀が、理科の先生の顔を隠す。
 でも、位置を調節するためか……。
 その尻が、再び上がった。
 競馬の騎手のような姿勢だった。
 開いた相臀のあわいに、シャッターのような肛門が穿たれてる。
 ぱっくりと割れた性器も丸見え。
 理科の先生も、それを見上げてる。

「放尿……。
 放尿して」

 国語の先生のお尻に、翳のように力がよぎった。
 同時に、膣前庭に穿たれた尿道口が解放された。
 数珠を繋いだような雫がこぼれ……。
 たちまちそれは、一本の奔流と化した。
 理科の先生の顔面に打ちつける。
 理科の先生は、顔面で打たせ湯を受けるように、顔をうねらせた。
 湯気を上げる熱水が、理科の先生のレンズに噴きつけ、顔面のソースを洗い流す。
 鼻の穴の麺も流れた。


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《説明》
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本作品は7/13まで連続掲載、以後毎週金曜日に公開される予定となっておりますので、どうぞお楽しみに。
前作を凌ぐ淫靡と過酷な百合緊縛!「川上ゆう」さん、「YUI」さん登場予定作品です。
時を越え、再び出会った美里とあけみ。現在に戻った美里は、さらなる花虐へと誘われていく…。